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山笑う季節、名の由来、菅江真澄「山菜採り」、採り方、旬を過ぎたシドケ、料理、保存、薬効、写真館
 独特の香り、ほろ苦み、シャキッとした歯触りで、秋田では人気ナンバーワンの山菜である。だから「山菜の王様」とも言われている。ブナ帯では、沢沿いの湿り気のある肥沃な腐植粘土質の土壌を好んで群生する。半日陰のスギ林などにも生えているが、茎が一様に細い。

 茎が太い極上品を採るには、やはり人跡稀なブナ林に勝るものはない。雪国の山菜前線は、雪解けとともに海岸沿いから内陸部、里から山へと移っていく。
▲雪解けを待ちかねたように木々は芽吹き、あっという間に新緑の衣に包まれてゆく
「山笑う」新緑の季節・・・本格的な山菜採りシーズンへ

 谷が萌え出る新緑に包まれると、小沢の斜面は、春のあたたかい陽射しを浴びて、山菜の御三家「ホンナ、アイコ、シドケ」が一斉に芽を出す。雪国では、山が笑うと、渓流釣りやコダシを下げた山菜採りでにぎわい始める。
名前の由来

 葉が開く前は傘のように折りたたまれていること、葉が開くとモミジ葉の形に似ていることから「モミジガサ」と名付けられた。秋田ではシドケと呼ばれ、最も人気が高い。一般に、沢沿いの下にアイコ、上の半日陰の斜面にシドケが生えている。茎が太く、葉が開ききらない若芽の頃が旬である。
菅江真澄「山菜採り」(1785年4月2日、小野のふるさと)

 「ある老人が山菜採りにいってきたみやげといって、ホナ(ヨブスマソウ)、イハダラ(サラシナショウマ)、アイグサ(ミヤマイラクサ)、コゴミ(クサソテツ)、シホデ(シオデ)、シドケ(モミジガサ)・・・わたくしの聞き知らぬ菜もたいへん多い。カコベもやぶれるほど持ってきた

 雪国では、保存した食べ物を食べ尽くした春先が、最も緑の野菜に乏しい時期である。誰もが、山菜採りに歩かなければならなかった。その食用となる山菜の名を聞いて記しているが、今まで聞いたこともない山菜の種類の多さに驚いている。
▲土から顔を出したばかりの若芽
▲茎が太く、全草が柔らかい旬のシドケ 
採り方

 採取は、できるだけ茎が太いものを選び、手で自然に折れるところから折るのがコツ。若芽は全草が柔らかいので、根元をナイフで切り取ると、見た目が美しく後始末も簡単である。
旬を過ぎたシドケ

 葉も大きく開き、茎の丈が伸びると根元の方から堅くなるが、上の部分は柔らかく充分食用になる。茎の中間部付近を手で自然に折れるところから折り取る。アキタブキの葉でくるめば旬を保つことができる。
料理

 おひたしにすれば、野菜にはないほろ苦さと歯ごたえは一級品。シドケ特有の香りと苦みが気になる方は天ぷらがオススメ。高温の油がアクを抑え、まろやかで誰もが食べやすい味にしてくれる。
 おひたし、天ぷら、汁の実、煮付け、油煮、ごま和えなど。
▲右がシドケ、左がアイコのおひたし
シドケのおひたし

 山菜特有の香り、歯ごたえ、うまみを簡単な調理で味わうのが「おひたし」。まず塩を一つまみ入れて大鍋を沸騰させる。熱湯に山菜を根元から入れ、再度沸騰したらOK。茹ですぎると風味を損なうので注意。茹でたら、素早く冷水にさらす。かたく絞ってからかつお節をふりかけ、醤油、ごま醤油などで食べる。
シドケの天ぷら

 葉の形を活かした天ぷらは、一枚ずつ揚げると形がきれいに仕上がる。生のまま、衣は薄めにつけ、高温の油でサッと揚げる。塩を軽くふって食べると美味しい。

シドケの漬物

 キャベツ、キュウリ、カブなど漬物野菜と組み合わせて一夜漬けにすると、シドケの香りが野菜に移り、大変美味しい漬物になるという。
保存

 1週間程度の保存・・・濡れ新聞紙に包み、冷蔵庫の野菜室に保存。
 長期保存は、冷凍保存・・・堅めに茹でて水にさらし水気を切る。小分けにして急速冷凍する。使うときは、自然解凍してから調理する。
薬効

 β-カロテンがキャベツの10倍近くあり、ガンの抑制効果、視力低下防止効果。その他食欲増進効果。
シドケ写真館
参 考 文 献
「薬効もある山野草カラー百科」(畠山陽一、パッチワーク通信社)
「山菜・薬草 山の幸利用百科」(大沢章、農文協)
「ひと目でわかる 山菜・野草の見分け方・食べ方」(PHP研究所)
「山渓名前図鑑 野草の名前」(高橋勝雄、山と渓谷社) 
「読む植物図鑑」(川尻秀樹、全国林業改良普及協会)
「山菜ガイドブック」(山口昭彦、永岡書店)
「山菜採りナビ図鑑」(大海淳、大泉書店)
「日本の山菜100 山から海まで完全実食」(加藤真也、栃の葉書房)
「山菜と木の実の図鑑」(おくやまひさし、ポプラ社)