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秋田林業大学校の講座から 

 佐藤清太郎氏の森で「森林経営」の考え方を学ぶ

 
 平成27年4月に開講した秋田県林業大学校。18名のフォレスター候補は、これまで森林・林業・木材産業に関する基礎知識や実習を受講してきた。
 9月24日は、秋田市下浜で「森林経営」を実践している佐藤清太郎氏の森林を訪ね、氏の森林・林業に関する考え方や森づくりの技術を学んでもらう授業を行った。 
 
   
 佐藤清太郎氏の所有森林は、秋田市下浜に位置する。氏は、平成3年に仲間たちと「秋田森の会・風のハーモニー」を組織し、所有森林の約23haを会員に貸し付け、会員が自由に森を散策出来るようにした。スギ人工林や広葉樹の混じるこの森は「健康の森」と称して、森林浴を通じて癒しやリハビリ効果を生み出し、多くの会員が訪れる。
 
『森と人との共生』、この会の大きなテーマだ。 

   
 この「健康の森」には多くの家族連れが訪れる。また、平成7年から始まった「森の保育園」は、森で遊びながら子どもたちの「生きる力」、「戦う力」、「助け合う力」、その場その場で「対応する力」など子どもたちの持っている潜在的能力などを引き出してやりたいと思って始まった。
 今では、春夏秋冬この森に保育園児・幼稚園児が訪れ、その数は年間3,000人を超える。
 
 
   
 オリエンテーションで、佐藤清太郎氏は大学校生を前に期待を込めて、「林業マンとなっても、ただ森では稼ぐものという考えでなく、楽しみながら森で働いてもらいたい。皆さんが森とどのように付き合っていくのか見てみたい。」とメッセージを送るとともに、最低限度の約束事を説明し「健康の森」へ。 
 
 
 
   
 保育園児・幼稚園児がこの森で先ずはじめに取りかかる遊びはここの上り下り。「森を歩く前に、みんなもカラダを動かして。」 
 
   
 急な斜面の登りや中央広場の池に架かる丸太渡りなど、先ずは保育園児・幼稚園児の森の遊びを体験してもらう。清太郎氏は、森と人との付き合い方などさりげなく伝える。

 
 
   
 過去に広葉樹の育成を行った森林で講義。周辺の樹木を伐採して良い木を残す施業を行った結果、幹の途中から枝が発生したり、風害で幹に傷がついたりと失敗した事例も紹介。

 
   
  平成3年の台風19号で、この斜面のスギが折れたり倒れてしまった。平成8年に、会員や保育園児が一緒になってスギやケヤキなど広葉樹を植え付けた。清太郎氏は、3本の苗木を1本に見立てる3本巣植え植栽方法(環境順応造林法)を行っている。

   
 スギの3本巣植え場所。巣植えの利点やこの造林方法の考え方を伝える。この林分には、スギに混じってホオノキを中心とした広葉樹も生い茂ってる。 

   
 3本巣植えは、1ヘクタール当たり700巣を目処にしている。苗木は2,100本必要となる。
 植栽場所も、全面を刈り払うのではなく、適地を刈り払い3本ずつを植栽していく。
 
   
 スギの森も秋の色。スギヒラタケがあちらこちらの切り株から発生している。食用にしていたが、平成16年以降中毒症状が報告されてから食べないでとの注意喚起があり、採取する人も少なくなった。
 林業大学校生は、午後も清太郎氏を講師に、氏の森林・林業経営や森づくりに関する考え方を学んだ。