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INDEX エゾニュウ、フジ
 山地の草地や沢沿い、谷間の斜面に群生するセリ科シシウド属の大型多年草。適度な湿り気のある半日蔭を好み、夏は草丈1mを超す。大変美味しく、ツキノワグマも大好物な山菜だが、なぜか山菜のガイドブックには、ほとんど掲載されていない。秋田県では、「ニョウサク」「サク」「ニオ」などと呼ばれ、塩蔵して冬に食べる越冬山菜の代表である。
名前の由来

 「エゾ」は北海道、「ニュウ」はアイヌ語で、茎に甘味があり食用・薬用になることに由来していると言われ、「蝦夷ニュウ」と書く。
花期・・・花期は7~8月で、草丈1~3mとビックリするほど大型になる。
▲沢沿いに群生したエゾニュウ

 山菜は過酷な環境の中で育っているので、畑やハウス栽培にはない力強さがある。「渋み」「えぐみ」「にがみ」、さらにエゾニュウは黒い汁が出る。しかし、これは山菜特有の希な味が出る証である。
▲ニョウサク採りは、シラネアオイが咲く頃
▲犬を連れたニョウサク採りの人たち
採り方

 5月中旬~6月初旬頃、株の真ん中に出た若い茎をナイフで切り取る。クマも大好物なので、クマ避け鈴、爆竹などクマ被害防止対策は必須である。
 
▲塩漬けニョウサク

料理

 山菜特有のクセがなく万人向きの美味しい山菜。生のまま、一晩食塩水に浸しておくと、しなやかになって皮が剥けやすい。秋田では、一般に皮をむいて、一旦塩蔵してから、冬に戻して調理する。煮物、炒め物、味噌汁、なべ物など。
▲塩抜きしたニョウサク ▲ニョウサクと身欠きニシンの煮物
▲ニョウサクの煮物2(ニョウサク、ゼンマイ、タケノコ、身欠けニシンなど)

塩漬けニョウサクの塩の抜き方

 鍋や、容器に水を張り、ニョウサクを12時間程度浸す事で塩が抜ける。その間2~3回水を入れ替えること。見た目は美味しそうに見えないが、味は「山菜の王様級」である。

煮物にすると絶品

 煮込んでも煮崩れせず、サクサクした食感でウドやフキよりも美味しい。他に油炒め、煮付け、天ぷら、汁の実など。

ニョウサクと人参のきんぴら

 フライパンにゴマ油をひき、ニョウサク、細切りにした人参、鷹の爪をいれて炒めて醤油、酒、砂糖で味付けすれば出来上がり。
夏、クマはこの大型の草を好んで食べる。

 エゾニュウは香りが強く、口にすると舌にセロリのような刺激がある。クマは、この味を好むらしく、夏になると、沢沿いの到る所で食べた痕跡がみられる。特に7月~8月は、クマの草食いの季節と言われ、アイコやエゾニュウ、ミズなどを求めて沢に集まってくる。沢沿いの草は、あちこちでなぎ倒され、クマ道もできている。

 こうした時期に山菜採り、渓流釣り、沢登りなどで沢に入る人は特に注意が必要である。クマ避け鈴は必須で、さらにクマ撃退スプレーを持っていれば安心だ。ヒグマも夏はエゾニュウを好んで食べる。
 フ ジ
 里山や低山帯の林縁や林道、渓流沿いの樹木に左巻きに絡みついて、初夏には紫色の房状の花をたくさん咲かせる。満開のフジを対岸から眺めても、何千もの花穂をぶら下げた景観は、実に美しい。
料理

 2分咲きの花穂の天ぷらは、花の色と甘い香りが素晴らしい。フジの花は、ビールやホワイトリカーと相性がいい。ビールのジョッキに、八分咲きのフジの花を一房入れると、花の甘い香りと微かな糖分がビールに溶け込み美味しい。

 また、半開きほどの花を摘み取り、2~3倍量のホワイトリカーに漬けて、花を7~14日で容器から引き上げると、ダークな赤褐色の辛口リキュールができる。
参 考 文 献
「薬効もある山野草カラー百科」(畠山陽一、パッチワーク通信社)
「山菜・薬草 山の幸利用百科」(大沢章、農文協)
「ひと目でわかる 山菜・野草の見分け方・食べ方」(PHP研究所)
「山渓名前図鑑 野草の名前」(高橋勝雄、山と渓谷社) 
「読む植物図鑑」(川尻秀樹、全国林業改良普及協会)
「山菜ガイドブック」(山口昭彦、永岡書店)
「山菜採りナビ図鑑」(大海淳、大泉書店)
「日本の山菜100 山から海まで完全実食」(加藤真也、栃の葉書房)
「山菜と木の実の図鑑」(おくやまひさし、ポプラ社)
「採って食べる 山菜、木の実」(橋本郁三、信濃毎日新聞社)
「おいしく食べる山菜・野草」(世界文化社)
「あきた山菜キノコの四季」(永田賢之助、秋田魁新報社)