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 穏やかな初冬の日差しにつつまれた11月16日、秋田県由利地域振興局、東北森林管理局由利森林管理所、 由利本荘市及びにかほ市主催の「松林健全化ボランティア作業が、由利本荘市石脇の本荘マリーナ周辺及びにかほ市金浦の温泉保養センター「はまなす」向かいの海岸林の2会場で開催されました。
 当日は、森林ボランティアの方々や地域の皆さんのほか、(一社)由利建設業協会傘下の方々など両会場に併せて約120名が参加しました。
 
 
 海岸林には、毎年落ち葉や枯れ枝等が堆積します。それを放置すれば、土壌が肥沃化し、広葉樹や草類が侵入することにより、海岸林を構成する主樹種のクロマツにとって生育に悪影響を与え、海岸林の公益的機能の高度発揮に支障を来す原因となります。
 そこで、健全な海岸林の育成を図るため、平成20年からボランティア活動や治山事業等により、林内に堆積した落ち葉や腐葉土等を除去し、クロマツの生育環境を行っております。
 手入れの行き届かないクロマツ林は、落ち葉や枝などが厚く堆積しています。そうすると、草、ツタウルシ、広葉樹が繁茂し、クロマツが弱ってきます。入りやすい林にすると、キノコ狩りや散策などで訪れる人が多くなり、海岸林への関心が高まってくるのではないでしょうか。


 
  由利本荘市会場
   
 由利本荘市会場は、本荘マリーナオートキャンプ場周辺のクロマツ林です。この会場には約80名の方々が参加がしました。早速熊手など作業道具を手に取り、林内に散らばって松葉搔きに取り組みました。 
   
 堆積した落ち葉や枯れ枝を掻き集めます。この会場は、春にも作業を行ったということで松葉の掻き集め作業が中心です。 
   
 集められた落ち葉は詰め込み、定められた場所に集積します。 
   
 砂地が顔を出します。クロマツの生育に良好な環境となります。林内がきれいですと、散策する人々も多くなるでしょう。 
 
 土を覆っていた落ち葉など堆積した腐植層を取り除くと、マツと共生して発生する菌根菌のキノコが見られるようになります。これまで、継続して松林の環境改善に取り組んできたところでは松露の発生が確認されています。

松露(しょうろ)
 ショウロ科のキノコ。子実体は地中性、卵形~扁球型、白色で径1.5cm~3cm、手でこすると淡赤褐色に変色する。秋と春の2度、主として海岸や湖畔のクロマツ林内の砂地に生える。
 未熟で白いものを食用にする。安全かつ美味な食用菌の一つで、古くから珍重されたが、発見が容易でないため希少価値が高い。現代では、マツ林の管理不足による環境悪化に伴い、産出量が激減し、市場には出回ることは非常に少なくなっている。
 未熟で内部がまだ純白色を保っているものを最上とする。薄い食塩水できれいに洗って砂粒などを除去した後、吸い物の実・塩焼き・茶碗蒸しの具などとして食用に供するのが一般的である。
 


 にかほ市会場
 
 にかほ市会場は、国道7号線沿いにある赤石海岸保安林です。この会場には、約40名の方々が集まりました。
   
  ここの海岸林は、この区域のクロマツ林を責任持って守りたいと希望した森林ボランティア団体「TDK社友会環境同好会」に、県がフィールドを提供しました。会では、マツクイムシ被害木の早期発見や、環境保全活動に熱心に取り組んでくれました。団体の活動のおかげで、健全な海岸林が保たれております。そしてまた、多くの人々の手で維持する活動に発展しました。
 作業はスムーズに進み、予定時間の半分で作業が終了しました。顔見知りの森林ボランティアの方にお話を伺うと、「作業を始めた当時は落ち葉が堆積していて時間がかかったけれど、ここは春先も行ったので楽な作業。たくさんの参加者もあることだし、もっと作業面積を拡げても良いのではないか」との頼もしい言葉が返ってきました。 
   
  すっかりきれいになった海岸林。温泉保養センター「はまなす」の国道7号線向かい側の海岸林です。
 参  考  文  献
 「山渓カラー名鑑 日本のきのこ」(山と渓谷社)