昆虫シリーズ77 昆虫切手
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- 昆虫は、驚くほど美しい色彩の種が多く、大きさも形も多種多様で、地域による特徴も明確である。多くの国では、国を代表する昆虫を選び切手を発行している。「世界の昆虫切手」(JPS昆虫切手部会編)種別リストより推定された種別割合によると、チョウ目が76%と圧倒的に多い。昆虫の中でチョウが最も愛されていることは、世界共通であることが分かる。ちなみに2位は甲虫目で約9%、3位がトンボ目で約3%となっている。またJPS昆虫切手部会が選ぶ「昆虫切手」ベスト50によれば、1位がヨーロッパアカタテハ(スイス)、2位がオオムラサキ(日本)、3位がニシキオオツバメガ(マダガスカル)、4位がアカエリトリバネアゲハ(サラワク)、5位がカイコガ(レバノン)となっている。いずれもチョウ目の昆虫が上位を占めている。
- INDEX 日本の純昆虫切手第1号・オオムラサキ、昆虫切手シリーズ、純昆虫切手・準昆虫切手、第1集~第5集、世界の昆虫切手、ニシキオオツバメガ(マダガスカル)、ブータン・スリランカの昆虫切手、南米パラグアイの昆虫切手、中国の昆虫切手、ベトナムの昆虫切手、タイの昆虫切手、マレーシアの昆虫切手、昆虫切手収集家、JPS昆虫切手部会
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- 日本の純昆虫切手第1号・オオムラサキ(1956年6月20日)・・・オオムラサキの♂が多色グラビア印刷で美しく描かれている。JPS昆虫切手部会が選ぶ「昆虫切手」ベスト50でも第2位に選ばれている。故江崎悌三九州大学教授の随筆集「国蝶オオムラサキ」には、「来る20日に75円の新切手が発行される。それにオオムラサキという美しい蝶が自然の色彩のまま描かれるのである。昆虫好きの人にはうれしい話である・・・」とし、オオムラサキが「国蝶」に決定した由来を紹介している。
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- 昆虫切手シリーズ・・・郵政省は、1986~1987年まで、4種ずつの昆虫を5回に分け20種、さらに5集目の発行時に蝶4種を印刷した小型シートも発行された。その数は22種で、その内訳は、チョウ目7種、トンボ目6種、甲虫目7種、カメムシ目2種である。(切手写真:コノハチョウ、ミヤマカワトンボ)
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- 純昆虫切手、準昆虫切手・・・種が判別できるものを「純昆虫切手」と呼ぶ。切手の片隅に昆虫が小さく描かれていたり、抽象的で種の判別ができないものを「準昆虫切手」と呼んで区別している。(切手写真:ヒゲコガネ、キバネツノトンボ)
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- 第1集・・・ウスバキチョウとアカスジキンカメムシ、ルリボシカミキリとムカシトンボ
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- 第2集・・・オオクワガタとキリシマミドリシジミ、ミヤマクワガタとマイマイカブリ(切手写真:ミヤマクワガタ、オニヤンマ、マイマイカブリ、ミヤマアカネ)
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- 第3集・・・ウスバツバメガとベッコウチョウトンボ、オガサワラタマムシとエゾゼミ
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- 第4集・・・ミヤマクワガタとオニヤンマ、アサギマダラとヤンバルテナガコガネ
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- 第5集・・・キバネツノトンボとヒゲコガネ、コノハチョウとミヤマカワトンボ
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- 昆虫シリーズ 蝶(1987年、郵政省)
- ウスバキチョウ・・・北海道大雪山系の高山帯に生息する特別天然記念物。幼虫はコマクサを食べ2年かけて成虫になる。切手の背景はコマクサ。
- クモマツマキチョウ・・・本州中部の標高1000~2000mの渓流,転礫の多い川原などに生息。低山地では4月下旬から、高山帯では7月下旬まで見ることができる。
- アサギマダラ・・・日本に飛来するアサギマダラは、春に南西諸島や台湾などの暖かい地域から飛んできて日本の夏を高地で過ごし、世代交代しながら、秋には南に移動している。切手の背景はアザミの花。
- オオムラサキ・・・日本の純昆虫切手第1号(1956年)で、日本の国蝶。成虫は、コナラやミズナラ、クリなどの樹液に集まることから、切手の背景には雑木林が描かれている。
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- キリシマミドリシジミ(本州~九州)/ミヤマクワガタ(北海道~九州)/モンシロチョウ(日本全土)/カブトムシ(本州~沖縄)
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- ミヤマアカネ(北海道~九州)/オニヤンマ(日本全土)
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- 世界の昆虫切手・・・上左からアカエリトリバネアゲハ(マレーシア)、フトオビアゲハ(ペルー)、キアゲハ(日本)、パプアモンキアゲハ、オナガタイマイ、アオスソビキアゲハ、アポロウスバシロチョウ
- アカエリトリバネアゲハ(サラワク)・・・1950年、世界最初の純蝶切手で、マレーシア独立前のイギリス領時代に発行。
- アポロウスバシロチョウ・・・ヨーロッパの代表的なパルナシウス属のチョウ。この種を描いた切手は、ヨーロッパ各国から発行されている。
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- ニシキオオツバメガ(マダガスカル、1960年)・・・フランスで印刷された多色刷凹版の美しい切手。ニシキオオツバメガは、マダガスカル固有種で、世界一美しい蛾と呼ばれている。19世紀には、この美しいハネを使って、人々は身を飾り立てたという。JPS昆虫切手部会が選ぶ「昆虫切手」ベスト50でも第3位に選ばれている。
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- ブータン・スリランカの昆虫切手・・・上がシロモンアカネシロチョウ、キゴマダラ、下左からニジオビイナヅマ、オオチャイロイチモンジ、ブータンシボリアゲハ、チャイロタテハ
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- 南米パラグアイの昆虫切手・・・上右からタイヨウチョウ、エガモルフォ、下右からヘルナモルフォ、ミイロタテハ
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- マレーシアの昆虫切手
- 昆虫切手収集家・・・「文化昆虫学事始め」には、「昆虫切手収集家はムシ屋の性格を持っているから切手を集め始めると無我夢中になり、他のことは目に入らず収集に夢中になってしまう。1980年代は昆虫切手に限らず切手収集の黄金時代で、昆虫切手収集家も熱にうかされたように昆虫切手を集めた・・・その頃、デパートで切手の即売会がよく開かれ、たくさんの切手商が出店した」
- JPS昆虫切手部会・・・切手収集家の集まりである公益財団法人日本郵趣協会の傘下で活動する昆虫切手収集家の集まりである。 昆虫切手を収集したい方は、情報の入手が不可欠だから、この会に入ることがベストだと言われている。それにしても昆虫の世界は、虫捕りや飼育観察、標本づくり・収集、写真・動画撮影だけでなく、世界の昆虫切手収集の楽しみまである。昆虫の魅力は、一生追い求めても尽きることはない。
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参 考 文 献 |
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