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モリエールあきた

 クリタケは、その名の通り栗色をしているが、太い枯れ木では周囲一面に株になって発生し、比較的収穫量も多い。秋田では「アカキノコ」と呼ばれ、古くから食用のキノコとして利用されている。サワモダシと同じく里山の雑木林でも採れるし、奥山のブナ林でも採れる。

 最近は、原木栽培が盛んで、天然物に比べて味や風味に遜色がないという。一度植菌すれば5~6年は発生し、つくりやすいので自家用には最適なキノコと言われている。
発生時期等

 発生は10月中旬~11月中旬頃。発生のピークは11月上旬から初冬で、ムキタケと同じく晩秋のキノコである。ブナやクリ、ミズナラ、コナラなどの枯れた根株、倒木に株状に発生する。傘はツボミで3cm内外の饅頭型、開くと5~8cmの栗色から赤褐色の美しいキノコである。

方言・・・アカキノコ、クリノキモダシ、ヤマドリモダシ、キジタケ
ブナ林内で探すコツ

 ブナ林では、ミズナラの立ち枯れ木の根元周辺や倒木の根株周辺に発生する場合が多い。特に根返り木の根元はクリタケの絶好の発生場所である。10月下旬~11月上中旬頃、ナメコ、ムキタケ採りの副産物として採っている。
▲クリタケ幼菌

 柄にササクレ状の繊維模様があり、幼菌は全体的に白っぽい。
▲傘の周辺部に白い皮膜が点々とついている。 ▲傘は饅頭型から平らに開く。
▲乾燥すると傘表面がひび割れる。 ▲若いクリタケは傘裏が白く美しい。
▲ジャンボクリタケ

 「これってクリタケ?」と疑いたくなるほど、傘は大きく開き波打ち、茎も太く長く成長する。
採り方

 採取のコツは、崩れ易い傘には触れず、柄の根元をカッターナイフで切り取るか、根元をつまんで採る。
クリタケ料理

 クセのない風味と歯切れの良さが特徴で、良い出汁が出るので鍋物や煮物に適している。塩蔵したクリタケは、翌年、フキやニォサク、ワラビなどと一緒に煮付けると美味しい。その他、味噌汁、炒め物、おかゆ、炊き込みご飯、フライ、うどん、中華風雑炊など。
保存法・・・自然乾燥、冷凍

 昔から乾燥して干しキノコとして貯え、冬のヤマドリ、キジの鍋に入れると一層美味い。だからヤマドリモダシ、キジタケの名で呼ぶ地方名がある。
猛毒・ニガクリタケに注意

 夏~秋、枯れ木や切株に束生する毒キノコ。幼菌のクリタケに似ているが、強い苦みがあり、誤食は稀だが、毒性が強く死亡例もあるので注意。

 誤食すれば、数時間で舌がピリピリし、激しい嘔吐や下痢、痙攣に襲われる。次第に意識不明になったり、数日後に死亡した例もある。絶対に手を出してはいけない猛毒のキノコ。傘は薄く径2~5cmと小さく、傘の色は硫黄色ですぐに判別できる。
チャナメツムタケ
チャナメツムタケ

 クリタケやナメコと同じ頃に生えるきのこ。傘の色やヌメリがナメコに似ていて、土から生えているように見えることから、別名「ツチナメコ」と呼ばれている。ブナ、コナラなどの腐植の多い広葉樹、モミやツガ、スギなどの針葉樹の地上や倒木、埋もれ木に数個~多数散らばって生えることが多い。
 幼菌の頃はクリタケ、傘が開くとナメコの成菌に似ている。ナメコとは、傘の縁に綿毛状のりん片がついているので区別できる。多少土の匂いがする野性的な風味をもったきのこ。
▲傘が開く前の幼菌・・・傘は饅頭型から平らに開く ▲クリタケとチャナメツムタケ

料理

 肉質も厚くヌメリ気もあり、火を通すとコクのある出汁が出る。ヌメリが強く、汁物にはナメコ以上にコクのある旨味がでる。鍋物、けんちん汁、野菜との油炒め、炭火焼、味噌汁、煮物など。
近縁種・シロナメツムタケ、キナメツムタケ(秋~晩秋)

 腐朽の進んだミズナラの落ち枝や埋もれ木に発生する。傘は茶白色で粘性があり、ヒダは白色のち淡褐色、茎は白色でややササクレがある。落葉が降り積もってから発生することが多く、見つけにくい。料理は、汁物、炒め物、味噌汁、煮付け、鍋物など。

参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本のきのこ」(山と渓谷社)
「あきた山菜キノコの四季」(永田賢之助、秋田魁新報社)
「きのこの見分け方」(大海秀典他、講談社)
「家庭でできるキノコづくり」(大貫敬二著、農文協)

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