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名の由来、採り方、毒草に注意、料理、花とツボミ、薬用効果、ウルイ写真館
 日本では、ギボウシ類が30種を超えるほど多い。その中でも、山菜としてよく利用されるのは、山地に多い大型のオオバキボウシと湿地に多いコバキボウシである。一般にウルイと呼び、初夏の山菜として人気が高い。

 7月頃になると薄紫色の美しい花を咲かせる。食べるのは若葉の丸まったものや葉柄で、葉柄だけは大きくなっても食べられる。地上に芽を出した若芽は、毒草のコバイケイソウと似ているので注意。
名前の由来

 ウルイの名は、春先の若葉が丸まって立つように生え、葉の色がウリ類の皮に似ているので、瓜菜(うりな)が転化したと言われている。

 オオバギボウシは・・・日本の伝統的な木造の橋には欄干がある。欄干の柱にネギ坊主の形をした飾りがついている。これを「擬宝珠(ぎぼうしゅ)」という。葉がほかの仲間の葉より大きいので「オオバ」・・・合わせて「オオバギボウシ」。
▲渓流沿いの湿り気のある斜面に生えたウルイ
▲小沢沿いの湿地に群生したウルイ
採り方

 葉の開かない丸まっているものが旬、その茎の部分をナイフで切り取る。若い葉でも苦味が強いので、葉の部分は手でちぎり、茎の部分だけ採取する。
▲コバイケイソウ
▲コバイケイソウ ▲バイケイソウ

毒草のバイケイソウ、コバイケイソウに注意
 葉が広がると簡単に区別できるが、新芽の頃は似ているので注意が必要。

 バイケイソウは、ジェルビン、ベラトラミンなど複数のアルカロイドを作ることを得意とし、中でもプロトベラトリンは強烈で、摂取すると30分ほどでひどい嘔吐、下痢、目まいに襲われ、最悪の場合は血圧降下、意識混濁して絶命に至る。この根茎を催吐薬、血圧降下薬として応用したが、副作用がひどく使われなくなったという猛毒である。

 コバイケイソウの有毒成分や中毒症状はバイケイソウとほぼ同じ。両種とも死に至るほどの危険があるのは根茎。誤食事故の多くは、ウルイと間違えて葉を食べるというもので、比較的有毒成分濃度は低い。
料理

 独特のぬらめきと歯触りが特徴。アクのまったくない山菜で、鮮度が落ちずに保存期間も長い。
 刻んで味噌汁、カレー煮、油いため、すまし汁、卵とじ、三杯酢、あんかけ、和え物、甘煮、おひたし、サラダ、糠漬け、酢の物など。一夜漬けも独特のヌメリと歯応えがよく美味い。

ウルイの浅漬け
 材料・・・ウルイ 250g、胡瓜 2本、生姜 15g、塩  小さじ2

 鍋にたっぷりのお湯を沸かし、ウルイを入れ軽く茹でて、冷水にさらす。キュウリは2~3mmの斜め切りにする。生姜は皮を剥いて千切りにする。ウルイは、ギュっと絞って水気を切り4~5cmの長さに切る。塩小さじ2を入れ軽く混ぜ合わせる。密封できる袋に混ぜ合わせた材料を入れ、空気を抜いて漬ける。漬けてから半日程度で食べれる。 
▲右からウルイ、ヤマウド、シドケ

ウルイとウドの田舎風油炒め

 ヤマウドの香りとウルイのぬらめきが美味しい。ヤマウドの皮をむき、斜めに寸切りして水にさらす。ウルイは長さ5~6cmに切る。熱湯に入れて茹でる。サラダ油とラー油をひき、砂糖、塩、醤油、調味料を少々加えて炒める。
美しい花とツボミ

 生き生きした花とツボミを摘み、花のサラダとして梅酢ドレッシング、マヨネーズをかけたり、天ぷらなどにすれば、美しい摘み草料理の一つになる。
薬用効果

 山菜の中ではビタミンCが多い。腫物、虫刺され・・・全草を刈り、天日乾燥したものを煎じて患部を洗う。あるいは生葉の汁を絞って塗布する。
ウルイ写真館
参 考 文 献
「薬効もある山野草カラー百科」(畠山陽一、パッチワーク通信社)
「山菜・薬草 山の幸利用百科」(大沢章、農文協)
「ひと目でわかる 山菜・野草の見分け方・食べ方」(PHP研究所)
「山渓名前図鑑 野草の名前」(高橋勝雄、山と渓谷社) 
「読む植物図鑑」(川尻秀樹、全国林業改良普及協会)
「山菜ガイドブック」(山口昭彦、永岡書店)
「山菜採りナビ図鑑」(大海淳、大泉書店)
「日本の山菜100 山から海まで完全実食」(加藤真也、栃の葉書房)
「山菜と木の実の図鑑」(おくやまひさし、ポプラ社)
「採って食べる 山菜、木の実」(橋本郁三、信濃毎日新聞社)
「おいしく食べる山菜・野草」(世界文化社)
「うまい雑草、ヤバイ雑草」(森昭彦、ソフトバンク)