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名の由来、菅江真澄「ミズの汁」、採り方、ミズのコブコ採り、料理、薬用効果、ミズ写真館
 渓流沿いや水の滴る崖、滝の近く、水の流れるジメジメした所に群生する。特に日当たりの悪い深い谷で、清冽なしぶきを浴びるようなところでは、よく伸びた太いミズが採れる春から秋(5~10月)まで、約半年間にわたって美味しく食べられるだけに、山では最も重宝する山菜である。

 山ごもりする方はもちろん、山で遭難した場合など、何はさておきミズだけは、絶対に覚えておかなければならない山菜の筆頭である。ありがたいことに、沢筋の水が流れる湿地帯には、「ミズ畑」と呼びたくなるほどの大群落を形成し、大量に採取できる。クセもなく、どんな調理にも合う。だから実用的には「山菜の王様」である。根元の色によって、アオミズ、アカミズと区別しているが、粘りのあるアカミズの方が美味しい。
名前の由来

 方言のミズは、茎が柔らかく水分が多いから「水(ミズ)」。正式名のウワバミソウは、ウワバミ(大蛇)の住みそうな暗くジメジメした所に生えることから名付けられた。
菅江真澄「ミズの汁」(1797年、外浜奇勝)

 「鬼川辺のほとりに住み捨てた木こり小屋があるのに入った・・・鍋をとりだして飯をたき、メツカイに盛り、ヘラで整え、壺杓子でミズの汁をよそった
▲右からミズ、フキ、ワラビ、上がタケノコ

菅江真澄「タケノコ、ミズ」(1807年、おがらの滝・八峰町)

 「酒の肴には何がよいか、といって、笹竹のタケノコ、ミズ、ニシンの干物、ヤグルマソウの葉の上に飯を山盛りにしたものをだした・・・初嫁には、草の細茎(クジャクシダ)のやわらかいところを折って添え、その箸で食べろと、大勢の早乙女にすすめられる。困ってしまい、手を合わせてあやまると、それではその代わりに酒を飲めとたくさん飲ませられる」
採り方

 根が太く赤味の強いものを選び、根際から一本づつ根を残すように折り取るか、ナイフで切り取る。束ねたら、葉の部分をねじり取って茎だけ採取する。
秋口、ミズのコブコ採り

 秋口になると、茎と葉の付け根に小さな丸いムカゴ状の実がつく。秋田では「ミズのコブコ」と呼んでいる。カモシカは、ミズのコブだけを選り分けて食べるくらいで、人間にとっても大変美味い。先端についているミズのコブだけを摘み取り、葉の部分は捨てる。
▲採取したミズのコブコ
料理

 ミズは、独特の粘りとシャキシャキした歯触り、さらに利用期間が最も長い一級品の山菜である。それだれけに料理のバリエーションも広い。調理するときは、根、茎、秋のコブコ(ムカゴ)に分け、茎は皮を剥いでから調理する。根はミズたたき、茎は浅漬け、炒め物、汁の実など、コブコは塩漬けが美味い。

 おひたし、ミズたたき、即席漬け、汁の実、煮付け、油炒め、卵とじ、和え物など。ミズの若葉は天ぷらに。
▲ミズは皮をむいてから調理する ▲ミズの塩昆布漬け

ミズの即席漬け

 ミズは葉とヒゲ根をとってよく洗い、皮をむく。沸騰したお湯に塩をひとつまみ入れてゆで、冷水にさらしてから、3~4cmほどの長さに切る。みじん切りにしたショウガと塩をふり、指先で軽くもみながら混ぜ合わせる。塩昆布で混ぜ合わせると簡単である。数時間で食べられる。また、ミズとカブ、キュウリなどの野菜と一緒に一夜漬けにすればなお美味い。

ミズとニシンのしょっつる鍋・・・ミズにジュンサイを加えて、ぬかニシンをぶつ切りにしたものを「しょっつる」仕立てで煮る。
ミズとタケノコの煮びたし・・・薄味でじっくり煮込むと、味が溶け合い絶品。
▲ミズたたきには、根元部分を使うが、太くて赤いものを選んで使う 
ミズたたき

 アカミズの葉をとってざっと熱湯を通し、ビニール袋に入れ、その上からすりこぎでたたいてつぶす。さらにまな板の上で粘りが出るまで包丁でたたく。これに味噌を入れて混ぜながら軽くたたいて、最後に山椒の葉(またはニンニク)を細かく刻んで入れる。小鉢に盛り、山椒の葉を添える。
▲右がミズたたき、左がフキ
▲ミズのコブコの松前漬け
▲ミズのコブコ漬け ▲ミズのコブコの塩昆布漬け

ミズのコブコ漬け

 熱湯に塩を少し入れ、葉を取り除いたコブコをサッと茹で、冷やしてから水を切る。下処理したコブコを容器に入れ、塩漬けや塩昆布漬け、味噌漬け、松前漬けにして一晩おけば、粘りのある美味しい漬物「ミズのコブコ漬け」ができる。
薬用効果

 ビタミンの多い山菜で、特にCを多く含み、かぜ、がん予防、抗酸化作用、解毒作用がある。ムチン(ヌメリ)を含み、胃腸を守り肝機能を強化する。細胞を活性化して老化防止に役立つ。
ミズ写真館
参 考 文 献
「薬効もある山野草カラー百科」(畠山陽一、パッチワーク通信社)
「山菜・薬草 山の幸利用百科」(大沢章、農文協)
「ひと目でわかる 山菜・野草の見分け方・食べ方」(PHP研究所)
「山渓名前図鑑 野草の名前」(高橋勝雄、山と渓谷社) 
「読む植物図鑑」(川尻秀樹、全国林業改良普及協会)
「山菜ガイドブック」(山口昭彦、永岡書店)
「山菜採りナビ図鑑」(大海淳、大泉書店)
「日本の山菜100 山から海まで完全実食」(加藤真也、栃の葉書房)
「山菜と木の実の図鑑」(おくやまひさし、ポプラ社)
「採って食べる 山菜、木の実」(橋本郁三、信濃毎日新聞社)
「おいしく食べる山菜・野草」(世界文化社)
「あきた山菜キノコの四季」(永田賢之助、秋田魁新報社)