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 2013年11月23日(土)、森の学校第12回「森でツルを採取してリースやカゴを作ってみよう!」が秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンで開催された。一般参加者は親子ら31名が参加。

 ツルは、放っておくとどんどん伸びて、若い幹に食い込んだり、樹冠を覆ってしまい、木の成長を妨げたりする。そんなツルを利用して、自然素材にこだわったカゴやクリスマスリース、フラワーリースづくりに挑戦・・・人工的には決してつくりだすことができない、世界で二つとない個性的な作品ができあがった。

●内容/自然素材を使ってリースやカゴを作る ▲対象/一般、親子
◆主催/秋田県森林学習館・プラザクリプトン(018-882-5009)
◆協賛/(一社)秋田県森と水の協会 協力/秋田県森の案内人協議会
教室①・・・ツルを使ったカゴづくり
▲宮崎一彦講師(国土防災技術株式会社・参事) ▲宮崎講師のツルカゴづくりの見本

 今回は、森で採ったフジツルやアオツヅラフジなどの自然の素材を生かして、誰でも簡単につくれるワイルドなカゴづくりを行った。講師は、ツルカゴづくりのベテラン宮崎一彦さんと森の案内人・刑部節子さんの二人。
▲森の案内人・刑部節子講師のツル細工・・・テーブルまわりで使う自然素材の編みカゴ ▲これが本当のエコバッグ!

 編みカゴづくりは、材料として使うまで、水に浸けたり乾燥させたり細くしたり・・・そして十字組み、井桁組み、巻き編みなど、根気よく編んでいく必要があるが、それだけ味わい深い作品ができる。
▲「編み組と素材、仕事の中の用具」(秋田県立博物館特別展示)

 樹皮やツル編み組の歴史は古く、縄文時代にさかのぼる。青森県三内丸山遺跡では、イグサ科の植物で編んだ四角いポシェットが発見されている。昔から身近に自生しているアオツヅラフジやミツバアケビ、サルナシ、タケ類、樹皮を使って編んだ伝統的な用具が数多くあった。

 例えば、山に入る時の背負いカゴ、山菜採り用のコダシ、魚とり用のビグ、弁当箱、手提げカバンなど、今でも実用品として利用されているものも少なくない。
▲フジツル・・・素材として堅く、表面にやや灰色がかった皮目がある。メインの素材として使う。 ▲アオツヅラフジ・・・根元から先まで比較的太さが均一で、柔らかく編みやすい

 ツルの採取は落葉した晩秋から雪が降るまでの11月~12月が最適な季節。フジツルの中では、根をつけて地面に這って伸びた根フジが色艶、滑らかさの点で最高である。乾燥させて保存したツルは、ぬるま湯に浸けてやわらかくする。フジは一晩から一日、アオツヅラフジは5~6時間浸けるとやわらかくなる。
十字組み

 カゴの形は、底の組み方で決まる。タテ芯はなるべく丈夫なツルを取り、3本と2本を十字に組む。細くて柔らかいアオツヅラフジなどで左上写真のようにタテ芯をしっかり締める。根締めの後は、右上写真のように底を編む。
▲講師の指導を受けながら感性と想像力を総動員してカゴづくりに取り組む参加者
芯材を立ち上げ持ち手をつくる

 芯材の立ち上げは、慣れないと難しいらしく、講師に教えを乞う場面が多かった。芯材を立ち上げ、細くて柔らかいツルで結び持ち手をつくる。
▲だんだんカゴの形が見えてきた  
▲自然のツルの曲線は、人の手では決してつくれない野性的な美しさがある。  
▲カゴが完成したら、花や木の実などで自由に飾り付ける  
▲参加者の完成作品・・・商品として売れるほどの見事な作品ばかり
教室②・・・クリスマスリースづくり
▲クリスマスリースづくりの見本(子どもたち用)

 リースは、花や葉などでつくられた装飾用の輪のことで、クリスマスに飾られる「クリスマス・リース」がその代表である。リースが“輪”というのは、「永遠に続く神の愛」「新年の幸福を祈る飾り」を表している。クリスマスのリースが緑色なのは、常緑樹を使うことで「農作物の繁栄」、松ぼっくりは「収穫」の象徴、リボンやベルなどは「魔除け」という意味があるとされている。日本でいえば、魔よけと豊作を願って飾る“しめ縄”と似ている。
▲松ぼっくりをメインに使ったミニクリスマスツリー
▲ツルを輪にしたものがリースの土台 ▲トウガラシ、松ぼっくりなどで作ったサンタクロース
▲松ぼっくり ▲ホウズキ
▲クルミでつくった人形 ▲接着用にグルーガンを使う

 グルーガンは、グルースティックと呼ばれる樹脂を溶かして接着する道具で、自然素材を使ったリースやクラフトづくりには最適な道具である。グルーガンにグルースティック(樹脂)を差し込み熱で樹脂を溶かして使う。熱が冷めれば固まるので、短時間で接着できる。ただしヤケドをしないよう注意! 
▲子供たちが楽しいクリスマスリースづくりに挑戦 
▲子供たちがつくったクリスマスリース 
教室③・・・フラワーリースづくり
▲山上インストラクターの作品「フラワーリース」

 フラワーリースは、長期間飾って楽しめるので室内インテリアとして飾るだけでなく、プレゼント用に人気が高いという。誕生日や母の日、送別会や発表会、さらには幸せを呼ぶリースは結婚式で二人を祝福する最高のプレゼントにもなる。
▲気ままなリースづくり

 カゴづくりで残ったツルを使って輪をつくり、フラワーリースにしたり、束ねてスワッグにしたり・・・気ままなリースづくりも行った。
▲スワッグ(壁掛け、壁飾りの意)
▲参加者の作品、フラワーリース
▲山上インストラクターの作品「スワッグ」

 自然の素材を使ったリースづくり、自然を編むカゴづくりを通して、自然を暮らしに生かす素晴らしさ・・・そして自然素材のリサイクルを通して森への理解と手入れにつながることを期待したい。