昆虫シリーズ63 ハナムグリ、カナブン、ジョウカイボンの仲間
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- 花に潜るハナムグリ、樹液を好むカナブン(コガネムシ科)
ハナムグリは、花に潜り込んで蜜や花粉を食べる甲虫。コガネムシ科の甲虫で、カナブンと同じ仲間である。一般にコガネムシは、夕方から夜にかけて活動するが、ハナムグリとカナブンは昼間活動する変わり者。花を好む仲間には、ハナムグリ、コアオハナムグリ、アオハナムグリ、シロテンハナムグリなど。樹液を好む仲間には、カナブン、アオカナブン、クロカナブンの3種がいる。
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- ハナムグリとカナブンの識別・・・ハナムグリとカナブンは体の形がよく似ているが、決定的に違う点は体に白い斑点模様があるとハナムグリ、全くないのがカナブンである。
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- 送粉者・ハナムグリ・・・ハナムグリの全身には細かい毛が密生している。彼等が花に潜り込むと、毛足に花粉がつく。身体中に花粉をまとったハナムグリは、また別の花に潜り込むことで、花粉がめしべに付着し、受粉が行われる。
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- 参考動画:【花に集まる甲虫】ハルジオンの花に集まるハナムグリを観察する - YouTube
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- 素早く飛ぶ・・・ハナムグリは、金属でできたようにキラキラ輝いているように派手な色をしていて、飛ぶのもうまい。近い仲間のコガネムシは、地味な色が多く、飛ぶのも下手だ。ハナムグリは、手でつまんで、空中にポイと投げると、ハネの横から薄い透明なハネをさっと出して、素早く飛ぶことができる。コガネムシやその仲間のカブトムシは、すぐに飛べずに落ちてしまう。
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- 昼行性・・・カブトムシもコガネムシも夜行性だが、ハナムグリは昼行性だ。ハナムグリとコガネムシの関係は、チョウとガの関係によく似ている。
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- 幼虫・・・ハナムグリの幼虫は、枯れ葉が降り積もってできた腐葉土を食べる。 白い大きなウジ虫形で、カブトムシの幼虫に似ている。違う点は背中。ハナムグリの背中は、強い筋肉とブラシのような毛があって、仰向けになって背中で歩く点だ。
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- ハナムグリ(ナミハナムグリ)
鮮やかな黄緑色~深緑色。上ハネ側縁と上ハネには黄灰色~灰白色毛が生えている。上ハネに光沢はほとんどない。明瞭な2対の縦隆条が認められる。毛の密度や白色の紋模様は変異、個体差があることから、写真だけで本種と識別するのは難しい。一般的にアオハナムグリは毛が少なく、本種は毛が多い。またアオハナムグリの腹部は銅色をしている。また頭部の先が縁どられたように見える。
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- コアオハナムグリ
最も普通に見られる小型種で、春先によく見られる。緑色から銅色に、白い斑点模様をした小さなハナムグリ。ハネにうぶ毛状の細かい毛が多く、腹部は黒い。色には変異が多く、赤褐色や褐色なども。ハナムグリと似ているが、上から見た上翅中央に白い斑点で区別できる。アオハナムグリと白い斑点模様は似ているが、アオハナムグリは大きくて、もっと緑色をしている。
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- アオハナムグリ
腹部は銅色、上ハネは濃い緑色で光沢が強く小白紋が散りばめられている。毛はほとんど見られないが、腹部の頭部から胸部にかけてはまばらに黄色毛が見られる。
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- 参考動画:アオハナムグリの求愛飛翔/海野和男 - YouTube
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- シロテンハナムグリ
金属光沢がある緑色で、前ハネには白色点が散りばめられている。時には赤色みがある個体も。花だけでなく、樹液や果実にも集まる。北海道から九州まで分布。雑木林の樹液にやってくる。
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- 参考動画:シロテンハナムグリ〜知れば外歩きが100倍楽しくなる!身近な昆虫の特徴紹介〜 - YouTube
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- シラホシハナムグリ・・・シロテンハナムグリに似ているが、本種は上ハネの中央付近の白斑が集まってやや大きな白紋になることが特徴。北海道から九州まで分布。雑木林の樹液にやってくる。
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- 樹液に集まる昆虫群集・・・昼間は、カナブンなどの中小型の甲虫、各種スズメバチ、オオムラサキ、ゴマダラチョウなどが利用する。夜間には、カブトムシやクワガタムシ、カミキリムシなどの大型甲虫が集まる。さらにケシキスイなどの微小な甲虫は昼夜を問わず利用する。
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- 参考動画:カブトムシVSカナブン - YouTube
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- 参考動画:ボクトウガの幼虫(23分40秒あたりで幼虫が登場)・・・木に穴を掘って暮らすボクトウガの幼虫は、木に傷をつけて樹液の浸出を促進し、そこに集まる小さな昆虫を捕食する。
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- アオカナブン・・・背面は、金属光沢がある緑色。雑木林などの広葉樹林で見られ、クヌギ、コナラなどの樹液に集まるが、数は少ない。7~8月に現れる。体長22~27mm。
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- クロカナブン・・・背面は、金属光沢がある黒色。雑木林に見られ、クヌギ、コナラなどの樹液に集まるが、数は少ない。7~9月に現れる。体長25~28mm。(写真:クロカナブンとゴマダラチョウ)
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- 参考動画:カナブンの多さにイラついているカブトムシ - YouTube
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- ジョウカイボンの仲間
ジョウカイボンの仲間は、一見カミキリムシに似ているが、実はホタルに近い種で、体が柔らかい。カミキリムシは主に樹木を食べるが、ジョウカイボンの仲間は肉食で他の昆虫を捕らえて食べるほか、花を訪れて花粉を食べるものもいる。初夏に多く見られる。夜間灯火にも集まる。
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- 名前の由来・・・高熱で死んだ浄海坊(平清盛)に由来していて、触れると火傷のような炎症を起こすカミキリモドキ類と間違えられて名付けられたと言われている。
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- ジョウカイボン・・・広葉樹の葉の上や様々な花で見られるほか、活発に飛翔する。ハネが茶褐色で、時に黒化して類似種との識別が困難な個体も出現する。成虫は5~7月に現れる。
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- 参考動画:ジョウカイボンの飛翔/海野和男 - YouTube
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- 参考動画:キンイロジョウカイの交尾 - YouTube
- キンイロジョウカイ・・・茶色っぽく、前ハネには紫銅色の美しい金属光沢がある。ジョウカイボンやヒメキンイロジョウカイに似るが、前ハネの後端だけが薄茶色になっていることで見分けられる。成虫は5~6月に現れる。体長20~23mm。本種は秋田に生息せず、関東以西、四国、九州に分布。
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- ヒメキンイロジョウカイ・・・本種はキンイロジョウカイに比べるとやや小型で、艶も控えめ。また、キンイロの場合は前ハネの後半に褐色の領域があるのに比べ、本種はほぼ均一の色合いである。
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- アオジョウカイ・・・広葉樹の葉の上で見られる普通種。ハネは鈍い光沢のある青紫色で、前胸背は両端が黄色く縁どられる。黒化することもあり、クロジョウカイと識別が困難な個体もあるという。成虫は5~8月に現れる。体長 14~20mm。北海道、本州、四国に分布。
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- セスジジョウカイ・・・春に見られ、上ハネの中央と両脇に黒い帯模様がある。体長11mm前後。4~5月に現れる。本州に分布。
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参 考 文 献 |
- 「ファーブル先生の昆虫教室」(奥本大三郎、ポプラ社)
- 「身近な昆虫のふしぎ」(海野和男、サイエンス・アイ新書)
- 「日本の昆虫1400」(文一総合出版)
- 「フィールドガイド 身近な昆虫識別図鑑」(海野和男、誠文堂新光社)
- 「くらべてわかる甲虫」(阿部浩志ほか、山と渓谷社)
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