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 川連漆器の起源は、鎌倉時代の健久4(1193)年、源頼朝の家人で小野寺重道が雄勝に封ぜられ、稲川城に居住したとき、その弟の道矩(みちのり)が家臣に内職として刀の鞘、鎧などの武具に漆を塗らせたのが始まりとされている。
 藩政時代には、藩の殖産興業政策の一環として生産・流通面で保護されたほか、蒔絵・沈金などの技術が導入されて現在まで営々と受け継がれている地場産業だ。
 国民文化祭では、「~縄文から未来へ~漆はなぜ日本人を魅了し続けるのか」と題し、いにしえから現在まで脈々と受け継がれ漆文化に携わる人々の思いと漆工芸の魅力を全国に発信するもので、10月4日~11月3日まで漆器の展示を行ったほか、漆工芸作品製作実演会や沈金・蒔絵体験、講演会も開催された。
 
  
漆器展から 
   
 漆器店の方が説明しながらの展示販売。平日の朝早い時間であったが、訪問者が次から次へと訪れる。 
   
  
   
  会場に並べたれた漆器の数々。お盆、トレー、茶托、菓子器などいろんな商品が展示販売されている。
 
 製作実演会場
  川連漆器の製作過程は大きく分けて4つの工程からなっているそうだ。原木から木地を掘るまでの木地工程、丈夫名ものをつくり仕上げがきれいにいくように基礎をつくる下地工程、漆を塗る塗り工程、さらに蒔絵や沈金などの装飾を行う加飾工程があり、原木から完成までに約1年かかるそうだ。
 製作実演会場では、お椀の下地づくり、重箱など指物の木地づくり、沈金の工程を実演。


 
 お椀の下地工程
   
 ロクロでお椀に削り出す。
 
 指物木地の製作実演 
   
 
   
 
 箱を作るまでの工程を実演してもらう。実演会場なので、簡易な器具を用います。刃の深さを調節したノコで曲げる部分に切れ目を入れ、ヤカンの蒸気で曲げるとこのとおり。材料はホオノキ。知り合いの製材工場からわけてもらっているとのこと。
 
沈   金 
   
 細かい匠の仕事です。自慢そうに見せてくれました。 
 
湯沢市川連漆器伝統工芸館 
  川連漆器を知るには、伝統工芸館を訪れることをお勧めする。作業工程や工作機材などが展示されている歴史資料館、製品の展示・販売コーナーが設置されているほか、沈金や蒔絵が体験できる工房を併設している。
 湯沢市川連漆器伝統工芸館  google位置図
 歴史資料館の一部、お椀の原木と、それから掘り出されるお椀。樹種によって様々な色や文様が現れている。 
   
 
 各工程で使用する道具や昔の道具も展示されている 
   
 
  毎年、この時期に開催される『川連塗りフェア』へ、ここ10年間で数回訪れている。その度毎、新しい漆器が開発されていたり、デザインセンスが良くなっていると感じる。いくら伝統工芸といっても、変化しないと廃れていく。
 以前訪れたとき、塗りに取り組んでいる若い人たちが活躍しているのを見聞し、新たな息吹を感じた。匠の技と若い世代が一体となり、時代に合った製品の開発や新たなデザインを追求してもらいたいもの、と希望してやまない。