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山野の花シリーズ⑯ ギンリョウソウ、ツバメオモト、マイヅルソウ

INDEX ギンリョウソウ、ツバメオモトマイヅルソウ
ギンリョウソウ(銀竜草、イチヤクソウ科)

 ブナ林などの湿り気のある腐植土の上に生える腐生植物で、根以外は全て白色。一見ローソクと見紛うような不思議な花である。土の塊のような根をもち、その中にキノコの菌糸を取り込み、それを消化して生き続けるという。葉緑体はないのに花が咲き、立派に種子をつくる。
花期 5~8月 草丈 8~20cm
名前の由来

 良く見ると、竜の顔や胴体に似ている。銀白色だから、銀色の竜を想定し、「銀竜草」と書く。キノコではないが、別名「ユウレイタケ」とも呼ばれている。薄暗い林内で、白く光る群生は、確かに幽霊を連想させる草花である。
ツバメオモト 
ツバメオモト(燕万年青、ユリ科)

 オモトのような大きな葉の間から花茎を20~30cmほど伸ばし、先端に純白の小花を総状につける。葉には艶があり、質は厚いが柔らかく、2~5枚が根生する。花の後は、花茎が40~70cmに伸び、球形の実を結ぶ。その実は艶があり、濃い藍色で美しい。
生育場所 亜高山の林内
花期 5~7月 草丈15~30cm
▲純白の小花を総状につける  ▲球形の実
名前の由来

 葉の形がオモト(万年青)に、藍色の実をツバメの頭に見立てて、「燕万年青」になったとの説がある。また、イワツバメが飛び交う頃に花が咲くので「ツバメ」、葉がオモト(万年青)に似るからとか、葉が展開する時、刀のツバに似ることから、「ツバ」と芽出しの「メ」など、様々な説がある。
花言葉 和解、一致、怠りない心、長命
マイヅルソウ
マイヅルソウ(舞鶴草、ユリ科)

 分布域は、低山~亜高山帯まで広く見られ、登山者にお馴染みの花である。樹林帯の半分日が当たるような所に、根茎が網のように広がって群生する。葉の基部は、深い心形で先が尖る。葉も白い花も美しく、丈夫で育てやすいことから、全国に愛好家が多い。
花期 5~7月 草丈10~25cm
名前の由来

 葉脈の曲がった形を、羽を広げて舞う鶴の姿に見立てて、「舞鶴草」と書く。また、白い小さな花が咲き始める時、4枚の花びらが後ろへ反転している姿が、鶴の羽ばたき姿に似ることからとの説もある。
 マイヅルソウは、美林の中を走る登山道や杣道、古道、八幡平の森林セラピーロード沿いなどに群生している。道沿いの両サイドを延々と彩る大群落に出会うと、「マイヅルソウ・ロード」と呼びたくなるほど群生の規模は大きい。
花言葉 清純な乙女の面影 ▲マイヅルソウの実
木洩れ日は 舞鶴草の 花ゆする(西村 重)
参 考 文 献
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「奥羽山脈 雪国の草花」(雪国の草花刊行会)
「秋田駒ヶ岳花抒情」(田村武志、秋田文化出版)