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モリエールあきた

 ヒラタケは、晩秋から春の寒い季節に生え、特に低温に強く、菌糸はマイナス20℃でも耐えられるという。真冬の雪の積もった枯れ幹にも群生する。優秀な食菌で広く栽培され「しめじ」の名で売られている。しかし、天然と栽培物では大きさや形が格段に違う。
 近縁種・ウスヒラタケは、梅雨期から初秋、広葉樹の倒木や枯れ木上に発生する。ヒラタケに似ているが、肉が薄く色も淡いのが特徴。ウスヒラタケが生える時期は、山菜と渓流釣りの最盛期とも重なり、二重、三重の楽しさを味わうことができる。
  ヒラタケは、その名の通り、傘が平らに開く。しかし、形は図鑑のように一様ではなく、開いた傘が大きく波打つなど変形したものが少なくない。傘は肉厚で弾力性がある。鼻を近づけると、キノコ特有の淡い香りがする。
発生時期等

 晩秋から春、ブナ、ミズナラなどの広葉樹の倒木、枯れ木の幹などに、多数重なり合って株状に発生する。渓流釣りあるいは山菜採りで山に入る場合、雪が残る早春に出会う場合が多い。

 傘は5~15cmと大きく、まんじゅう形から開いて貝殻形、半円形、時に波打ったり、漏斗型になる。形や色が多種多様で、素人が見分けるには難しい。
▲早春の乾燥ヒラタケ

 生長して老菌になっても腐らず、乾燥して枯れ木についているものもある。自然乾燥したヒラタケは、軽く保存性に優れ、調理する時は、右下の写真のように、水に浸して戻せばOK。
キノコの採り方

 ナタやナイフで倒木に傷をつけないように切り取るのがコツである。その際、根元の土や落ち葉も丁寧に取り除く。
保存法・・・塩漬け、乾燥、ビン詰め、冷凍保存

 冷凍保存・・・食べやすい大きさに切って冷凍する。調理する時は、解凍せずそのまま使う。
ヒラタケ料理

 天然ヒラタケの傘は、肉厚で弾力があり、歯ごたえが良く、身が締まってボリューム感がある。淡い香り、クセのない淡白な味である。

 採取した山菜とヒラタケの味噌汁、バター炒め、油炒め、煮物、和え物、ホイール焼き、お吸い物、炊き込みご飯、水分が少ない乾燥ヒラタケは天ぷらなど、幅広い料理に合う。
薬効
 コレステロールと血圧の降下作用、血液サラサラ作用、抗酸化作用、抗腫瘍作用など

 近縁種・ウスヒラタケは、梅雨期から初秋、ブナやミズナラの風倒木、枯れ幹に重なり合うように生え、収穫量も多い。全体的に白っぽく、肉厚は薄い。成長すると傘は淡い灰色を帯びる。傘裏は白く、倒木に側生する。
 苔生すブナの倒木に生えていたウスヒラタケ。折り重なるように群生している姿、形が美しく、被写体としても魅力的なキノコである。ヒダが白いものが旬で、古くなるとクリーム色からレモン色になる。
 時に傘の表面が毒々しい色をしていることもあるが、傘裏は白く、二つに割ると、毒キノコの筆頭・ツキヨタケのような黒いシミはない。
採り方

 ヒラタケと同じく、ナイフで倒木に傷をつけないように切り取るのがコツである。
ウスヒラタケ料理

 香りが高く、味に癖がない。肉質がやわらかく、歯切れが良いのが特徴である。山菜の時期とも重なることから、山菜との組み合わせで山の幸料理のバリエーションを多く楽しむことができる。

 味噌汁、鍋物の具、炒め物、煮物、天ぷら、キノコ飯など。

参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本のきのこ」(山と渓谷社)
「家庭でできるキノコづくり」(大貫敬二著、農文協)
「きのこの見分け方」(大海秀典他、講談社)

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