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山野の花シリーズ⑨ ネコノメソウ・ヒトリシズカ・・・

INDEX ネコノメソウ、ツルネコノメソウヒトリシズカフタリシズカショウジョウバカマ
 ネコノメソウは、世界に50種以上が知られている。そのうち日本には14種と多く、ネコノメ王国といわれている。それらの多くは、日本の特産種で、湿度の高い日本の気候風土に適した種である。雪国では、山地の湿地に生えるネコノメソウや、渓流沿いに生えるツルネコノメソウ(写真)、湿気のある林下、湿った石垣などにはえるヤマネコノメソウなどが知られている。
ネコノメソウ(猫の目草、ユキノシタ科)

 山地の湿地などに生える。花茎の先に小さな淡黄色の花を十数個つける。花弁がなく、包葉やガク片が花のように見える。
花期 4~5月 草丈5~20cm
ツルネコノメソウ
ツルネコノメソウ(蔓猫の目草、ユキノシタ科)

 渓流沿いの清冽な飛沫を浴びる苔岩や水湿地に生える。花も葉も小さく、水に強い。走出枝は花の後、急速に伸び、先端から根を出して新苗をつくる。花茎の先は枝分かれして、淡黄緑色の小花を平開する。花の後からツルのような走出枝を出すことから、「蔓猫の目草」と書く。
名前の由来

 花周辺の葉の色が、猫の目のように変化し、花後の実に裂け目ができ、タネが猫の瞳孔に似ることから、「猫の目草」と書く。
花 期 4~5月 草丈5~15cm

 ブナの森から湧き出す清冽な飛沫を一杯に浴びて、苔岩の上に群生するツルネコノメソウ。ダイモンジソウや苔類と並び、世界に冠たる日本の渓谷美を彩る・・・何とも幸せな植物だと思う。
花言葉 気移り、誠実、謙虚
ヒトリシズカ
ヒトリシズカ(一人静、センリョウ科)

 花期の4枚の葉は暗紅色を帯び、白いブラシのような花穂を大切に包み込むように咲く。その姿は、清楚な印象を受ける。名前から想像すると、単独で咲く花のように思うが、集団で群生している場合が多い。茎は単一で分岐しない。山野の林下に生える。
花 期 4~5月 草丈10~30cm
名前の由来

 1本の花穂を静御前の舞姿に例えたもので、一人静と書く。別名は、吉野山で舞う静御前の姿に見立てたもので、吉野静と書く。
花言葉 静謐、隠された美、愛にこたえて
フタリシズカ
フタリシズカ(二人静、センリョウカ)

 ヒトリシズカと対をなす草花で、2本並んだ花穂が、静御前とその亡霊の舞姿に例え、二人静と書く。山野の林下に生え、茎は高さ30~60cmになる。茎の先に数個の穂状花序をだし、小さな白い花を点々とつける。花期 4~6月。
ショウジョウバカマ
ショウジョウバカ(猩々袴、ユリ科)

 花は、雪解けと同時に咲き、淡紅色~濃紅色まで変化が多い。雪田が消えるに従い次々と咲き出し、線香花火のような鮮やかな色でよく目立つ。春の雪解けを待って咲くことから、ユキワリソウとも呼ばれている。葉は常緑で、ロゼット状に多数が根生する。(写真:2015年4月7日秋田市浜田森林総合公園)
生育場所 平地から高山まで分布するので花期が4月~7月と長い。渓流沿いにも自生する。(写真:2015年4月7日秋田市浜田森林総合公園)
▲花びらの付け根の部分がプクッと膨れるのが特徴。花柄との境がはっきりしている。
花期 4~7月、草丈 10~40cm
名前の由来

 花後は、一時的に花が赤くなるのを能の猩々(ショウジョウ)の赤頭を連想させる。一方、葉の姿を袴に見立てて、「猩々袴」と書く。なお、中国でいう猩々とは、猿に似て、顔が赤く酒好きの想像上の動物を指し、格調高い姿をして、舞い戯れる無邪気な霊獣とされている。

 能楽の「猩々」は、猩々が不老長寿の福酒を人間に授けるという中国の伝説をもとに作られた。また、玩具には、この姿をした小さな人形があり、「猩々小僧」と呼ばれている。
▲花の色は、濃い紫色から白色まで多様性に富む。 
花言葉 希望

 ショウジョウバカマは、里山の渓流から高山帯まで広く分布し、雪解けとともに低山帯から高山帯へと咲き上がるところがオモシロイ。さらに花が終わっても、6枚の花被片は散らずに残り、背丈がグングン伸びる。あの可憐で美しい草花しか見ていない者にとっては、想像すらできないほど一変してしまう。なぜか、人間に似たような変遷を辿るところもオモシロイ。
▲秋田市浜田森林総合公園のショウジョウバカマ

 秋田市浜田森林総合公園(電話018-828-5322)は、別名「ショウジョウバカマ園」と呼びたくなるほど、至る所にショウジョウバカマが群生している。梅林園にも群生しているが、特に群生の規模が大きいのは、管理棟の裏側・・・管理棟の横に「ショウジョウバカマ」の看板がある。梅林園の梅も素晴らしいが、その樹林下に群生するショウジョウバカマも素晴らしい。 
▲八幡平・八幡沼周辺のショウジョウバカマ(2015年6月19日撮影)
参 考 文 献
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「奥羽山脈 雪国の草花」(雪国の草花刊行会)
「山渓名前図鑑 野草の名前 春」(高橋勝雄、山と渓谷社)
「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
「すぐ役立つ山の花学」(小野木三郎、東京新聞出版局)