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野鳥シリーズ98 ベニマシコ

  • ピッポと鳴くベニマシコ(紅猿子、アトリ科)
     「ピッポ、ピッポ」と優しい声で鳴き、長い尾をした赤い小鳥。日本では、北海道と青森県下北半島で普通に繁殖する。本州以南では冬鳥。河原や草原で繁殖し、冬季は農耕地、牧草地、ヨシ原などで越冬する。繁殖期は昆虫類を捕食し、秋から冬はセイタカアワダチソウなどの植物の実を食べる雑食性。秋田では、冬鳥なので、羽毛の赤色は淡い。♂の鮮やかな赤色の夏羽は、北海道東部の原生花園や河川敷などで観察できる。
  • 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記
  • ♂の夏羽の特徴・・・赤色が濃く、額と喉が赤味のある銀白色で美しい。背に黒い縦斑がある。白斑が2本の翼帯がある。 
  • ♂の冬羽の特徴・・・頭、背、胸以下の下面が淡い赤で、頭頂、頬、喉は淡いピンク色。 
  • ♀の特徴・・・夏羽、冬羽とも全体に褐色で地味だが、翼に2本の白帯がある。背と胸から腹にかけて黒い縦斑がある。 
  • オオマシコとの見分け方・・・ベニマシコは、2本の白い翼帯が明瞭で、尾は長めで両外側は羽が白い。 
  • 名前の由来・・・全身が紅色で、さらに猿のように顔が赤いことから、「紅猿子」と書く。 
  • ・・・「ピッ、ピッポ、ピッポッポ」と鳴く。繁殖期は、低木に止まって「フィー、チリチィチョ、チョチョ」などと柔らかな声でさえずる。
  • 生活環境・・・繁殖期には、平地や海岸の低木林、低木の混じった草原、湿原のヘリのヤブなどに棲息する。枝から枝へと飛び移ったり、地上を跳ね歩いたりしながらエサの昆虫類を探す。ツガイで生活し、♂は低木の頂、牧柵、電線などでさえずる。 
  • 食性・・・雑食性で、繁殖期は昆虫類を捕食し、秋から冬はセイタカアワダチソウなどの植物の実、種子を食べる。 
  • 繁殖期・・・5~7月、一夫一婦で縄張りをつくる。♂は、灌木の上に出てきて盛んにさえずり、時にはさえずり合うこともあるという。巣は、枯れ草、樹皮、細根などを材料に、低木の小枝に乗せるようにお椀型につくる。卵数3~5個を産む。♂と♀が交代で卵を抱く。♀もエサを捕りに出かけるが、♂が巣の中の♀にエサを運んだりもする。 
  • 越冬期・・・山地から低山地の明るい林のへり、伐採跡地、林道沿いのヤブなどに小群で棲息する。時には川原のヤナギ林など平地に現れることもある。 
  • 越冬期のエサ・・・主に植物質で、地上でイネ科、タデ科などの草の実を拾って食べる。 
  • ハルニレの細枝にぶらさがり新芽をついばむベニマシコ♂ 
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
  • 「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
  • 「日本野鳥歳時記」(大橋弘一、ナツメ社) 
  • 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記