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 2013年8月4日(日)、森の学校第8回目「夏休み森林環境教育 全国認定゛子ども樹木博士゛になろう!」が秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンを会場に開催された。きょう覚えなければならない木の名前は30種・・・その難題を突破し、「子ども樹木博士」が2名誕生した。

●内容/フィールド樹木観察会、樹木博士認定証授与 ▲対象/小学、中学
◆主催/秋田県森林インストラクター会
◆協賛/(一社)秋田県森と水の協会 協力/秋田県森林学習交流館・プラザクリプトン
子ども樹木博士とは・・・

 子どもたちが樹木の名前を覚えて、それをきっかけにして広く森林に親しんでもらうことを目的としたボランティア活動の1つのプログラムである。このプログラムは全国共通で、「子ども樹木博士認定活動推進協議会」の認定基準によって実施している。
木の名前を覚えながら森を散策(樹木ツアー)

 あらかじめ主催者は、散策コースを定め、樹木に名前と解説を記した名札を付ける。樹木にくわしい森林インストラクターに案内されて、参加者が樹木の葉や枝にふれながら森を散策する。予定されたコースを1時間程度でまわり、樹木の名前を覚える。木の種類は30種。
▲NO.1 アジサイ(紫陽花)

 アジサイは古くから栽培されている庭木。咲くにつれて色が変わる。また土が変わると色も変わる。葉っぱには毒があるので食べないこと。
▲NO.2 ノリウツギ(糊空木)

 木の皮がネバネバするので、樹皮からノリが採れるアジサイ。昔は和紙のつなぎとして利用された。
▲NO.3 ブナ ▲ブナの枝についたヤママユの繭(まゆ)

 ブナと言えば白神山地・・・「人の影響をほとんど受けていない原生的なブナ天然林が世界最大級の規模で分布」していることが評価され、平成5年12月、屋久島とともに世界自然遺産に登録された。
▲ブナの実 ▲右がブナの実、左がツノハシバミの実

 ブナの実は、殻の中に三角形の茶色の実が二つ、向かい合って入っている。その実は、ツキノワグマやニホンザル、ムササビ、リス、ネズミ、ヤマネなどブナの森に棲む野生動物たちにとって欠かすことのできない貴重な食料である。
▲NO.4 トチノキ ▲トチの実

 風車のような大きな葉と、夏にできる果実が特徴。秋に熟すると(右の写真)、種子をすりつぶして「トチモチ」などの材料として利用されている。
▲NO.5 ヤマモミジ(山紅葉)  ▲ヤマモミジの種

 日本海側の山地に多くみられ、葉っぱが秋になると、黄色から赤色に変わり美しい。
▲NO.6 ユズリハ(譲葉)

 冬になっても葉は落ちない。春になって若葉がのびると古い葉は「若葉に譲る」ように散る。親が成長した子にあとを譲るのにたとえて、めでたい木とされ、古くから正月の飾りに使われている。
▲NO.7 ハクモクレン(白木蓮)

 春に早く白い大きな花がたくさん咲き、花がおわる頃に葉がでる。
▲NO.8 サクラ(桜)

 春早くどこの公園でも咲いてみんなでお花見をする。黒いサクランボは、クマや鳥が大好きで食べて種を運んでくれる。角館の樺細工は、ヤマザクラの樹皮を使う。
▲NO.9 ハクウンボク(白雲木) 

 春に白い花がたくさん咲く。白い雲みたいに見えるので「白雲木」と名づけられた。果実は球形で9月に熟す。
▲ハクウンボクの幹に卵を産む蛾  
▲NO.10 モミジバフウ(紅葉葉風)

 葉が大きなモミジの形をしているアメリカの木。小さなクリのイガの形の実がたくさんついている。葉は秋に赤くなる。
▲NO.11 ナナカマド(七竈)

 春に白い花が咲き、秋には赤い実がなる。7回燃やしても燃えないは間違い・・・よく燃える。良い炭ができるまで7日かかるので「ナナカマド」。
▲ナナカマドの白い花 ▲ナナカマドの赤い実
▲NO.12 クリ(栗)

 クリの実は、人も動物も食べておいしい大切な食べ物。葉はチョウやガの大切な食べ物。クマは、栗の皮をむいて器用に食べる。まず栗のイガを足の爪で押さえ、口と爪を使ってイガから取り出す。その栗を口で噛み砕き、実だけ食べて皮はきれいに吐き出す。
▲NO.13 オニグルミ(鬼胡桃)

 実は非常に堅い殻に守られている。食べるのは、リス、アカネズミ、人、カラス・・・クマは、オニグルミの殻がまだ柔らかく、果肉だけが完熟に近い微妙な時期を選んで食べる。
▲NO.14 カツラ(桂)

 葉っぱが「ハート」の形をしている。葉が枯れると「しょうゆせんべい」の香りがする。かつて山村では、その葉を粉状にしたものを抹香(まっこう)代わりに焚いていた。
▲NO.15 サルスベリ(百日紅、ヒャクジッコウ)

 木の肌がツルツルで、サルも滑って落ちることからその名がついた。夏には赤い紅花が百日も咲く。
▲NO.16 ホオノキ(朴の木) ▲白い大きな花が上向きに咲く

 春に白い大きな花が咲く。大きな葉は、芳香と殺菌作用があるため、食べ物を盛ったり包んだりして利用している。
▲NO.17 エゴノキ

 かわいい実がえぐいので「エゴノキ」。若い実は麻酔効果があるので、これをつぶして川に流し魚をとったり、石けんの代わりにした。昔はお手玉の詰め物などに利用された。
▲NO.18 スギ ▲日本一高い天然秋田杉「きみまち杉」 

 秋田県の木は、「秋田スギ」。一般に秋田産のものを秋田スギ、天然のものを天然秋田スギと呼んでいる。秋田スギは、青森ヒバ、木曽ヒノキと並んで三大美林の一つ。家を建てるときに一番使われている。秋田のスギ人工林面積は日本一。
▲NO.19 マツ(松)

 カミナリが落ちるのをマツので「マツ」。マツボックリは、リスの大切な食べ物。アカマツとクロマツがある。
▲NO.20 クロモジ(黒文字)

 木の皮に黒い文字みたいな模様があるので、その名がついた。良い香りがするので、ツマヨウジの材料として使われている。
▲NO.21 ミツバアケビ(三葉木通) 

 秋に美味しい紫色の実ができる。春の花芽はおひたしにして食べる。ツルでカゴを編んで売ると、高い値段で売れる。
▲アケビの花 ▲熟したアケビの実
▲NO.22 イタヤカエデ(板屋楓)

 雨が降ってきたら、この木の下で雨宿りができる。板が薄くはがれるのでカゴなどをつくる。カエデはカエルの手からきている。
▲NO.23 ハリエンジュ

 春に白い花が咲き、美味しいハチミツがたくさんとれる。花は天ぷらにする。「ニセアカシア」とも呼ばれている。日本では明治初期に渡来し、今では増えすぎて困っている。
▲NO.24 コナラ(小楢)

 ドングリがなる木。ドングリは、森の動物たちの大切な食べ物。昔はマキや炭に使われた。
▲NO.25 ヤマナシ(山梨)

 秋には、甘くて食べられるが、そんなに美味しくない。森の動物にとっては大切な食べ物。果樹として栽培されているナシは、このヤマナシから改良されたもの。
▲NO.26 サルトリイバラ(猿捕茨)

 木にからんで、まばらにトゲがあるのでさわらないこと。秋には、赤い実がなり、森の動物たちの大切な食べ物。
▲NO.27 サンショウ(山椒)

 実は粉にすると良い香りがするので、ウナギのかば焼きにかけて食べる。葉っぱもよい香りがするので食べる。
▲NO.28 ガマズミ

 白い花が終わると、秋に赤い実がなる。ちょっとすっぱいが、ジャムにしてパンにぬって食べる。森の動物たちも大好き。
▲NO.29 ミズキ(水木)

 切ると水がたくさん出るので「ミズキ」。冬に枝が赤くなると、餅や飴をつけて飾る。
▲NO.30 アセビ(馬酔木)

 毒があるので、馬や牛が食べるとお酒に酔ったようにフラフラする。公園などに植えられている。
▲エゾゼミの脱皮
 主催者は、テストに出す標本をそろえて、参加者が樹木名をおさらいできるような場所と時間を用意する。
森林の木のおさらい(模擬テスト)

 樹木ツアーが終わると、休憩をとり、実力テストを受ける前に、参加者は覚えたばかりの木の葉や枝の標本で木の特徴をおさらいする。
木の名前のテスト

 父兄は会場から出てロビーで待つ。参加者は、木の標本をみて名前を識別し、解答用紙に木の名前を記入する。実力テストで、厳格にテストを実施する。
▲木の名前30種に及ぶ難題に挑む子供たち
採点・・・テストの答えを全国統一の基準で採点する。
認定書の授与

 正解が26問以上が「子ども樹木博士」、21問~25問まで「子ども樹木博士四段」、16問~20問まで「子ども樹木博士三段」・・・0問でも「子ども樹木博士10級」に認定し、次回からは1階級自動的に昇給する。
子ども樹木博士誕生

 大人でも難しい難関を突破し、見事「子ども樹木博士」の認定を受けたのは、刑部耀一(ぎょうぶあきと)君と森 悠太(もりゆうた)君の二名。彼らが友だちを森に誘い、森に親しむ人々の輪をさらに広げていくことを期待したい。  

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