森と水の恵み・山菜図鑑 |
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緑黄野菜の乏しい雪国にとって、山菜は、なくてはならない貴重な食料である。秋田の伝統的な山菜料理は、おふくろの味とも言われ、保存の仕方、戻し方、食べ方に工夫を凝らした利用法が伝承されている。 「森と水の恵み・山菜図鑑」では、秋田を代表する山菜の見分け方、採り方、簡単な料理法を紹介する。雪国秋田の森と水の豊かさ、大切さ、田舎の味に代表されるスローフードを見直すキッカケになれば幸いである。 |
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▲森と水の恵み「山の幸定食」・・・雪国の春は、新緑と「山の幸定食」が楽しめる最高の季節である。 | ||||||||||||||
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雪国・秋田は、ブナ帯に位置している。ブナ帯の山菜は、種類も量も比較にならぬほど豊富で、「山菜文化」とも呼ばれている。早春、山の木々が一斉に芽を吹き、緑の衣をつけはじめる。あたり一面が若緑になると、山は、コダシを下げた山菜採りでにぎわう。
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山菜図鑑INDEX | ||||||||||||||
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春の使者・バッケ(ふきのとう:秋田県の花) | ||||||||||||||
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バッケ(ふきのとう)は、雪が解け、春の光を浴びると一斉にほころぶ。雪国秋田では、この花を見つけると、待ちわびた春がきたことを実感する。山菜としての利用は、まだツボミが開かない若芽が旬。春の香りとほろ苦さを楽しむ山菜として親しまれている。 | ||||||||||||||
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バッケは、棚田の畔や道端、沢の土手など日当たりの良い場所に群生する。食用としては、花を包む苞が開ききらないものを選んで採取する。 | ||||||||||||||
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▽バッケみその作り方 よく水洗いし熱湯で色好くサッとゆでる。冷水にさらし、ザルに上げる。よく水分をとり、細かく刻む。フライパンに油を熱し、味噌、砂糖を入れて練る。刻んだバッケを入れて、ざっと混ぜる。 |
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春告げ花の代表・カタクリ | ||||||||||||||
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芽吹く前の里山やブナ林の斜面では、足の踏み場もないほどの大きな群落をよく見かける。「春の女王」とも呼ばれ、早春の山野草の中では、最も人気が高いが、全草山菜として利用できる。花がツボミ状態の若芽が旬。 | ||||||||||||||
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ギョウジャニンニク(アイヌネギ) | ||||||||||||||
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▲ギョウジャニンニクと豚バラの油炒め・・・根際の網目状の繊維を取り除き、適当な長さに切る。豚バラを炒めた後、ギョウジャニンニクを入れて炒め、万能つゆなどで味付けする。 | ||||||||||||||
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クレソン(オランダガラシ) | ||||||||||||||
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明治の頃、香辛野菜として持ち込まれたものが全国に野生化した外来種。しばしば深山の沢沿いや湧水池にも野生化したクレソンを見掛けることがある。沼の水面を覆い尽くすように群生し、その繁殖力の強さには驚かされる。 | ||||||||||||||
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アザミ類 | ||||||||||||||
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小沢沿いの斜面にいち早く芽を出したアザミ・・・その仲間は種類が多く、どれも棘だらけで、すぐにアザミと分かるが、何というアザミかとなると区別が難しい。しかし、春の若芽や初夏の若茎は、どの種類のアザミも食べられるから安心だ。 | ||||||||||||||
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![]() ▽アザミの酢味噌和え アザミを洗って塩をひとつまみ入れた熱湯で、茶色のアクがでるまで長めに茹でる。水にさらし、十分水気を切って適当な長さに切る。酢味噌で和えて器に盛る。 |
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▲アザミのおひたし | ||||||||||||||
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初夏の若茎は、ゆでて水にさらし、皮をむいてからマヨネーズで食べると美味い。
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アサツキ(ヒロッコ) | ||||||||||||||
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道端や畑、土手など身近な場所に生える。昔は、雪が解け出すと、子供たちが「ヒロッコ採り」と称してよく採った。地中にラッキョウに似た球根があり、全草を利用する。 | ||||||||||||||
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ヤブカンゾウ | ||||||||||||||
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山里の村周辺を歩けば、簡単に見つけることができる。しばしば耕作放棄地にも群生している。若芽は緑が鮮やかでみずみずしい。![]() ![]() |
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▲コゴミ(クサソテツ) | ||||||||||||||
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山地の湿っぽい林床や渓流沿いなどに生える。伸び始めた葉の先が、ゼンマイのようにしっかり巻いている若芽が旬。秋田では、頭が低いからコゴミと呼ぶ。あっという間に伸びるので、採取適期は意外に短い。クセのない味で万人に好まれ、今では栽培物がスーパーで売られている。 山菜として食べるシダ植物には、ゼンマイ、ワラビなどがあるが、アクが強く、下ごしらえが面倒だ。ところがコゴミは、アクもなく下ごしらえも簡単で、万人に好まれる山菜である。 |
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▲早春の山の幸定食 左上からバッケ味噌、ギョウジャニンニクと豚バラの油炒め、コゴミとマヨネーズ、左下からヤマワサビの醤油漬け、イワナの塩焼き、カタクリのおひたし |
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ツクシ | ||||||||||||||
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日当たりの良い土手や空き地、荒地などに群生する。10cmくらいのツクシを採る。ハカマを除いた茎だけを茹でてから水にさらし調理。卵とじ、煮物、酢の物、汁の実、胡麻和え、味噌和えなど。 ▽ツクシの卵とじ ハカマをとる。熱湯でサッとゆでる。絞って適当な長さに切る。サラダ油で炒める。砂糖、みりん、醤油で味付けして、最後に卵でとじる。 |
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ヨモギ | ||||||||||||||
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田んぼの畔や土手、空き地、山野の日当たりの良い場所に群生する。萌え出たばかりの新芽は、草餅やヨモギ団子に利用される。健胃作用や疲労回復に効果があるとされる薬草の一種。生のまま天ぷら、茹でて水にさらし、各種和え物や油炒め、汁の実に。
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タラノ芽(タラノキ) | ||||||||||||||
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山地の林や原野、林道沿い、伐採跡地などに見られる落葉低木。新芽は古くから人気のある山菜で、今では温室栽培もされている。同じ木の芽では、コシアブラの若芽も有名だが、秋田ではほとんど食べない。 | ||||||||||||||
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イタドリ(サシボ) | ||||||||||||||
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秋田では、「さしぼ」・「さしぼっこ」と呼ばれ、由利地方では、この若芽がよく食べられている。ぬるぬるとした食感が特徴。このイタドリの枯れ茎には、イタドリ虫(サシドリ虫)がいて、イワナやヤマメの釣り餌になる。 | ||||||||||||||
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山菜シーズン到来を告げるニリンソウ | ||||||||||||||
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カタクリやキクザキイチゲのピークが過ぎると、ニリンソウが咲き始める。やがて、ニリンソウの大群落が満開になると、ホンナ、アイコ、シドケなどの山菜が次から次へと生えてくる。ニリンソウの開花は、山菜シーズンの到来を告げる草花でもある。だから草花たちの観察は、山菜のピークを読むためにも欠かせない。 | ||||||||||||||
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▲ニリンソウ1 | ▲ニリンソウ2 | |||||||||||||
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▲ニリンソウとトリカブト(毒)の混生 | ||||||||||||||
ニリンソウとトリカブトは、若葉が似ているだけでなく混成している場合も少なくない。上の写真を見て見分けがつくだろうか。緑色の若葉がトリカブト、薄赤紫色の若葉がニリンソウである。・・・実に紛らわしい。おひたしが定番だが、自信のない方は絶対に手を出さないこと。 |
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猛毒・トリカブトに注意 | ||||||||||||||
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日当たりの良い雪解けの斜面に群生したトリカブトの若芽。日本の毒草の中では、最も毒性が強い。ニリンソウやシドケと間違えて採取し、中毒する例が後を絶たない。 | ||||||||||||||
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トリカブトの根は太く(右の写真)特に毒性が強いが、全草が猛毒。トリカブトの花や花粉、蜜まで危険と言われるほどの猛毒である。 ▽トリカブト食中毒事故 最近では、2012年4月8日、猛毒のトリカブトをニリンソウと間違えて食べ、函館市の父子2人が死亡、1人が重症となった。死亡した父子は、山菜採りにもよく行っており、しかも、出かける前に、食べられる山菜と有毒植物の見分け方を植物図鑑で確認していたという。 それでも山菜のニリンソウとの違いを見極められず、誤ってトリカブトを食べてしまった。この二種は、生えている場所が同じで、かつ早春の若葉の形や色がそっくり。誤食すれば、舌先がしびれ、ひどい嘔吐、痙攣に襲われ、強烈な麻痺が全身に広がって呼吸が止まる。 古来より本草学の世界では、トリカブトの研究で命を落とす例は数限りなくあったという。日本では、東大教授の白井光太郎博士・・・トリカブトは、猛毒とは言え微量であれば強壮薬、強心剤、興奮剤になるという。その減毒加工を行って、不老長寿の薬にしようと、慎重に実験したが、ついに他界した。 トリカブト博士でも死亡するほどの猛毒・・・従って、紛らわしいニリンソウは、草花として鑑賞するだけにとどめるべきだと思う。 |
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ホンナ(イヌドウナ) | ||||||||||||||
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渓流周辺の湿った斜面に生える。独特の香りと味があり、シドケ、アイコと並び雪国を代表する山菜の一つ。民謡「秋田おばこ」には「おばこどこさ行く/うしろのお山さ/ホナコ折りに」と歌われるほど親しまれている。秋田では、ホンナ、ホナコ、ボンナなどと呼ぶ。 ホンナ(イヌドウナ)は、キク科の中でも葉がコウモリやカニのような形をしているので覚えやすい。葉の形によって数種類あるが、どれも食べられるので安心。もちろん若芽や若葉の頃が旬。 |
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▲ホンナ(イヌドウナ)・・・秋田では、葉の付け根が大きなヒレのようになったヨブスマソウの変種・イヌドウナが良く利用されている。 | ||||||||||||||
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山菜の王様・シドケ(モミジガサ) | ||||||||||||||
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山菜特有の香りと苦味があり、ブナ林を代表する山菜の一つ。葉が開く前は傘のように垂れ、葉が開くとモミジの形をしていることからモミジガサと名付けられた。渓流沿いの斜面などに生える。秋田では、シドケと呼ばれ、山菜の王様として重宝されている山菜の一つ。 | ||||||||||||||
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一般に、沢沿いの下にアイコ、上の斜面にシドケが生えている。開いた葉の形がモミジに似ていて光沢があり、写真の被写体としても一級品。茎が太く、葉が開ききらない若芽の頃が旬。 | ||||||||||||||
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▲シドケの天ぷら | ||||||||||||||
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▲シドケのおひたし | ▲シドケとアイコのおひたし | |||||||||||||
▽山菜のおひたし 山菜特有の香り、歯ごたえ、うまみを簡単な調理で味わうのが「おひたし」。まず塩を一つまみ入れて大鍋を沸騰させる。熱湯に山菜を根元から入れ、再度沸騰したらOK。茹ですぎると風味を損なうので注意が必要だ。茹でたら、素早く冷水にさらす。かたく絞ってからかつお節をふりかけ、醤油、ごま醤油などで食べる。 |
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山菜の女王・アイコ(ミヤマイラクサ) | ||||||||||||||
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シドケと並びブナ林を代表する山菜。大きく伸びたアイコは、全草に鋭い刺があるのが最大の特徴で、素手で触ると悲鳴を挙げるほど痛いので注意。深山刺草(ミヤマイラクサ)と呼ぶように、山菜として深い山地の沢沿いに群生している。山菜特有のクセがなく、万人向きの山菜である。 | ||||||||||||||
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▲右がアイコ、左がシドケ | ||||||||||||||
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▲アイコの葉は、味噌汁の具に利用する | ▲アイコの葉とエノキタケの味噌汁 | |||||||||||||
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▲熱湯で茹で、水にさらし皮をむいてから調理する | ▲アイコのおひたし | |||||||||||||
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▲アイコ、コゴミ、シドケのおひたし | ▲アイコとシドケのおひたし | |||||||||||||
▽山菜の和え物 おひたしに一工夫加えた調理法が和え物。酢味噌和え、ゴマ和え、豆腐を使った白和え、辛子と醤油を混ぜた辛し和え、クルミやピーナッツをすって和えたものなど。 |
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ウド(ヤマウド) | ||||||||||||||
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腐葉土が雪崩で堆積した崩壊斜面に極上のウドが群生する。反対に腐葉土が浅く痩せた斜面のウドは品質が劣る。土から顔を出したウドは、姿、形ともに美しく、被写体としても魅力的な山菜である。 | ||||||||||||||
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▲食べ頃のウド畑。生長しても先端の柔らかい部分は食べられる。 | ||||||||||||||
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▲ウドのキンピラ | ▲ウドのステック | |||||||||||||
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▲山菜の天ぷら | ▲ウドの天ぷら | |||||||||||||
▽ウドのドレッシング和え ウドは皮をむき、拍子切りにし、水に入れてアクを抜く。その他の野菜(きゅうり、ピーマンなど)を千切りにする。ウドのミズを切り、他の野菜と一緒に盛り付け、ドレッシングで和えて食べる。 |
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▲雪解けの雪崩斜面に次々と芽を出した山菜たち 同じ斜面にシドケ、ウド、アイコが一斉に萌え出すと、春の山菜採りはピークを迎える。 |
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▲山菜ピークの頃の山の幸 ホンナ、ウド、タラノメ、ミズ、シドケ、アイコ・・・「食」をベースに考えると、山菜がピークに達する春から初夏の山がベストシーズンと言える。 |
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清流のシンボル・ワサビ(ヤマワサビ) | ||||||||||||||
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ワサビは、傾斜がきつく、きれいな水が湧いているか、斜面のすぐ下に伏流水が流れているような湿っぽい清流沿いに大きな群落をつくる。周囲の林相は、サワグルミ林の場合が多い。採取時期は、春から初夏、白い花を咲かせる頃である。鼻にツンとくる独特の辛みと風味が特徴。 | ||||||||||||||
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▲ワサビの若葉・・・ワサビの葉は、艶のあるハート形で美しい。 | ||||||||||||||
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▲イワナの刺身には、ヤマワサビがベスト | ||||||||||||||
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▽山ワサビの醤油漬け 山ワサビをよく洗い、食べやすい長さに刻む ![]() ![]() ![]() |
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ミズ(ウワバミソウ) | ||||||||||||||
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春から秋まで長い期間食べられるだけに、最も利用されている山菜の代表格。上の写真のように沢筋の湿地帯に「ミズ畑」と呼ばれる大群落を形成し、大量に採取できる。クセもなく、どんな調理にも合う。根元の色によって、アオミズ、アカミズと区別している。 | ||||||||||||||
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▲ミズは皮をむいてから調理する | ▲ミズの油炒め | |||||||||||||
![]() ▽ミズの即席漬け ミズは葉とヒゲ根をとってよく洗い、皮をむく。沸騰したお湯に塩をひとつまみ入れてゆで、冷水にさらしてから、3〜4cmほどの長さに切る。みじん切りにしたショウガと塩をふり、指先で軽くもみながら混ぜ合わせる。塩昆布で混ぜ合わせると簡単である。数時間で食べられる。 |
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▲ミズたたき アカミズの葉をとってざっと熱湯を通し、ビニール袋に入れ、その上からすりこぎでたたいてつぶす。さらにまな板の上で粘りが出るまで包丁でたたく。これに味噌を入れて混ぜながら軽くたたいて、最後に山椒の葉(またはニンニク)を細かく刻んで入れる。小鉢に盛り、山椒の葉を添える。 |
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▲ミズの雄花 | ▲ムカゴ状の実「ミズのコブコ」 | |||||||||||||
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▲採取したミズのコブコ | ▲ミズのコブコの松前漬け | |||||||||||||
9月頃になると、茎と葉の付け根に小さな丸いムカゴ状の実がつく。秋田ではミズのコブコと呼んでいる。カモシカは、ミズのコブだけを選り分けて食べるくらいで、人間にとっても大変美味い。ミズのコブだけを採取したものを味噌漬にすると、粘りのある美味しい漬物「ミズのコブコ漬け」ができる。 |
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ウバユリ | ||||||||||||||
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開く前の若葉を採る。茹でて、おひたし、和え物に。 鱗茎は、秋に掘る。掘り取った鱗茎は、塩茹でしてから、和え物や煮物、天ぷらなどに。 |
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トリアシショウマ | ||||||||||||||
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トリアシショウマは、茎が赤褐色の毛が密生していて、茎の途中から三本に分かれている。まるで取りの足に似ていることからトリノアシなどと呼ばれている。太い茎を選び、自然に折れるところから折り取る。茹でておひたし、和え物に。
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スミレサイシン | ||||||||||||||
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春、先端が尖った円心形の葉と淡い紫色の花をつける。全草が食用として利用できる。若芽と若葉は、和え物、天ぷら、花はサラダ、酢の物、天ぷら、根茎はとろろに合う。
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ゼンマイ | ||||||||||||||
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ゼンマイは雪崩の多い危険な急崖に生える。それだけに山のプロと呼ばれる人たちが採る山菜の筆頭である。沢沿いの湿り気のある急斜面を好み、大群落を形成する。春先の若芽は、銭がクルクル回転しているように見えるので、銭舞(ゼニマイ)と呼ばれたことから名付けられた。ちなみに時計のゼンマイは、このシダ植物の名前が由来だという。 | ||||||||||||||
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▲胞子葉が開いているのが「男ゼンマイ」![]() |
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かつては、山の中に造ったゼンマイ小屋に泊まり込み、ゼンマイ採りに専念する家族もあった。夫がゼンマイを折り、妻が天日で乾かしていく。プロのゼンマイ採りは、夫婦二人の共同作業が基本だった。今では奥山でゼンマイを採る山人を見かけることがなくなった。 | ||||||||||||||
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採取したゼンマイは、その日のうちに処理する。重曹や木灰を入れた釜でゆで、蓋をして一晩おき、流水で洗ってアクを抜く。昔は、囲炉裏に吊るした干棚で、燻製のように燻しながら干したが、今は天日乾燥が一般的である。 | ||||||||||||||
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▲山村のゼンマイ干し風景(羽後町田代) 乾燥ゼンマイは、アク抜きしたゼンマイを天日で干しながら丹念に手でもみ、完全に水気を抜いたもの(天日干しは3日ほど)。ゆでたゼンマイをムシロに広げて干し、まだ柔らかいうちに両手で丹念にもむ。緑色のゼンマイは、干しあがると黒っぽくなる。こうして乾燥すれば、長期保存が可能で、かつ香りが豊かになり、うまみも増す。 |
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![]() ▽干しゼンマイの戻し方 人肌ぐらいの湯に5〜6分つけて、少し柔らかくする。そのゼンマイを60度くらいの湯に浸し、自然に冷ます。この時アクが出て、液が茶色になる。これを3〜4回繰り返して、アクを抜きながら徐々にもどす。 |
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ヤマドリゼンマイ | ||||||||||||||
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ゼンマイとして食用に利用されているのは、ゼンマイとヤマドリゼンマイの二種。ゼンマイは危険な岩場に多く生えるが、ヤマドリゼンマイは高原の開けた明るい草地、湿地に生える。その名は、山鳥の住むような所に生えることに由来する。ゼンマイに比べ楽に採取でき、味もゼンマイに劣らない。 | ||||||||||||||
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ゼンマイは白っぽい綿毛を被っているのに対し、茶褐色の綿毛を全身に被っている。綿毛と芽先の巻いた部分は取り除き、ゼンマイと同様、茹でた後干して保存する。干しゼンマイとして売られているものは、ヤマドリゼンマイの方が多いと言われている。
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ウルイ(オオバキボウシ) | ||||||||||||||
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山に生える多年草で、7月頃になると薄紫色の美しい花を咲かせる。食べるのは若葉の丸まったものや葉柄で、葉柄だけは大きくなっても食べられる。地上に芽を出した若芽は、毒草のコバイケイソウと似ているので注意。(上の写真は、リュウキンカが咲いていた湿地帯に生えていたウルイ) | ||||||||||||||
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コバイケイソウ(猛毒) | ||||||||||||||
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雪解けの湿った場所に群生するコバイケイソウ。若芽がギボウシ類やギョウジャニンニクに似ているので注意。コバイケイソウとバイケイソウは、共に根茎が死に至るほどの猛毒。
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リュウキンカ | ||||||||||||||
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渓流沿いの湿地や沼地、高山の湿原にも生える草花で、鮮やかな黄金色の花と光沢のあるハート型の大きな葉が特徴。春から初夏にかけて、柔らかな茎と葉を摘み取る。 | ||||||||||||||
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エゾニュウ(ニオサク) | ||||||||||||||
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沢沿いの適度な湿り気のある半日蔭のような所に生える。株の真ん中の若い茎を切り取り、皮をむいて塩蔵する。アクが強く、すぐに食べられない。ただし味はすこぶる美味。![]() |
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▲夏、クマはこの大型の草を好んで食べる。 エゾニュウは香りが強く、口にすると舌にセロリのような刺激がある。クマは、この味を好むらしく、夏になると、沢沿いの到る所で食べた痕跡がみられる。ヒグマも夏はエゾニュウを好んで食べる。 |
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ワラビ | ||||||||||||||
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最も身近で美味しい山菜の代表。伐採跡地など日当たりの良い草地や川沿いの土手などに生える。(写真は、先端のホダを取り除いたワラビ) | ||||||||||||||
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▽ワラビのアク抜き ワラビは洗って硬い根元を切ってから、指先で先端部分のホダをとる。大きめの容器にワラビを並べる。木灰又は重曹をふりかける。熱湯をワラビが完全に隠れるまでムラのないように全体に回しかける。蓋をしてそのまま翌朝まで置く。 翌朝、アク水を捨て、ワラビを冷水の中につけて数回水をとりかえるか、1〜2時間流水にさらしてから使う。 |
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![]() ▽ワラビの長期保存法 ワラビはたくさん採って樽に漬け込み、長い冬の食糧として蓄える。採ってきたワラビを次々と樽に積み重ね、その度に真っ白になるほど塩をふって重石を置く。褐色の水がしみ出て蓋の上まで上がってくるが、そのままにして次のワラビを積み重ねていく。アク抜きをしなくても食べられるようになる。 また、ゼンマイと同様、天日で乾燥させた干しワラビにして保存する方法もある。 |
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▲現場で楽しむ山菜料理・・・右下からワラビ、シドケ、アザミの茎、ウルイ、ウドのきんぴら
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タケノコ(ネマガリタケ) | ||||||||||||||
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5月下旬から6月、ブナ林などの下に大群落をつくるササの仲間。タケノコは、数ある山菜の中でも間違いなく横綱級の美味さ・・・その美味さは一度食べると病み付きになるほど美味い。しかし、早朝、魔の笹薮に飛び込み、タケノコ採りに夢中になる余り、方向を見失い、遭難するケースが絶えないので注意。 | ||||||||||||||
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▽タケノコの皮むき・・・100円ショップで売っている万能皮むき器が便利である。 タケノコの先端から根元にかけて、一筋の切れ目を入れるだけで簡単に皮を剥くことができる。長刀のように伸びたタケノコは、節々が硬いので硬い部分を包丁で切り落とし、軟らかい部分のみ食用として使う。 |
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▲サワモダシ(ナラタケ)を入れたタケノコ汁 | ▲シンプルなタケノコの味噌汁 | |||||||||||||
![]() ▽タケノコ汁 あたためた鍋にサラダ油で豚肉を炒め、水とタケノコを入れる。アクをすくいながらタケノコが柔らかくなるまで煮る。八分目ぐらい煮えたところで、コンニャク、ニンジン、味噌を入れ、味がしみこむまで煮込む。 ▽タケノコの長期保存 皮をむき、タケノコの缶詰で保存するのが一般的である。 |
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▲クマがタケノコの皮をむいて食べた痕跡(6月上旬、八峰町真瀬川中ノ又沢県境稜線) | ▲クマの糞は、100%タケノコ(6月中旬、仙北市田沢湖町大深沢支流ヤセノ沢源頭) | |||||||||||||
初夏になるとクマは、チシマザサの若芽が土から顔を出す場所を移動しながら一ヶ月もタケノコを食べ続けるという。従ってクマと遭遇する機会も多く、人身被害も絶えないので注意。 クマ被害防止対策・・・一人ではなく複数で行動すること。クマ避け鈴やラジオ、笛を鳴らすなど、クマに対して常に自分の存在をアピールすること。残飯や生ゴミは絶対に捨てないこと。襲ってきたら、熊撃退スプレーが有効と言われている。 |
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山のアスパラガス・・・ヒデコ(シオデ) | ||||||||||||||
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秋田では「ヒデコ」と呼び、民謡「ひでこ節」に登場するほど馴染み深い山菜の一つである。「十七、八 ナ/今朝のナァ/若草/どこで刈ったナァ/このひでこナア/アラヒデコナァ・・・」。若い男女が、山菜のヒデコを採る時に歌った唄である。 山野の日当たりの良くないところに生えるつる草で、ほかの植物にまといついて生長する。稀に大きな群生もみられる。一番生え、二番生え、三番生えと摘むことができる。 ![]() |
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アキタフキ | ||||||||||||||
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秋田名物の秋田フキは、秋田市仁井田地区で栽培されており、6月頃には6〜7尺にも達する。盛りの時は、「フキ林」を見るようだったという。この大型の変種・アキタフキは、秋田から岩手県以北、北海道に分布しており、野生のものでも高さ1.5m〜2mにもなる。別名オオブキとも呼ばれている。 | ||||||||||||||
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![]() ▽フキの長期保存 大鍋で茹でて、皮をむき、小束にフキの皮で束ね、大きな樽に塩漬けにする。食べる時は、流水にさらして調理する。他に味噌漬、粕漬、佃煮、砂糖漬などがある。 |
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山菜採り、きのこ採りのマナー | ||||||||||||||
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① 国立公園の特別保護地域など、植物や昆虫などの持ち出しが一切禁止されている地域での採取は厳禁。 ② 私有地や森林組合などが入会権を持っている場所は、当然のことながら採取禁止で、決して立ち入らないこと。こうしたエリアには「山菜採り、キノコ狩り禁止」といった表示板が多い。 ③ 山菜は採り過ぎると、その場から消えてしまう種類が多い。良いものを選び、間引くように採取するのがコツ。 ・例1: タラノメ・・・3番芽までつむと芽が出てこなくなるので、採取を慎むこと。 ・例2: ゼンマイ・・・褐色の胞子のうのついた男ゼンマイは採らずに残す。 ④ 山菜以外の山野草類をみだりに採取しない。 ⑤ ゴミは全て持ち帰ること。 |
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参 考 文 献 | ||||||||||||||
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