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山野の花シリーズ⑱ エゾアジサイ、ナナカマド・・・

INDEX エゾアジサイ、ノリウツギサラサドウダンナナカマド
エゾアジサイ(蝦夷紫陽花、ユキノシタ科)

 日本海側の山地に生える落葉低木。葉は対生し、広楕円形で先は尖り、縁に荒く鋭い鋸歯がある。枝先に散房花序をだし、淡い紫色の小さな両性花多数と周囲に長い柄のある装飾花をつける。装飾花は、3~5個あり、鮮やかな青紫色、時に淡い紅色、白色を帯びる。
▲一般的に青紫色だが、土壌やPHの違いで色が変化する。
▲淡い紅色の花 ▲白い花
花期 6~8月 高さ1~1.5mの落葉低木
名前の由来

 蝦夷に生えるアジサイの意味で、「蝦夷紫陽花」と書く。
▲エゾアジサイ ▲ノリウツギ

エゾアジサイとノリウツギの見分け方

 平滑な花序のエゾアジサイは、ピンクから青と変化の多い装飾花で、土壌の肥料分やPHの値により色が変化する。ノリウツギは、白く4枚の装飾花に、花序が円錐形であることが大きな特徴である。エゾアジサイは林内の薄暗い環境を好むのに対して、ノリウツギは比較的明るい林縁を好む。
用 途・・・庭木
ノリウツギ
ノリウツギ(糊空木、ユキノシタ科)

 日当たりの良い山野に生え、高さ2~4mの落葉低木。夏、枝先に円錐花序をだし、小形で5弁の両性花多数とその周囲に白色、時に淡紅色の装飾花をつける。葉は対生し、葉先は鋭く尖り、縁に鋸歯がある。
花 期 7~8月
名前の由来

 全体がウツギ(空木)に似ており、幹の皮から製紙用の糊(のり)を作ったことから、「糊空木」と書く。ウツギ(空木)とは、髄が消失し中空になった木を言う。
用 途・・・庭木、細工物、パイプ、製紙用糊
サラサドウダン
サラサドウダン(更紗灯台、ツツジ科)

 深山に生える落葉低木で、花は枝先に総状に垂れ下がって咲く。花の色は、帯白色または帯淡黄色で紅色の筋が入り、先端は淡紅色を帯びるなど、美しい更紗模様がある。葉は枝先に輪生状に集ってつく。
花 期 6~7月 高さ1~5mの落葉低木
名前の由来

 花びらに更紗染めのような模様があり、ドウダンは「灯台」のことで、垂れ下がった花序を、結び灯台のあしに見立てたもので、「更紗灯台」と書く。
ナナカマド
ナナカマド(七竈、バラ科)

 山地に生える落葉高木で、直径1cmほどの白い花を多数つける。葉は、小葉が羽状に集った複葉で、小葉は他の仲間に比べて先が細長いことが特徴。秋霜が降りる頃、美しく紅葉する。実は赤く、紅葉した葉が落ち、雪が降り始めても残っている。
花 期 6~7月 高さ2~10mの落葉高木
名前の由来

 材はかたい。なかなか燃えにくく、7回カマドに入れても燃え残る意味から、「七竈」と書く。しかし、実際には、生木でもよく燃える木である。
▲レンゲツツジとナナカマド ▲赤い実
 
▲白花のナナカマドとウワミズザクラ、朱橙色のレンゲツツジの競演(八幡平大沼)
野鳥と赤い実、用途

 ナナカマドの果実は、野鳥が好んで食べるので、種子が広く散布されることが多いといわれている。紅葉と赤い実が美しいことから、北国の庭木や街路樹として重用されている。赤い実は艶があって美しく、生花としてもよく使われる。
参 考 文 献 
「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「秋田農村歳時記」(ぬめひろし他、秋田文化出版社)