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山野の花シリーズ⑧ エンレイソウ・ミヤマカタバミ

INDEX エンレイソウ、オオバナノエンレイソウミヤマカタバミコミヤマカタバミ
 エンレイソウは、キクザキイチゲやカタクリ、エゾエンゴサクとともに、早春の山野を彩る花の一つ。大きな三枚の葉が鳥の翼のように広がった真ん中に、小さな花を咲かせる。その独特の姿は、一度見たら忘れられないほど印象的な草花である。ブナ帯の山菜の代表であるアイコやシドケなどが生えるような、ほの暗く幾分湿った沢沿いの斜面でよく見掛ける。
エンレイソウ(延齢草、ユリ科)

 山地のやや湿り気のある林内に生え、数本群がって生える場合が多い。茎の先に大きな葉を3枚輪生する。葉の先から花柄を1本だし、1個の花をつける。暗紫褐色の花びらのように見えるガクが3枚ある。雄しべが6つ、雌しべが1つ、柱頭の先は3裂する。
花 期 4~6月 草丈20~40cm

 写真には、エンレイソウの背景に残雪が見え、エゾエンゴサクと一緒に咲いている。雪国の早春を彩る花であることが分かる。種子から花が咲くまで十数年かかるという。
花言葉 奥ゆかしい美しさ
名前の由来

 アイヌ語では、「エマウリ」と呼んで、それがエムリ、エムレ、エンレイと変化したとの説がある。もう一つは、漢名で「延齢草根」という胃腸薬であったからという説。中国では、民間薬として知られ、高血圧、神経衰弱、胃腸薬に使われていた。薬の用途が多く、いくつかの古文書にも登場することから、薬草の効果がある延齢草になったとする説が有力である。
▲渓流沿いに群生したエンレイソウ
▲早春、ツボミ状態 ▲光を浴びると開く ▲次第に三枚の葉が大きくなる
毒草だが、黒く熟した実は食用

 山村では、エンレイソウの黒く熟した実をショウブといって子どもたちがよく食べた。サイズも大きく、グレープフルーツのような味がするらしい。ただし、エンレイソウの根と根元付近には、サポニンが含まれ毒があるので、食べ過ぎると嘔吐、下痢などの中毒症状を起こす。山菜としては毒草に分類されているので注意!  
オオバナノエンレイソウ
オオバナノエンレイソウ(大花の延齢草、ユリ科)

 シロバナノエンレイソウに似ているが、それよりずっと大きい。茎の先に3枚の葉を輪生する。茎の先端から花柄をだし、清楚な花を1個つける。花びら状の内花被片は白色で大きい。ガクのような外花被片3個は、緑色。仙北市刺巻湿原では、ミズバショウが終わった5月頃に咲く。

花期 5~6月 草丈 15~40cm     
ミヤマカタバミ
ミヤマカタバミ(深山傍食、カタバミ科)

 山地の木陰に生え、葉は3枚、小さな白い花を1個付ける。葉は、美しいハート形で3枚。その葉や茎には、シュウ酸を含んでいるため酸味がある。疲れた時にカタバミの葉を噛むと、酸味で刺激され元気回復になる。夜になると葉が閉じ、睡眠運動をする。
▲花期 4~6月 草丈5~20cm
名前の由来

 平地で見るカタバミ類と区別するため「深山(みやま)」。カタバミの葉は、日が陰ると折りたたみ、片側が食われたようになることから「傍食(かたばみ)」。
カタバミロード

 両サイドをミヤマカタバミの群落が連なる杣道は、勝手に「カタバミロード」と呼んでいる。ブナの新緑が空をふさぐ前に白い花を一斉につける。
▲林床を占領するミヤマカタバミの大、大群落
▲太平山系の源流部・渓流沿いに咲くミヤマカタバミ。奥にエンレイソウ、右にツボミ状態のシラネアオイが見える。
コミヤマカタバミ
コミヤマカタバミ

 コミヤマカタバミは、亜高山帯の針葉樹林に自生する。ミヤマカタバミに似ているが、草姿や花が小さいので「コ」が付いた。花弁の脈が赤紫色花を帯びることが多い。葉のままで冬を過ごすため、雪圧に耐えられるよう葉を折りたたんで越冬する。
参 考 文 献
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「奥羽山脈 雪国の草花」(雪国の草花刊行会)
「森吉山の自然」(「森吉山の自然」を発行する会)
「山渓名前図鑑 野草の名前 春」(高橋勝雄、山と渓谷社)
「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)