山野の花シリーズ22 キヌガサソウ、ヒナザクラINDEX キヌガサソウ、ヒナザクラ |
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キヌガサソウは、葉と花がデカク、有名な高山植物だが、どこにでも生えているわけではない。やっと見つけたとしても、一株あるいは2~5株程度がほとんど。だから、県の絶滅危惧種に指定されている。2015年2月、「絶滅危惧種キヌガサソウ 神室山の本県側 群生国内最大か」(秋田さきがけ新報)の記事が掲載された。その大群落を撮影すべく、2015年6月下旬、健脚向きと言われる神室山に向かった。初めて見る神室山の大きな群落は連続二ヵ所・・・やはり圧巻であった。(写真:神室山、2015年6月23日撮影) | |||||||||||||
キヌガサソウ(衣笠草、ユリ科) 葉は、茎の先に8~10枚輪生し、大きな葉が傘を広げたように見える。まずその大きさに驚かされる。その中央に白色の花を1個咲かせる。白い花びら状に見えるのは、外花被片で、葉の数と同じ。咲き始めは白色だが、後に淡い紅色に変わる。 |
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▲輪生する葉の中心に花を咲かせる | |||||||||||||
生育場所 高山の雪田周辺 | |||||||||||||
花 期 6~7月(神室山では6月下旬~7月上旬) 草丈30~80cm | |||||||||||||
名前の由来 王朝時代、天皇・親王・公卿などの行列の時、従者が絹で張った長柄の傘「衣笠」をさしかけた。キヌガサソウの葉は、8~10枚が放射状につくが、それが葉の傘のように見える。その葉姿を「衣笠」に見立てて、「衣笠草」と書く。 |
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神室山に咲くキヌガサソウは国内最大(世界最大)の群生地 神室山のキヌガサソウは、草原と池塘が広がる「御田の神」を過ぎた斜面・標高1,250mの登山道沿いに群生している。登山道の両サイド180平方mの範囲で1,738本が確認された。その群生規模は、国内有数の群生地・白馬岳の約3倍と大きく、国内最大、いや日本固有種だから世界最大の群生地ではないかと、秋田さきがけ新報に大きく掲載された。(写真:神室山、2015年6月23日撮影) |
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八幡平・窪地に咲いたキヌガサソウの群生地 深い窪地が出来た原因は、いまだ謎だが、この窪地には、7月まで残雪が見られ、雪解け後に白い大きな花をつけるキヌガサソウの群落がみられる。(写真:八幡平、2013年7月24日撮影) |
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東の横綱・オサバグサ、西の横綱・キヌガサソウ 日本特産種の中でもキヌガサソウは、白い花びら状の花被片が、6、7、8、9・・・と安定しない。不思議なことに、花被片が8枚のものは葉も8枚が輪生し、花被片が9枚のものは9葉輪生・・・葉の数と花被片の数がピタリと一致し、雄しべの数までほぼ一致している。 日本海側の山地、白山、乗鞍岳以北の亜高山帯に生育する日本特産種で、良く似た近縁の仲間が見当たらない異端中の異端者とも言われている。日本特産の異端者をランク付けすれば、東の横綱がオサバグサなら、西の横綱はキヌガサソウと言われている。 |
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ヒナザクラ | |||||||||||||
ヒナザクラ(雛桜、サクラソウ科) ヒナザクラは、東北地方の多雪地帯を代表する高山植物。湿った場所に群落をつくる。雪が解けたら順に花を咲かせ、遅い春の訪れを告げる。その雪解け後の草地を白く染め上げる大きな群落は、見惚れるほど美しい。高さ8~15cmの花茎をだし、白色でサクラに似た小形の花を1~8個開く。 ヒナザクラは、日本の植物学者が学名をつけるようになった最初の植物で、これ以降発見された植物は、全て日本人によって学名が付けられるようになったという。 |
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生育場所 高山の雪田の融雪地や湿った草地 | |||||||||||||
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遅い雪解けとヒナザクラ ヒナザクラが育つ場所は、雪解けが平年でも8月初旬くらいまでずれ込んでしまうような高山帯に自生する。ヒナザクラは、そんな環境でも急いで生長し、10日間くらいで花を咲かせ、実をつける。養分は地下茎に蓄え、次の年に備える。雪解けが極端に遅い年は、発芽を見送り、そのままの状態で年を越す。 |
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▲八幡平のヒナザクラ(写真:八幡平源太分れ付近、2015年6月19日撮影) | |||||||||||||
花言葉 初恋、乙女の息吹 | |||||||||||||
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参 考 文 献 | |||||||||||||
「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社) 「秋田の山野草300選」(秋田花の会) 「山渓名前図鑑 野草の名前 夏」(高橋勝雄、山と渓谷社) 「高山植物ポケット図鑑」(増村征夫、新潮文庫) 「わかる!図鑑6 高山の花」(永田芳男ほか、山と渓谷社) 「すぐ役立つ山の花学」(小野木三郎、東京新聞出版局) |