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モリエールあきた

 中華料理でお馴染みのキノコで、漢字で「木耳」と書く。確かに木の耳のように生える。高山帯のブナ林などに多く生える。歯切れの良い美味しさがあり、商品価値も高い。一方、低山帯や平地に生えるアラゲキキクラゲは、やや固く味が劣る。
発生時期等

 初夏から初秋にかけて、ブナ林帯のブナやミズナラの風倒木に生える。イワナ釣りで沢を釣り上がっていると、風倒木に生えているキクラゲを発見することがある。ゼラチン質のキノコで、色は黄褐色から褐色。円盤状、盃状、耳状で隣同士が互いに癒着することがある。

 人工栽培の乾燥品も、天然物と遜色がなく、コクのある旨味が出る。
採り方・・・ナイフで切り取る
料理

 コリコリとした歯ごたえが美味しさの秘訣で、きゅうり、セロリ、はくさい、もやしなどと相性が良い。中華風の炒め物や煮物に相性がいい。ミズなどの山菜と一緒に油で炒め、砂糖、味噌、コショウで味付けする。他に酢の物、酢味噌あえによくあう。熱湯にキクラゲを入れ、素早く上げて冷水にさらし、三杯酢であえると、コリコリして美味い。
保存・・・天日干し、冷凍保存

天日干し・・・市販品でも乾燥品が主流。乾燥キクラゲは、水又はぬるま湯で戻すと10倍に膨らむ。
冷凍保存・・・調理しやすい大きさに切ってから保存袋に入れて冷凍する。
薬効

 中国では、昔から不老長寿の妙薬として珍重されてきたが、キクラゲには実に幅広い薬効があることが明らかにされている。また、滋養効果が高いことから様々な薬膳料理にも使用されている。

免疫力アップ・・・β-グルカンを含み、生体免疫力を高める効果がある。また、抗ウイルス作用も期待できる。
骨粗しょう症の予防・・・カルシウムの吸収を促進するビタミンDが豊富。もともとカルシウム、マグネシウムが豊富。

疲労回復、老化防止効果・・・ビタミンB群、ビタミンEが豊富。
滋養強壮、乾燥肌防止・・・キクラゲ独特のヌルヌル成分の効果
脳梗塞、心筋梗塞の予防・・・エルゴステリンという成分が豊富なため、血液をサラサラにし、血栓を予防する。
造血作用、貧血の改善・・・鉄分、カリウムが豊富

胃潰瘍、痔などの止血・・・消化管や痔に出血がおこった場合、キクラゲと黒砂糖を煎じて飲むと、すぐに出血が止まるほど即効性がある。昔から結核、胃潰瘍、痔の特効薬として利用されている。
コレステロール値、血糖値を下げる効果・・・酸性多糖類を多く含む

血圧を下げる効果・・・カリウムを多く含む
10 健康な皮膚、髪、爪をつくる・・・ビタミンB2が豊富
11 大腸ガンの予防、便秘の改善効果・・・特に乾燥キクラゲは食物繊維がずば抜けて多い。
ヤマブシタケ

 コナラ、ミズナラ、カシ、クヌギなどの枯幹や風倒木、老木のくぼみなどに垂れ下がるように生える。山伏が胸につける「鈴懸」の飾りに似ていることから名づけられた。白い大きなボール状で良く目立つが、手が届かないほど高い幹に生えている場合が多い。採れる量も少ないことから、幻のキノコとして珍重されている。
発生時期等

 9月~10月、ミズナラ、ブナなどの枯れ幹、倒木などに生える。一般的なキノコ採りの対象にはなっていないが、マイタケ採りなどで出会うことも少なくない。

■方言・・・ウサギモタシ(仙北)、ウサギタケ(仙北)
採り方

 手の届く範囲は、根元をナイフで切り取る。手が届かないほど高い幹に生えている場合は、柄の長い鎌で切り落とす。
料理

 針状で丸く、肉質はスポンジのように水分を含んでいる。歯ざわり、口当たりともに良く、さっと茹でて水気をしっかり絞り調理する。刺身風にワサビ醤油で食べると美味い。鶏肉とのあわせ煮や煮付けも美味い。

 刺身風おひたし、煮付け、酢の物、酢味噌和え、吸い物、酢醤油漬け、茶碗蒸し、天ぷらなど。仙北地方では、特に梅漬けに入れる。
薬効

 中国では、熊の手、ナマコ、フカヒレと共に四大山海珍味として扱われ、古くから薬膳料理に用いる健康食材として珍重されてきた。ガンや糖尿病、免疫力調整、高血圧、認知症、心筋梗塞・脳梗塞の予防などに効果のある薬用きのこ。健康食品として、乾燥粉末、錠剤、まるごと乾燥したものなど多様な商品が流通している。天然物は、細かく裂いたものを乾燥させ、煎じて飲む。
参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本のきのこ」(山と渓谷社)
「キノコ狩りガイドブック」(伊沢正名、川嶋健市共著、永岡書店)
「家庭でできるキノコづくり」(大貫敬二著、農文協)

モリエールあきた