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名の由来、万人に好まれる、採取適期を逃さない、採り方、料理、冷凍保存、薬効、コゴミ写真館
 山地の湿っぽい林床や渓流沿いなどに群生する。湿り気のある場所を好む。伸び始めた葉の先が、ゼンマイのようにしっかり巻いている若芽が旬。秋田では、頭が低いからコゴミと呼ぶ。クセのない味で万人に好まれ、今では栽培物がスーパーでも売られている。(写真はコゴミとコシアブラ)
名前の由来

 常緑の木「ソテツ」の葉と、クサソテツの羽状に開いた葉の形が同じように見えることから名付けられた。別名の「コゴミ」は、芽がうずくまってこごんでいるように見えることから名付けられた。生長が早く、数日すると葉に変わってしまう。雪の残る渓流沿いでは遅くまで良品を採取できる
▲渓流沿いの湿った場所を好む

万人に好まれる山菜

 山菜として食べるシダ植物には、ゼンマイ、ワラビなどがあるが、アクが強く、下ごしらえが面倒だ。ところがコゴミは、アクもなく下ごしらえも簡単で、サラダ感覚で食べられる・・・故に万人に好まれる山菜である。
▲芽をだしたばかりのコゴミ ▲数日で葉が開き、旬を過ぎてしまう

採取適期を逃さない

 短期間で生長するので、利用期間は意外と短い。雪が消えるとともに芽を出し、山菜採りシーズンになると、既に葉が開いてしまって旬を逃してしまう。とにかく採取適期を逃さないことが採り方のコツである。渓流釣りをする人は、イワナを釣りながら、残雪が残る周囲に目を配れば、旬のコゴミを見つけやすい。
 生長した葉は、繊細で美しいので、日本庭園の下草に利用されている。
▲背後に残雪が見える・・・雪が消えるとともに芽を出すのが分かる

採り方

 里に近い林道沿いに生えているコゴミは、株立ちの本数が少なく、茎も細い。採取圧が強過ぎるからだろうか。一方、イワナを釣りながら渓流沿いの奥地に行くと、株立ちの本数も多く茎も太い。旬は、葉が開く前、できるだけ茎が太いものを選び、若芽の根元部分をナイフで切り採る。ただし、二番芽まで採ると、その株は弱くなるので必ず残すこと。
▲コゴミには、ゴミや枯葉などが付着しているのでよく水洗いしてから調理する。
▲おひたし ▲天ぷら

料理

 鮮やかな緑色、特有の香り、クセのないやわらかい味が万人に好まれる。大量に採取でき、アク抜きしないで調理できるので重宝する。生で天ぷら、軽く茹でて、おひたし、ゴマ味噌和え、酢味噌和え、汁の実、煮物、白和え、油炒め、サラダ、粕漬け、漬物など。
▲早春、イワナの刺身とコゴミのおひたし

 4月、まだ雪渓が残る谷を釣り上がっていると、日当たりのよい流れの傍らに芽を出したばかりのコゴミの群落に出会う。しばし竿を置き、萌え出たコゴミを摘む。帰宅したら一風呂浴びて、イワナの刺身とコゴミのマヨネーズ和えで一杯飲む。半年間鈍った体は、春の芽吹き、自然の命をありがたくいただくことで、心身ともに蘇る。
保存・・・コゴミは冷凍保存が最適。よく洗って水を切り冷凍する。

 上の写真は、コゴミ、アイコ、ヤマウド、左のザルにはシドケ。新緑がピークの頃は、山菜もピークを迎える。谷の奥に入れば、残雪が解けたばかりの場所に、バッケやコゴミなど、早春の山菜も採取できる。
薬効

 古代シダ植物の生き残りで、ミネラルが多く栄養価に優れている。カルシウム、亜鉛、ミネラル、β-カロテン、B1、B2、B6、C、E、K、葉酸、アラキドン酸を多く含む。生活習慣病、細胞発育促進、免疫機能を調節して全身の様々な症状を予防。
コゴミ写真館
参 考 文 献
「薬効もある山野草カラー百科」(畠山陽一、パッチワーク通信社)
「山菜・薬草 山の幸利用百科」(大沢章、農文協)
「ひと目でわかる 山菜・野草の見分け方・食べ方」(PHP研究所)
「山渓名前図鑑 野草の名前」(高橋勝雄、山と渓谷社) 
「山菜ガイドブック」(山口昭彦、永岡書店)
「山菜採りナビ図鑑」(大海淳、大泉書店)
「日本の山菜100 山から海まで完全実食」(加藤真也、栃の葉書房)