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再造林の保育軽減に自走式下刈機実証試験

  •  令和4年7月28日に湯沢市皆瀬において自走式下刈機の実演会が開催されました。森林ボランティア技術研修会のため、前日の秋田市で開催されたデモンストレーションに参加出来なかったため、関係者にお願いして現地で見学することが出来ましたので、林業情報として皆さんにご紹介します。
     現在、皆伐後の再造林が秋田県でも大きな課題となっており、伐採しても3割程度の再造林しかされず将来の木材資源確保が心配されています。再造林が進まない原因の一つに再造林後の保育に多大な労力がかかることから、今回の機械が導入出来ないかということで実証試験が行われました。
     現地は、20年近く前に伐採された現場で、不整地にクズを始めとした大型雑草が生い茂っています。
  • イタリアMDB社製のLV800、約2千万円だそうです。かなり大型の機械です。
  • 同じくMDB社製のLV300,こちらは700万円だそうです。今回デモンストレーションを開催したギガソーラー社は太陽光発電の会社だそうですが、太陽光パネルの下に生える雑草を刈るために太陽光発電の先進国であるイタリアからこの機械を導入されたそうです。山林作業にも使えるのではないかということで林業関係者にもPRしているそうです。
  • 最初は、県道脇で参加者にデモンストレーションでラジコンを持った操縦者が巧みに機械を操り、見る間に雑草を刈り取っていきます。
  • このあと、山道を⒑分ほど移動して現場に着きます。機械は自走式なので移動も操縦者と一緒に出来るので便利です。早速茂みに入っていきます。
  • 最初にLV300が刈り払いを行いますが、現場はかなりの藪になっており、特にクズのツルがひどいのですが、ものともせず突進という感じです、ハンマー状の刃で巻き込みながら粉砕しているので、刈ったものが現地に残らず刈った跡もキレイです。
  • 丸太が転がっていましたが、LV800がこれを粉砕しました、丸太は見事に粉砕され(右写真)林地は平坦になりました。
  • 見学者のオファーで、隣のスギ林の斜面(10度ほど)で実演が始まりました。ここは50年生ほどのスギ林で、林床は灌木やササがはびこってかなりの藪状態です。LV300が突入します。
  • ものの10分ほどで100平方メートルほどが刈り払われました。ササも地際から刈り払われました。
  • 今度は、LV300で除去出来なかった根株をLV800で削り取ります。刃が回転することで根株をガリガリと削り最後は平坦になります。
  •  最後は、機械の都合で一部残りましたが、すごい力です。
     全国的には、現在太陽光発電を中心に5~6台の機械が使われているそうですが、イタリア製のためメンテナンスが気になる場合があるそうです。下刈りは機械化が進む林業の中で未だに人力で、暑いさなかにハチやヘビ、ダニ、クマさらには熱中症に襲われる最も過酷な作業です。このような機械の導入により少ない労力で保育が出来れば再造林ももっと進むかと思われます。
     林業関係の話題が少ないHPですが、機会があればこういう話題も提供していきたいと思います。