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昆虫シリーズ㉒ セセリチョウの仲間

イチモンジセセリ
  •  4つの白斑が一列に並ぶのが特徴。訪花性が非常に強く、各種の花を訪れる。路上で吸水するほか、腐果や獣糞無にも集まる。8月下旬から9月中旬に羽化する世代は、集団で移動し、時に大集団になるという。
  • 名前の由来・・・後ハネに白色の紋が一直線に並ぶセセリチョウの仲間であることから。 
  • 生息環境・・・平地~丘陵地の水田で発生・増殖し、秋にかけて個体数が増加する。その間、都市の花壇や山地、高山でも普通に見られる。 
  • 食草・・・イネ、イヌムギ、チガヤ、エノコログサ、メヒシバ、ススキ、アズマネザサなど各種イネ科植物。 
  • イタドリの花とイチモンジセセリ 
オオチャバネセセリ
  •  4~5つの白斑がジクザグに並ぶのが特徴。各種の花を訪れるほか、鳥獣の糞などで吸い戻しする行動が見られる。 
  • 名前の由来・・・大型で茶色のセセリチョウの仲間であることから。 
  • 別名「ハナセセリ」と呼ばれるほど、花に集まり蜜を吸っている。 
  • 生息環境・・・平地~山地のササ原や樹林周囲の草地。 
  • 食草・・・アズマネザサ、メダケ、ミヤコザサ、クマザサ、ススキなど。 
ダイミョウセセリ
  •  前ハネには、黒地に白い紋があるが、後ハネは真っ黒。山道や林の周辺、特に渓流沿いの山間部に多い。飛んではすぐに止まる。その際、ハネは開いて止まるので、ハネの裏側はなかなか撮れない。ヒメジョオンやアザミ類などの花を訪れるほか、吸水や獣糞での吸汁も行う。 
  • 黒だけでなく、茶色の個体もある。
  • 名前の由来・・・黒地に白い紋が、大名の羽織袴に似ていることや、羽を平たく開いて止まる習性が大名行列に平伏する民の姿に似ているからなどの説がある。 
  • 生息環境・・・平地~山地の樹林及びその周囲の草地。 
  • 食草・・・ヤマノイモ、ナガイモ、オニドコロなど。 
キマダラセセリ
  •  ハネの裏は、橙黄色と褐色の斑模様が特徴。ハネの表は、波のような形をした褐色とオレンジ色が交互に並んでいる。複眼は褐色で大きい。ヒメジョオンやノアザミ、ヒヨドリバナなどの花を訪れるほか、地面で吸水も行う。
  • 名前の由来・・・黄色地に黒っぽい斑模様が見られるセセリチョウの仲間であることから。 
  • 生息環境・・・平地~低山地の樹林及びその周囲の草地。都市公園や雑木林でも見られる。 
  • 食草・・・アズマネザサ、マダケ、クマザサ、ススキ、エノコログサなど。 
ミヤマセセリ
  •  くすんだ色合いに、後ハネには黄色い斑点が散りばめられている。ヒメギフチョウなどと同じく春にだけ現れるチョウである。新芽も出ないような雑木林を、時にはクマバチと追いかけっこをしながら、忙しそうに飛んでいる。スミレ類やタンポポ類などの花を訪れる。地面にハネを開いて止まり、日光浴をする。 
  • 名前の由来・・・深山で見られるセセリチョウの仲間であることから。
  • 生息環境・・・平地~山地の落葉広葉樹林。手入れされた日当たりの良い雑木林でよく見られる。
  • 食草・・・コナラ、クヌギ、ミズナラなど。 
コチャバネセセリ
  •  ハネの表は焦げ茶色で、半円を描くように白点が並んでいる。ハネの裏は黄土色で、黒い筋が何本も通り、黄白斑が並ぶ。斑紋は、オスメスともほとんど同じだが、オスはハネの表に黒い性標が斜めに走る。日中、ウツギ類、ヒヨドリバナ、アザミ類、ヤマブキショウマなどの花を訪れるほか、集団で吸水したり、獣糞にも集まる。
  • 名前の由来・・・小さい茶色のハネをもつセセリチョウの仲間であることから。 
  • 生息環境・・・平地~山地の森林内にタケ類、ササ類の生える林縁や林道沿いなどでよく見られる。 
  • 食草・・・クマザサ、ミヤコザサ、メダケ、アズマネザサなど。 
アオバセセリ
  •  地味なセセリチョウの中では、とても美しく、マニアの中では人気が高いという。ハネの裏は、明るい青緑色にハネ脈に沿って黒条が走り、目立つ赤橙色の模様がある。春は日中に、夏は早朝と夕方によく活動し、ウツギなどの花を訪れるほか、吸水、獣糞での吸汁も見られる。
  • 名前の由来・・・青色のハネをもつセセリチョウの仲間であることから。
  • 生息環境・・・平地~山地の広葉樹林。寒冷地では、アワブキの生える沢沿いの樹林でよく見かける。
  • 食草・・・アワブキ、ミヤマハハソ、ヤマビワ、ナンバンアワブキなど。
参 考 文 献
  • 「フィールドガイド 日本のチョウ」(誠文堂新光社)
  • 「別冊太陽 昆虫のとんでもない世界」(平凡社)