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山野の花シリーズ23 チングルマ、ゴゼンタチバナ

INDEX チングルマ、ゴゼンタチバナ
 バラ科のチングルマは、梅の花に良く似ているので、この花の大群落に出会うと、心奪われるほど美しい。開花後の種子に生えた羽毛が伸びて、車状になった姿も美しい。秋田駒ヶ岳のムーミン谷を彩るチングルマのお花畑(6月下旬~7月上旬頃)や森吉山山頂直下のチングルマとイワカガミの競演(6月中旬~下旬)は、圧巻である。
チングルマ(稚児車、バラ科)

 落葉低木で、茎が地を這い多数分岐し大きな群落をつくる。葉は、羽状で小葉は狭い倒卵形、縁に不ぞろいの切れ込みと鋸歯がある。花は大きく径2cmほどの花弁は5枚。花が終わると、花柱が長く伸びて頭髪状となり、これまた美しい。葉の紅葉も美しく、楽しむ期間が長いのも、他の草花には見られない大きな特徴である。
生育場所 高山の雪田周辺の砂礫地などやや湿ったところ
花 期 6~7月 高さ10~20cm
名前の由来

 花後の毛のついた実は、風に吹かれると、なびいたり、回転する。これを幼い稚児の風車に見立てて、「稚児車」と書く。
▲開花初期のチングルマ
秋田駒ヶ岳その1・・・浄土平のチングルマ
秋田駒ヶ岳その2・・・馬場の小路コース小岳周辺の大群落は圧巻。花も実も、紅葉も美しい。
森吉山のチングルマ・・・山頂直下の稚児平と山人平のお花畑は、チングルマとイワカガミの混生美が見られる。
八幡平のチングルマ(撮影日:平成27年6月19日)
 八幡沼の源太分れ付近の木道沿いや黒谷地湿原でヒナザクラと一緒にお花畑を形成している。
ゴゼンタチバナ
ゴゼンタチバナ(御前橘、ミズキ科)

 登山道沿いでよく見掛ける花の一つ。花のように見える白色の総苞片は4枚で、十字形に並ぶ。花はその中心の小さな10個ほどの集まりである。葉が4枚では花がつかず、6枚になると花が咲く。秋、紅色の可愛い実をつけるが、花に比べて少ない。また葉は、紅葉する。
花 期 6~8月 草丈5~15cm。山野草の観賞用として人気がある。花は、4枚の白い花のように見える中心の小さな20個ほどの集まり。
名前の由来

 白山の最高峰の御前峰で初めて発見されたから「御前」。その実がカラタチバナの赤い実に似ていることから、「御前橘」と書く。
花言葉 移り気、古風
▲神室山パノラマコースの登山道沿いに群生するゴゼンタチバナ(2015年6月23日撮影)
参 考 文 献
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「山渓名前図鑑 野草の名前 夏」(高橋勝雄、山と渓谷社)
「高山植物ポケット図鑑」(増村征夫、新潮文庫)