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モリエールあきた

 シイタケは、春と秋の二回発生する。日本で最も普及している栽培きのこの代表である。ブナ林では、ミズナラの倒木に良く生えることから、マイタケ採りの副産物として出会う場合が多い。

 野山に自生するシイタケを日本人が食べるようになったのは、飛鳥時代以降といわれている。「医食同源」を旨とする中国から食用化が伝えられた。シイタケは、その食味の素晴らしさはもとより、古くから「不老長寿の妙薬」として珍重されてきた。それだけ薬効成分も多い。
 ミズナラやコナラ、クリ、シイ、クヌギなどの広葉樹、稀に針葉樹の倒木、切り株にも発生する。傘の表面がひび割れている場合が多く、周辺部に綿毛状の鱗片をつける。上の写真は、春にイワナ釣りの途中で出会った春シイタケである。
▲シイタケは、大きくなると平に開く。ヒダは白色で、密。

 シイタケは、傘が八分くらいに開いて胞子が落ちる寸前の成熟したものが美味しいと言われる。右の写真のように平らに開くと開き過ぎであるが、天然の場合はバラつきが多い。特に大きく傘が開いたジャンボシイタケに当たることも少なくない。
▲ジャンボシイタケ

 秋に生えるシイタケは、表面にひび割れもなく、「これがシイタケか?」と疑うほど巨大になる。ただし、傘が大きなシイタケは、塩ふり焼きにすれば香りが増して絶品である。
▲シイタケ ▲ツキヨタケの幼菌と紛らわしいので注意

食中毒キノコのトップはツキヨタケ

 厚生労働省のまとめによると、平成14年から平成23年まで毒キノコによる食中毒は、ツキヨタケがトップ・・・198件、患者数は765人に及ぶ。二位はクサウラベニタケで110件、382人。

 平成24年は、32件、110人。県別では、山形県がトップで14件、46人。秋田県は3件、20人で全国4位と上位に位置している。ツキヨタケは、幼菌がシイタケ、成菌はムキタケ、ヒラタケと間違って誤食するケースが後を絶たない
ツキヨタケとシイタケの判別法

 紛らわしい毒キノコ・ツキヨタケは、柄が極端に短く下から見ればすぐに判別できる。シイタケの柄は3~10cmと長く強じんである。念のため、きのこを縦に裂く・・・紫色の染みになっているのが毒のツキヨタケである。
シイタケの保存法

冷凍保存
 洗わずに傘と茎を切り分け、茎はスライスして冷凍用の保存バックに入れて冷凍する。使用する時は解凍せず、そのまま料理に使う。

天日による自然乾燥
 太陽に当てると、カルシウムの吸収に必要なビタミンDが約10倍に増えるという。多く採れた場合は、天日乾燥がベストであろう。

 干しシイタケを戻す場合は、多めの冷水に浸し、時間をかけて水戻しするのが美味しく調理するコツ。
シイタケ料理

 焼き物、バター炒め、煮物、天ぷら、鍋物、味噌汁など、どんな料理にも合う。ちなみに、天然シイタケとホダ木栽培されたシイタケの味の差はほとんどないと言われている。しかし、市場で主流の菌床シイタケは味が劣る。
シイタケの薬効

 古くからシイタケは「不老長寿の妙薬」として珍重されてきたが、1960年代以降、数々の研究者たちによってシイタケの薬効が報告されている。そのシイタケの薬効は、ただただ凄いの一言である。

骨の形成・くる病の予防・・・骨の形成に重要な働きをするビタミンD2の母体であるエルゴステリンが多く含まれる。
血圧降下作用・・・人体実験で証明されている。
コレステロール値を下げる作用・・・有効成分はエリタデニン
インフルエンザの予防・・・胞子には抗ウイルス作用のあるインターフェロンを誘発する作用がある。
貧血防止・・・ビタミンD12は赤血球を増す作用があり、シイタケには豊富に含まれているので貧血ぎみの人によい。
ビタミンB1、B2も多く含まれる。
抗がん作用・・・シイタケに含まれる多糖体「レンチナン」が、抗がん剤として中央薬事審議会で製造が承認された。
美容食に最適・・・カロリーが少なく、食物繊維が多い。

参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本のきのこ」(山と渓谷社)
「家庭でできるキノコづくり」(大貫敬二著、農文協)

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