山野の花シリーズ105 トウゴクサイシン、レンゲソウ
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- トウゴクサイシン(東国細辛、ウマノスズクサ科)
トウゴクサイシンはウスバサイシンを母種として分化した種とされ、ウスバサイシンに分類されていたが、研究の結果、別種とされた。最大の特徴は、ガクの先端が指先でつまんだように尖る点である。秋田はもちろん、東北の落葉広葉樹の森を飛び交うギフチョウ・ヒメギフチョウを見かけたら、そこにはカタクリの群落に混じって、必ずトウゴクサイシンが生えている。本州の関東地方・中部地方の北部から東北地方に分布する。
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- 名前の由来・・・主に東国(東北)地方に生えるサイシンの意味で、「東国細辛」と書く。サイシンは、根が非常に辛く、鎮痛、咳止め、口内炎などに用いられることによる。
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- 葉・・・土に隠れている茎から左右2つに分かれた長い葉柄の先にハート形の薄い葉をつける。その先端は尖り、基部は心形。葉脈に沿って毛が生える。
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- 花・・・花は、葉柄の基部に1個つき、花弁は無く、萼裂片が花弁状になる。ウスバサイシンのように全体が暗紫色にはならず、白色や淡桃色で部分的に暗紫色になる。萼裂片は卵状三角形でやや斜めに開き、先は指先でつまんだように尖る。
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- ギフチョウ類の食草・・・♀は、食草のトウゴクサイシンの葉の裏に卵を産む。葉の裏をひっくり返して探すと、ヒメギフチョウの卵を見つけることができる。真珠のようにきれいな卵を5個から20個ほど産み付け、全部で100個ほど産むという。
(写真:葉の裏に産卵するヒメギフチョウ/写真提供:左合 直氏 HP「蝶の生態写真」)
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- ヒメギフチョウと♀が葉裏に産んだ卵(由利本荘市鳥海町)
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- トウゴクサイシンの送粉者は、ハエやヤスデの仲間。ハエは腐ったものの匂いが好きなので、臭い匂いを出してハエを呼び寄せる。ヤスデは、飛ぶことができないので、ヤスデが入りやすいように下の方に花を咲かせる。
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- レンゲソウ(蓮華草、マメ科)
かつては田んぼの緑肥用に栽培された中国原産の帰化植物。日本には室町時代に渡来した。ゲンゲ(紫雲英)またはレンゲ(蓮華)とも呼ばれている。かつては田の一面に咲いていたが、化学肥料の普及や稲の早生化が進み、レンゲソウの咲く田んぼは珍しくなった。今では明るい荒れ地や空き地などに野生化している。全国各地に分布するが、特に岐阜県以西に多い。花はミツバチの蜜源として有名で、養蜂家はレンゲソウの花を追うように南から北へと旅をする。稀に白花もあるという。岐阜県では、県花になっている。南の暖かい地方を中心に自生し、北海道や東北では育たないと言われている。
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- 名前の由来・・・花が輪のように固まって咲く姿を、仏像を安置する蓮華座に見立てて、「蓮華草」と書く。
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- 葉・・・楕円形の小葉が、7~11個で、必ず奇数つく。
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- 花・・・蝶形の紅紫色の花が輪になって咲き、それぞれがくっついている。
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- 花とミツバチ・・・花の紅紫色はミツバチ好み。目立つ上の花びらは、虫に対する広告旗で、その旗に描かれたラインは蜜へと導くガイドマーク。花は360度の円形で出迎え、花粉を運んでくれるミツバチを大歓迎する。
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- ミツバチとレンゲソウの共進化・・・レンゲソウは、受粉のパートナーとしてミツバチを選び、共に進化してきたと考えられている。ミツバチがレンゲソウの下に付く花びらに止まると、その重みで花弁が開き雄しべや雌しべが現れる。ミツバチが花の奥にある蜜を吸おうと潜り込むと、雌しべはミツバチの体に付いている他の花の花粉で受粉する。雄しべの花粉は、ミツバチの身体にくっつき、他の花に運んでもらうという仕掛けになっている。つまりレンゲソウの花は、ミツバチぐらいの大きさのハチがいないと種ができない。
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| 参 考 文 献 |
- 「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
- 「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
- 「春の野草」(永田芳男、山と渓谷社)
- 「身近な雑草のふしぎ」(森昭彦、サイエンス・アイ新書)
- 「山渓名前図鑑 野草の名前/春」(高橋勝雄、山と渓谷社)
- 「野に咲く花の生態図鑑 春夏篇」(多田多恵子、ちくま文庫)
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