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モリエールあきた

 2013年9月20日(金)、森の学校第10回目 学ぼう・生かそう「林業イロハ塾」が、仙北市西木町の林業家・門脇久吉さんの栗園で開催された。一般参加者、インストラクター等20名が参加した。日本一の栗栽培について学んだほか、思い出の潟分校や全国植樹祭、全国育樹祭の会場となった県民の森を散策した。

●内容/指導林家の山林を見学し、経営について学ぶ ▲対象/一般
◆主催/秋田県森林学習館・プラザクリプトン(018-882-5009)
◆協賛/(一社)秋田県森と水の協会 協力/元秋田県指導林家 門脇久吉氏
▲西木・八津かたくり館
▲鎌足和紙

 西木町小山田鎌足地区に古くから伝わる「鎌足和紙」は、丈夫で虫食いのない和紙が特徴。「かたくり館」の工房で紙漉きを体験できる。右端のポスターは、仙北市で開催される第136回種苗交換会のPRポスターである。(開催日:2013年10月31日~11月6日) 
▲栗園入口にある推定250年の栗の老樹
▲林業家・門脇久吉さん、悦子さん夫妻からお話を伺った。

 西明寺栗は、300年ほど前、京都の丹波地方、岐阜の養老地方より種を持ち込み栽培したのがはじまりで、かつては年貢米の代わりに上納したという。その後品種改良を重ね、大きさが日本一と言われるようになった。西木町全体で栗の栽培面積は、約50haで県内では筆頭の栗栽培地である。
 門脇さんは、栗の研究にも取り組み、早生と晩生の中間の品種「ソフト西明寺」という独自の品種を開発している。また食味はもちろん、栗拾いが楽しくなるように改良を加えている。
 栗園に入って栗拾いをすれば、誰しも夢中になる。栗がイガの口を開いた状態で落下していたり、イガの口から飛び出して落下しているから、実に拾いやすい。「拾い始めたら、楽しくて止まらない」との声が、あちこちから聞こえた。
▲栗とカタクリは相性が良く、20haに及ぶカタクリ群生地としても有名

 門脇夫妻は、農村体験ができる「西明寺栗 久之助栗園」を営んでいる。春は、栗園と裏庭に咲くカタクリやマイヅルソウ、山菜などの山野草観察、秋は栗拾い体験ができる。

久之助栗園 電話・FAX0187-47-2407(仙北市西木町小山田字高野6)
▲裏庭の滝とせせらぎ水路沿いの森を散策
▲美味しい焼き栗の試食

 西明寺栗は、干すと甘味が増し、鬼皮を軽く押してプカプカするようになったら美味しく食べられるという。

焼き栗の作り方

①栗の鬼皮の一部分をむく
②①の栗をアルミ箔に包む
③②をオーブンまたはフライパンで焼く。ストーブであれば蓋をして焼く。

ゆで栗の作り方

①栗を2~3日くらい干すと甘味が増す
②たっぷりのお湯に栗を入れて沸騰してから25分くらい煮る
③栗が柔らかくなったらお湯を切る
④2~3分蒸らして出来上がり
▲昼食は「たつこ茶屋」・・・名物「みそたんぽ」と「イワナ炭火焼き」
▲「たつこ茶屋」の隣にある「丸木舟制作小屋」  
 小屋の内部には、かつてクニマス漁に使用していた制作中の丸木舟があった。材料は、直径80cmの巨大な秋田杉を使用している。
▲思い出の潟分校

 創立は明治15年。現在の二階建て校舎は、昭和27年増築竣工している。廃校は、昭和49年3月31日。以降は地元の集会施設として利用していたが老朽化が進んでいた。その後、二年がかりで修復。平成16年、「思い出の潟分校」として一般公開されている。
 懐かしさがこみあげてくるような木造校舎。窓から木漏れ日が射し込む教室に入ると、参加者全員が小学生にタイムスリップ。管理人の千葉侑子さんが先生となって楽しい授業が始まった。最後は、全員で「ふるさと」を熱唱しながら、昭和の子供時代に思いを馳せた。
▲田沢湖畔にある「県民の森」散策
▲天皇・皇后両陛下「お手植えの秋田スギ」

 昭和43年、第19回全国植樹祭が盛大に行われたが、十勝沖地震のため、両陛下の行幸啓はとりやめとなった。宮中辰巳の庭においてお手植えされた秋田杉を移植している。また、昭和53年には、皇太子、美智子妃殿下をお迎えし、第2回全国育樹祭が開催された。
 県民の森には、47都道府県19種の樹木、世界15か国22種の樹木が植栽され、県民のいこいの森として、また林業研修の場として活用されている。
▲「思い出の潟分校」をバックに記念撮影

 童心に帰って日本一大きな栗を拾い、潟分校で小学生に戻った気分を味わい、県民の森で幼い頃遊んだ森に思いを馳せた。秋田が誇る水と緑を後世に引き継ぎましょう。

モリエールあきた