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山野の花シリーズ⑮ サンカヨウ、タチカメバソウ、ヒメシャガ

INDEX サンカヨウ、タチカメバソウヒメシャガ
サンカヨウ(山荷葉、メギ科)

 カニコウモリのような大小二枚の葉と茎の先に6弁の清楚な白花を数個つける。大きな葉には、花がつかず、小さい葉に花がつく。山地から亜高山の林縁や林内に生える。根茎は横に這う。葉の中央に深い切れ込みがあり、縁に不ぞろいの鋸歯がある。

 ガク片6個は早く落ちて、花が満開の頃にはないことが多い。花の後、濃い青紫色の白粉を帯びた楕円形の液果をつける。甘味があり、中には数個の種子が入っている。
▲朝露や雨に濡れると、花は徐々に半透明になり美しい。エンレイソウと同じく、小さい範囲で群生し、うす暗い森では目立つ。
▲大きな葉に白い花が映えて美しい。けれども、花は意外にもろく散りやすい。だから、右写真のように花びらが欠けている場合が多い。
 花の後はブルーベリーに似た濃い青紫色の実をつけ、実の表面は白い粉を帯びる。黒く熟した実を食べると甘酸っぱく、食用になる。
花期 5~7月 草丈30~60cm
名前の由来

 ハスのことを荷葉(かよう)という。その平地のハス・荷葉に対して、同じような葉つきをするサンカヨウは、山のハスという意味で、「山荷葉(さんかよう)」と書く。
花言葉 親愛の情、幸せ
タチカメバソウ
タチカメバソウ(立亀葉草、ムラサキ科)

 沢沿いの湿った場所に生え、枝先に白または淡青紫色の小さな花をまばらにつける。花冠は径7~10mm、先端は5裂し平らに開く。茎は、直立し、軟らかく細長い。葉は、卵円形で互生し、基部の葉には、長い柄がある。
▲5月、ブナ帯の渓畔林に続く杣道を歩いていると、この小さな白花の群れによく出会う。
花期 4~6月、草丈20~40cm
名前の由来・・・茎が直立し、葉が亀の甲状に見えることから、「立亀葉草」と書く。
ヒメシャガ
ヒメシャガ(姫射干、アヤメ科)

 沢沿いの岩場に続く杣道沿いでよく見掛ける。主に日本海側の山地のやや乾いた林下に生える。淡紫色のアヤメに似た花をつける。青紫色の外花被片には黄色い斑紋があり、「とさか状」の突起がある。葉は剣形で先は尖る。よく結実し、大きな株をつくる。
花期 5~6月 草丈10~30cm
名前の由来

 シャガに似ており、小形で優しい感じがするので「姫」。漢字では、「姫射干」と書く。他に音読みから「姫社著莪」。花の形を胡蝶の姿に見立てて「胡蝶花(こちょうか)」とも書く。
花言葉 友人が多い
参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「山渓名前図鑑 野草の名前 春」(高橋勝雄、山と渓谷社)
「続・゛読む゛植物図鑑」(川尻秀樹、全国林業改良普及協会)