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INDEX アザミ、オオイタドリ
 アザミの仲間は150種を越えるほど多く、うち145種以上は日本特産種だという。どのアザミも毒をもつものはなく安心して食用にできる。サワアザミは、渓流沿いの水辺に多く、食用として最も利用されているアザミである。
▲小沢沿いの雪解け斜面にいち早く芽を出すアザミ

名前の由来

 名前の由来は、アザム(傷つける、驚きあきれる意)がもとで、花を折ろうとするとトゲに刺されて驚くからという説や、沖縄八重山方言で「トゲ」を意味する「アザ」に、植物名に多い接尾語「ミ」が付いたとする説など数多い。漢字の「薊」は「草冠と魚と刀」からなる字で、魚はトゲトゲした骨があり、刀のように刺す草を表している。
▲アザミの花  
菅江真澄「アザミ」(1807年3月27日、おがらの滝)

 「女の童がここかしこにいて、「さがり葉(サワアザミ)・ノコギリ葉は摘んではいけない、ヘラアザミ(ナンブアザミ)だけを摘め」と叫んでいた。どこでも昔はアザミを食用にしていたのであろう
採り方

 アザミの旬は、雪消え直後に開いたロゼット状の若葉である。葉の先に刺があるので、軍手は必携。手で採らず、根を引き抜かないようにナイフで切り取る。山間奥地では、いち早く萌え出て、かつ大量に採取できるので、山菜シーズン前の緑の山菜として重宝する。
▲早春の山菜・・・アザミ、コゴミ、ヨモギ、ヤマワサビ
料理・・・生のまま天ぷら、刻んで味噌汁の具、茹でてゴマ味噌和え、おひたし。

アザミの酢味噌和え

 アザミを洗って塩をひとつまみ入れた熱湯で、茶色のアクがでるまで長めに茹でる。水にさらし、十分水気を切って適当な長さに切る。酢味噌で和えて器に盛る。
▲初夏、背丈が伸びたアザミは茎を食用にする。  
▲初夏の若茎は、ゆでて水にさらし、皮をむいてからマヨネーズで食べると美味い

アザミの茎の煮物・・・伸びたアザミの茎の皮をむき、適当な長さに切り、鶏肉などと一緒に煮付ける。しゃきっとした歯触りで美味しい。

冷凍保存

 長さ20~30cmの若茎の皮をむいて細かく刻み、湯通ししてアクを抜いてから冷凍する。
薬用効果

 健胃、利尿、神経痛、胃病、夜尿症、不眠症、火傷、腫物、虫刺され、乳腺炎、耳だれ、湿疹。湿疹には生葉の汁をつける。
オオイタドリ
 オオイタドリは、中部以北に多く、里山や低山帯の沢筋、林道脇などに群生する。春から初夏が旬で、雪渓が残る山間部では6月頃まで採れる。秋になり茎が焦げ茶色に枯れると、茎に小さな穴が開く。その茎を割ると、中にイタドリ虫(サシドリ虫)がいて、イワナやヤマメの釣り餌になる。
▲若芽 ▲オオイタドリの花

名前の由来

 イタドリは、薬草として痛みを取る効き目がある草・・・「痛取り」が名前の由来。中国では生薬名「虎杖根(こじょうこん)」といい、古くから火傷の妙薬として用いられてきた。他に、表皮から糸状のものを採るので「イトドリ」がイタドリに転訛したとも言われている。北の日本海側に多い大型のイタドリをオオイタドリという。

 また、別名の「スカンポ」は、茎に含まれるシュウ酸が酸味を感じさせるからである。
▲水の神様・貴船神社

貴船神社のイタドリ祭り

 京都鞍馬の貴船神社では、旧暦4月の祭の頃は、貴船神社付近の山間に虎杖(イタドリ)が繁茂し、神職らが摘んでその多少を競い合ったことから、俗に「虎杖祭(いたどりまつり)」とも呼ばれていた。これは昔からイタドリが野菜として利用されていた証で、特に雪国の人たちにとっては、大量に収穫できて保存できる貴重な食料であった。
由利地方で食用にされている「さしぼ」

 秋田では、「さしぼ」・「さしぼっこ」と呼ばれ、由利地方では、この新芽がよく食べられている。ぬるぬるとした食感とほのかな酸味が特徴。料理は、おひたし、天ぷら、味噌汁、さしぼ田楽など。
イタドリの利用

 イタドリは、食用だけでなく、切り傷に生葉をもんでつけたり、乾燥した若葉はタバコの代用、秋には葉を苗代の肥料として鋤き込んだりした。ウニ養殖では、夏の海藻枯れ対策として塩漬けにしたイタドリの葉をエサに用いたという。
採り方

 春早く伸び出すタケノコ状の若芽をナイフで切り取る。葉がまだ開いていない太めの若い茎を折り取るか、ナイフで切り取る。折ると、ポコッと小気味よい音がして、かじると強い酸味がある。
料理

 オオイタドリは、独特の酸味とえぐみがあるので、塩をひとつまみ加えた熱湯で5分ほど茹で、冷水に20分ほどさらしてアクを抜いてから調理する。幅1cmほど斜め切りにし、油炒め、酢味噌和えや胡麻和え、酢の物、汁の実、生のまま天ぷらなど。

塩漬け、冷凍保存

 高知県では、塩漬けや冷凍保存して年中食べている。そればかりか、スーパーや直売所に「塩漬けイタドリ」が商品として出るほどの人気があるという。塩漬けにしたものは、一昼夜水にさらして塩分を抜き、油炒めが定番料理になっている。
▲タケノコ状に伸びる若芽 ▲夏のオオイタドリの花穂

薬用効果

 秋~冬に掘り採って乾燥させた根は、生薬名「虎杖根(こじょうこん)」と呼ばれ、利尿、夜尿、鎮咳に利用された。他に緩下、通経、便秘、むくみ、婦人病、健胃、消化不良、火傷、じましん、すり傷に効く。傷には生葉をもんで患部にすり込む。
参 考 文 献
「薬効もある山野草カラー百科」(畠山陽一、パッチワーク通信社)
「山菜・薬草 山の幸利用百科」(大沢章、農文協)
「ひと目でわかる 山菜・野草の見分け方・食べ方」(PHP研究所)
「山渓名前図鑑 野草の名前」(高橋勝雄、山と渓谷社) 
「読む植物図鑑」(川尻秀樹、全国林業改良普及協会)
「山菜ガイドブック」(山口昭彦、永岡書店)
「山菜採りナビ図鑑」(大海淳、大泉書店)
「日本の山菜100 山から海まで完全実食」(加藤真也、栃の葉書房)
「山菜と木の実の図鑑」(おくやまひさし、ポプラ社)