本文へスキップ

きのこ採りシリーズ⑭ タマゴタケ

  • 美しく美味なタマゴタケ
     鮮やかな橙赤色で毒キノコのように見えるが、優秀な食用キノコ。美しい上に美味な植菌だけに人気の高いキノコの一つ。以前は、ヨーロッパ産のシーザーのキノコとしてもてはやされていたタマゴタケと同一種と考えられていたが、現在では別種とされている。8~10月にかけて、コナラ、クヌギ、ミズナラ、ブナなどの広葉樹やモミ、ツガなどの針葉樹の林内地上に発生する。 
  • タマゴダケの名前の由来・・・幼菌は白い外皮膜におおわれ卵形であるが、それがタマゴのように見えることから。 
  • 卵から顔を出した直後の幼菌・・・白い卵形が、次第に膜の上部が破れて赤~橙赤色の傘が現れる。 
  • ここから1~2日で成菌になる。
  • 柄は中空で折れやすい。
  • ツボは厚い膜質が袋状に残る。
  • 傘の径6~18cmほどで、幼菌の時は、卵型から饅頭型を経て平らに開き、中央がやや盛り上がる。傘、柄ともにもろい。 
  • 傘表面・・・鮮やかな紅色で、全開する頃には周縁部がやや淡くなり、周縁に明瞭な放射状の条線が現れる。 
  • ・・・長さ10~20cmほどで、上部に橙黄色で膜質の大きなツバがあり、根元には白い袋状のツボがある。柄の色は、黄色の地に橙黄色~橙色のダンダラ模様がある。 
  • 森吉山麓のブナ林で見つけたタマゴタケ(2023年9月23日)
  • 同上
  • 料理・・・風味には癖がなく、キノコそのものの味は良い。根元の白いツバは味がなく、口当たりもよくないので取り除いて料理する。フライや炊き込みご飯、オムレツ、ホイル焼き、パスタ、汁物など、料理範囲が広い。キノコ汁・けんちん・お吸い物・鍋物には、こっくりとしたうま味のある出汁が出る。殻を破る前の幼菌は、生食されることもあるという。 
  • 似ているベニテングタケ(毒)との見分け方・・・毒の本種は、傘表面に白いイボ状裂片が付着し、ヒダも柄も白いので簡単に見分けられる。 
  • ベニテングタケ(毒)
     ヨーロッパでは、童話やおとぎ話にも頻繁に登場する毒キノコ。8~10月頃、山地の広葉樹林内地上に発生する。時にシラカバなどカバノキ科の林に多く、しばしばフェアリーリングをつくる。毒成分は、イボテン酸やムスカリンなどで、興奮、嘔吐などの中毒症状を起こす。症状は、食後15~30分で軽い眠気を覚え、酒酔いに似た気分になり、筋肉のけいれんや幻覚などを引き起こす。
参 考 文 献 
  • 「山渓カラー名鑑 日本のきのこ」(山と渓谷社)
  • 「誰かに話したくなるキノコの不思議な世界」(大海淳、ビジュアルだいわ文庫)
  • 「キノコ狩りガイドブック」(伊沢正名、川嶋健市共著、永岡書店)
  • 「きのこの見分け方」(大海秀典他、講談社)
  • 「きのこ採りナビ図鑑」(大海淳、大泉書店)