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山野の花シリーズ21 イワカガミ、タテヤマリンドウ

INDEX イワカガミ、タテヤマリンドウ
 森吉山では、6月中旬~下旬頃、雪解けが早い稚児平と山人平の高山礫地を埋め尽くすイワカガミとチングルマの混生は、特にすばらしい。栗駒山では、6月下旬から7月上旬頃、一面ピンクに染める大きな群落を見ることができる。
イワカガミ(岩鏡、イワウメ科)

 イワウメ科の常緑多年草で、円形の葉は、革質で硬く、光沢がある。葉の縁には、とがった鋸歯がある。葉の間から1本の長い花茎をだし、淡紅色の漏斗状あるいは小さなラッパ状の花を3~10個つける。葉をつけたまま冬を越す。亜高山から高山の岩場、草地に大きな群落をつくる。大型のものをオオイワカガミ、小型のものをコイワカガミとして区別している。
花 期 6~8月 草丈10~20cm
名前の由来

 岩場に生え、光沢のある葉を鏡にたとえたもので、「岩鏡」と書く。
▲花の色は多様性に富み、濃い紅色から白まである。
花言葉 忠実
森吉山、チングルマとの混生が美しい

 森吉山の標高1380mの稚児平と標高1300mの山人平のお花畑では、イワカガミとチングルマの混生美が素晴らしい。例年なら6月中旬~下旬が見頃である。
栗駒山のイワカガミ(剣岳周辺)

 栗駒山の花と言えばイワカガミ。6月下旬から7月上旬頃、剣岳周辺と昭和湖周辺では、一面をピンクに染めるイワカガミの大きな群落を見ることができる。
▲栗駒山昭和湖周辺のイワカガミ
タテヤマリンドウ
タテヤマリンドウ(立山竜胆、リンドウ科)

 雪田跡周辺に咲く小さなリンドウ。山野に生えるハルリンドウの高山型で、母種とともに花期が早く、山で一番に咲く。花の形はトランペット形。ガクは花にピッタリつくのが特徴。花色は淡青紫色から白色まで変異がある。湿気を好み、湿地や雪田周辺に生える。

生育場所 亜高山~高山の湿地
花 期 6~7月 草丈5~15cm
名前の由来

 北アルプスの立山で最初に発見されたことから「立山」がつく。リンドウの根は、熊の胆よりも苦く薬効がある。熊より上位にある竜の胆という意味から、「竜胆(リンドウ)」と書く。
花言葉 物思い
漢方薬

 小さくて可憐な草花だが、根は滅茶苦茶苦く、茎も苦い。漢方薬として利用されてきた歴史をもち、まさに「良薬口に苦し」。食欲不振、消化不良、胃アトニー、胃酸過多症、腹痛などに効果があるとされている。
参 考 文 献
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「山渓名前図鑑 野草の名前 春、夏」(高橋勝雄、山と渓谷社)
「わかる!図鑑6 高山の花」(永田芳男ほか、山と渓谷社)