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県民参加の森づくり事業を活用

 NPO法人白神ネイチャー協会が「来よう! 黄葉 留山へ」を開催

 秋田県森林ボランティア団体 NPO法人白神ネイチャー協会
  •  令和4年11月6日(日)に八峰町の留山で、標記の森林学習会が開催されました。当日は、天気予報によると寸前まで雨が降るとのことでしたが、現地では、ブナやミズナラなどの黄葉から見える青空と白い雲のコントラストが素晴らしく晩秋の森林を満喫することが出来ました。
  •  留山の標高は160~200mほどで、日本海からも直線で3kmと海にも近くいわゆる里山ですが、ブナやミズナラの大木が生い茂る希有な森林です。黄葉が主体の樹が多いため全体が黄色に染まりますが、今の時期がちょうどピークでした。
  •  集合場所は「神輿の滝浴び」で有名な白瀑神社の駐車場です。朝から天気が良く、白瀑も黄葉とマッチしています。15名の募集に対して30名の参加応募があり、マイクロバスを1台増やしたとのことで、駐車場は満杯になるほど車が集まりました。参加者は新型コロナ対策で氏名住所等を記入して受付し、4班に分かれます。
  •  駐車場で開会式が行われ、山崎会長があいさつし、4班の担当ガイドさんが紹介されます。会長も自らガイドを務め、1班を担当されました。もう一人のガイドは副会長さんですが、最後のあいさつの写真に換えます。
  •  2台のバスに分乗し、20分ほどで現地に着きます。私(福井)は18年ぶりに訪れましたが、道路が所々コンクリート舗装され、乗用車でも現地まで行けるようになっているのには驚きました、往時は4輪駆動でも大変な山道でした。
  •  ここで班別にガイドさんから自己紹介や歩き方のお話しがあります、1班は山崎会長がガイドを務めます。「留山は水の目地区と言い、留山という名前は地図には出てこない。昔、付近の山の森林を伐採したときに水が少なくなり、地元の住民が伐採を止めた地域がそのまま現在に至っている。殆どが合併前の八森町有林であり、2002年に町が遊歩道を整備するときに地元は反対したが、森林を現状維持するためガイドが付かないと入林できないようにするということで承諾を得た。このため、入林するときは資格を有するガイドと一緒に歩いて欲しい」、とのことでした。
  •  歩道の入口にはセンサーが設置されており、入林者数を把握できるようになっています。ムラサキシキブがキレイな実をたわわに付けていました。
  •  入口の横にある小沢には、根元から50cmほどのところで分岐した幹が3m上部で再び一本になっているブナがあり、会長いわく「再開の木」だそうです、どうしてこうなったのかは不明だそうですが、不思議な木です。また黄葉したアワブキが生えており「アオバセセリとスミナガシという蝶の食草になっており、この木があると必ずといって良いほどこれらの蝶がいます。葉の字のくさかんむりを取って、虫を付けると蝶の字になる、虫が葉を食べて蝶になるということです」う~む、確かに!
  •  台地に上がって行く途中の左手はスギ林になっており、昔はケヤキの良い木があったそうですが、それを伐ってスギをうえたそうです。参加者からも質問が出ます。
  •  林内には至る所に木道が設置されており、手すり代わりのロープもあり、安全です。落ち葉で歩道もフカフカでした。
  •  ブナの幹に残るツキノワグマの爪痕、左は登るときの足場となるしっかりとしたもの、右は降りるときに滑らしながら降りたときのもの、だそうです。ちなみに春の芽だしの時の花序や若芽を食べるとき、秋の実を食べるときの2回木に登るそうです。今年はブナの実が豊作ですが、「ブナは通常7年周期で豊作なるが、それはブナを食べる動物が増えないように、そしてブナの実が豊作になったときに食べきれなかった実でブナが増えるというブナの戦略です。」
  •  歩いていて気になったのが、ナラ枯れです。留山に来る途中の道路脇にも枯れ木が目立ちましたが、留山のミズナラの大木がかなり枯れています、自然の摂理とはいえ、今後どうなるのか?
  •  山崎さんから「ブナの葉の特徴が判りますか?」との問いがありました。「主脈から側脈に分かれるが、普通の木の葉は葉の縁で側脈の先が山になるが、ブナは谷になっている。これは水を集め易いように工夫されており、集まった雨水は樹幹流となって流れていく、雨が降ってもブナの木の下では濡れない、そうやってブナ林は水を蓄えている!」とのことです。
  •  下山してきて、最後のところに水たまりがあります。自然に溜まった水で、「ここでは3月にサンショウウオが産卵して穴に返り、共食い等で幼魚の数が減った6月になるとモリアオガエルが産卵する。同時期だとカエルが全部食べられてしまうので両者の生き残るための戦略がある。」だそうです。
  •  無事、けが人も無く、天気も良くニコニコの留山でした。最後にもう一人のガイドの副会長さんから「留山は四季を通じて素晴らしいので春のブナの芽だしの頃にも是非来て欲しい!」とのあいさつで終了しました。関係者の皆さん、参加者の皆さんご苦労様でした!