山野の花シリーズ111 オオバコ
|
 |
- オオバコ(大葉子、オオバコ科)
道端や空き地、農村の畑の脇道など、人がよく通り、踏みつけるような場所にたくましく生きる雑草の代表。車に踏み潰されたくらいでは死なない。長い棒状の花茎を出して、花が穂状にたくさんつく。最初、白い糸状の雌花が下から上に向かって咲いていく。咲き終わると、今度は雄花が咲き出す。つまり同花受粉を避けるために、雌花と雄花が咲く時期をずらしている。主に日本海側に生え、全体に白くて柔らかい毛が密生するのはエゾオオバコである。日本中に分布。
|
 |
- 名前の由来・・・道ばたの草の中では、葉が広く大きいことから、「大葉子」と書く。最後の「子(コ)」は、ドジョッコ、フナッコと同じようにつけたと言われている。
|
 |
- 中国名「車前草(しゃぜんそう)」・・・人だけでなく、車にも踏まれ、そのわだちにも好んで生えることから、別名及び生薬名「車前草」と呼ばれている。
|
 |
|
|
 |
- 葉・・・葉は地面にへばりつくように広げ、全体がゆるやかに波打つ。数本の丈夫な葉脈があり、踏みにじられても容易にちぎれない。
|
 |
 |
 |
- オオバコ相撲・・・花茎をからめて2人で引っ張り合い、ちぎれた方が負けとなる子どもの遊びだが、大人でもいざ始めると熱くなる。このしなやかで強い花茎の性質は、絶えず踏まれる環境への適応の結果である。
|
 |
- 弱者の選択・・・背が低いオオバコは、草むらでは負け組に属する。だから競争の激しい場所を避け、他の連中が生きていけない=踏みつけられる場所に進出した。つまり踏まれることを逆手にとって種子を巧みに運ばせるという発想の転換に拍手を送りたいほど、たくましい戦略には脱帽である。
|
 |
- 雌性先熟・・・花は、まず雌しべを出し、後から雄しべを出すことによって、近親交配をもたらす自家受粉を避けている。
|
 |
- 風媒花・・・昔は虫媒花だったが、風のよく通る環境に進出したことで、虫から風へと方針を変えて風媒花になったという。しかし、稀ではあるが、雄しべの花粉にハナバチがやってくることもある。
 |
 |
- 人が歩けばオオバコが生える
花茎にたくさんの実ができる。実は、熟して踏まれると、上半分がバカッと外れ、中から種子がこぼれる。その種子が湿ると表面が水を吸って膨らみ、接着剤のようになって靴底やタイヤにへばりつき、新天地に運ばれる。
例えば白神山地など、人跡稀な山奥で道に迷った際、運よくオオバコを見つけて、人が歩いた跡であることの証にホットしたことは数知れない。と同時に、白神山地は無人の山などではなく、昔からマタギなどが縦横無尽に歩いて、ブナ帯の森の恵みを受けて暮らしてきた共生の山であることも分かる。
|
 |
- 薬用・・・オバコの種子を乾燥したものをシャゼンシ(上写真)と呼び、利尿、鎮咳、去痰、解熱、消炎作用があり、膀胱炎、血尿、咳、痰、結膜炎、むくみなどの症状に用いられる。また夏から秋にかけて、地上部を採取し、日干しにしたオオバコ茶を、利尿やむくみ、鎮咳、健胃に煎じて飲む。腫物には、生の葉をすりつぶしてつける。
|
| 参 考 文 献 |
- 「したたかな植物 秋冬篇」(多田多恵子、ちくま文庫)
- 「食草・薬草・毒草が分かる野草図鑑」(金田洋一郎、朝日新聞出版)
- 「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
- 「春の野草」(永田芳男、山と渓谷社)
- 「身近な野の花のふしぎ」(森昭彦、サイエンス・アイ新書)
- 「うまい雑草、ヤバイ野草」(森昭彦、サイエンス・アイ新書)
- 「山菜ガイド」(今井國勝・万岐子、永岡書店)
- 「江戸草花図鑑」(岩槻秀明、エクスナレッジ)
|