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山野の花シリーズ⑳ ハクサンシャクナゲ・イワイチョウ・・・

INDEX ハクサンシャクナゲ・イワイチョウツマトリソウ
ハクサンシャクナゲ(白山石楠花、ツツジ科)

 県内の高山に見られるシャクナゲのほとんどは、この種である。常緑の低木。花は白色~紅色を帯び、大形で良く目立つ。花冠の内側に淡い緑色の斑点があるのが特徴。葉は革質で厚く、光沢がある。縁がやや内側に巻き込む。高山のハイマツの中に生える。
花 期 6~7月 高さ1~3mの常緑低木
名前の由来

 白山で発見されたシャクナゲ(石楠花)の意味で、「白山石楠花」と書く。シャクナゲの名は「石楠花」に由来しているが、漢名の石楠はバラ科のオオカナメモチをさしている。それを誤ってつけたという。
厳冬期を乗り切る葉の戦略

 ハクサンシャクナゲの葉は、晩秋から冬にかけて気温が低下するに従い、筒状に丸まり、露出面積を最小にして厳冬期を迎えるという。そうすることによって、乾燥や強い光に耐えることができる。やがて暖かい春が訪れると、葉は再び開いて光合成を再開する。
▲秋田駒ヶ岳のハクサンシャクナゲ(2013年7月17日撮影)

 秋田駒ヶ岳の八合目駐車場から左側コース~焼森~横岳~阿弥陀池に至る登山道は、別名「シャクナゲコース」と呼ばれるほど多く自生している。愛媛県の石鎚山では、昔、山伏行者がハクサンシャクナゲを折って持ち帰り、田の畦にさして豊作を祈る習俗があったという。この大輪の花が一斉に咲けば、その豪華さに「豊作豊漁」といった「大、大吉」を連想させる。
▲秋田駒ヶ岳「シャクナゲコース」  ▲焼森
イワイチョウ
イワイチョウ(岩銀杏、ミツガシワ科)

 高山帯の雪田周辺の湿地に群生する。葉は、厚く光沢があり銀杏の葉に似た独特な腎形をしている。だから花がなくとも、識別できる。縁には細かい鋸歯がある。20~40cmの花茎を立て、白色の花を多数つける。秋に黄葉する。
花 期 6~8月 草丈20~40cm
名前の由来

 岩場に生え、葉が黄葉すると、イチョウ(銀杏)の葉に似ていることから、「岩銀杏」と書く。しかし、実際は、岩場ではなく湿原に咲いている。
▲無人境の花園に咲くイワイチョウ(八幡平・北ノ又沢源流部)
花言葉 純潔、多才な人
ツマトリソウ
ツマトリソウ(褄取草、サクラソウ科)

 湿った林床にひっそりと咲くツマトリソウ。花冠は白色、普通花弁は7枚で、その先が尖る。普通は白色だが、稀に花の縁が淡い紅色に縁取られていることがある。葉は互生し、上部に集って束生する。
花 期 6~7月 草丈5~20cm
名前の由来

 花びらの先が赤く縁取られることから、着物の褄(つま)に見立てて、「褄取草」と書く。けれども、赤い縁取りが鮮やかな花は稀なのか、今だ出会ったことがない。花言葉は「純真」・・・確かに無垢で清らかな印象を受ける花である。
参 考 文 献
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「山渓名前図鑑 野草の名前」(高橋勝雄、山と渓谷社)
「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
「高山植物ポケット図鑑」(増村征夫、新潮文庫)