本文へスキップ

森と水あきたTOP

 2013年8月21日(水)~22日(木)、「平成25年度秋田県緑の交流集会」が秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンを会場に開催された。参加者は、5団体38名(児童32名、引率者6名)。二日間にわたり、各団体の活動発表や森のクラフト、夜の昆虫観察、森の散策・森の地図作成などが行われ、お互いに相互理解や協調精神、連帯を深め合った。
 秋田県緑の交流集会は、県内の緑の少年団結成校、緑化や森林・環境教育活動等に積極的に取り組んでいる学校・エコクラブ等の児童生徒が、自然体験や共同生活を通じて交流を図りながら、水と緑を愛する心を育むことを目的に開催された。

●内容/活動発表、森のクラフト、自然観察(昆虫)、自然体験(森の散策)など
◆主催/秋田県、公益社団法人秋田県緑化推進委員会
■参加団体・・・湯沢市立秋ノ宮小学校、八峰町立水沢小学校、ボーイスカウト秋田31団カブ隊、子どもエコクラブハッピーハッピー、マックスバリュ東北 秋田イオンチアーズクラブ
開会式・オリエンテーション
各団体ごとに自己紹介
アイスブレーク「木こりの親方」

 アイスブレークとは、初対面の人同士が出会うとき、その緊張をときほぐす手法のこと。その手法として各班ごとに分かれて、学習交流の森へ行き、ネイチャーゲーム「木こりの親方」で競い合った。
 各班の指導者(森の案内人)が前もって木にバンダナを結んでおく。各班の一人が親方になり、他が手下となる。まず親方は、バンダナを結んだ木を見つけるために、誰が何を報告するかを打ち合わせる。手下は、バンダナを結んだ木を見て、その特徴を一人が一つ、親方に報告する。

 その間に指導者はバンダナをはずしておく。親方は、一切森の方を見ることはできない。親方は、手下の情報だけをたよりに、その木をあてる。早くあてると勝ち・・・各班ごとに競い合う。
▲親方は、手下に何を報告させるかを打ち合わせする

 バンダナを結んだ木は、右か左か、距離は何歩ぐらいか、木の太さ、高さ、木の肌、葉の形、木の花の色などを手下に役割分担して報告させる。 
▲親方は、手下の情報だけをたよりに森の中を歩き、バンダナを結んだ木を探しあてる
 親方を交代して、数回ゲームを繰り返す。次第に初対面の子供たちは、緊張がときほぐされ、仲間の結束力、協調性が高まっていった。
活動発表交流

 各団体ごとに、日頃行っている森づくり活動や森林・環境教育活動などの地域独自の取り組みについて発表、意見交換を行った。
森のクラフト「フラワーポット」・・・右下の写真は、今日作成する見本
 フラワーポットの作成は、子どもたちにとってレベルの高いクラフトであった。しかし、子供たちは、組立図を見ながら釘と金づちを上手に使って、意外にスムーズに組み立てていった。
▲指導者は、子どもたちが作ったフラワーポットに焼き目を入れて完成
自然観察「昆虫の世界」

 講師は、秋田自然史研究会会長の高橋雅彌(まさや)先生。まずは、高橋先生が前もって仕掛けた場所を回り、集まった昆虫観察を行うために真っ暗な学習交流の森へ。
 学習の森に向かう途中、草むらから「ルルルル」と連続して鳴く虫がいた。「カンタン」という虫だという。
 昆虫を集めるには、明るい満月の夜はよくないとのことであったが、様々な昆虫を観察することができた。子供たちは、自分たちが見つけた昆虫の名前や生態について次々に質問していた。
▲バナナトラップ ▲さまざまな昆虫を観察 

 昆虫をエサで誘引する方法として左の写真は、発酵させたバナナを木につるし、その強烈な臭いで昆虫を集める方法で、バナナトラップと呼ぶ。吊るす高さによって集まる昆虫も違ってくるという。真ん中下のビンに入っている虫は「オサムシ」。

漫画家・手塚治虫とオサムシ

 偉大な漫画家・手塚治虫は、幼いころから昆虫少年で、彼が最も愛したオサムシをおりこんでペンネームを「治虫」と名付けた。オサムシの仲間で、マイマイカブリは、首がひょろ長く、目玉がギョロッとしていて、自分に似ているから特にお気に入りだったという。
▲ライトトラップによる昆虫採集

 明かりをつけて昆虫を集める方法をライトトラップという。白い布を地面に垂直に立て、発電機を使って蛍光灯とブラックライトの光で昆虫を集める。人間には紫外線が見えないが、昆虫には見えるという。だからブラックライト(紫外線)の方に昆虫が多く集まっていた。
▲昆虫の世界の講義

 高橋先生が採集したスズメバチの仲間やセミ、トンボ、水生昆虫などの標本を見せながら解説してくれた。そして、昆虫で絶滅が心配されているのは、荒地.、草地、小さな木の林、大きな木の林のいずれかと質問。
 それは草地に生息している昆虫だという。かつて家畜の放牧や牧草として利用されていた頃は、人の手が加わっていたので、多くの昆虫が生息していた。ところが、牧草は外国産の飼料に代わり、草地の荒廃が進むと、オオウラギンヒョウモンやチャマダラセセリなどの蝶類の姿がほとんど見ることができなくなったという。

 昆虫の多様性を守るためには、木を植えるだけでなく、草地に手を加えて再生させることも必要だと力説した。人の手が加わった二次的自然は、人の手を加えなくなると生き物の多様性は著しく低下することを知ってほしい。
森の散策「宝探し・スタンプラリー」

 森の中に7つの宝箱が隠されている。ヒントを頼りに宝箱を見つけると、その中には○×式のクイズとスタンプが入っている。正しいと思った方にスタンプを押す。ゴールしたら、答え合わせをする。
▲学習交流の森へ移動 ▲宝物の中にはクイズとスタンプが入っている
 宝物探しは、各班ごとに行動し、クイズの答えは各自で正しいと思った方にスタンプを押す。お互いに協力し合って次々に宝物を探し当て、スタンプを押してゆく子どもたち。
▲森の中で一際美しい花を咲かせているサルスベリの花
▲クイズの答え合わせ
森の地図づくり

 班ごとに分かれ、机の上に大きな紙をひろげる。一人ひとつの色のクレヨンを持つ。指導者が森の風景を、例えば「右に家があります」「家の裏には大きな杉の木があります」と言ったことを協力して描いていく。家を大きく描いてしまった班は大きな杉の木が描けない。消しゴムはないので、みんなで協力してどうにか描くしかない。
▲各班の「森の地図づくり」完成図

 同じものを描いたはずだが、五班五色で全く違った地図になっている。答えは一つではなく、全員が正解・・・お互いの個性、多様性を認め合いましょう。
▲最後に皆で記念撮影

 二日間、初対面の仲間たちと力を合わせて充実した緑の交流集会を終え、全員満足の笑顔!。今後は、緑の少年少女たちが各地域の健全な森づくり運動の推進役として活躍され、「みんなが森林の応援団」の輪がさらに広がることを期待したい。

森と水あきたTOP