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山野の花シリーズ27 エゾツツジ、ウラジロヨウラク・・・

INDEX エゾツツジ、ウラジロヨウラクマルバシモツケ
エゾツツジ(蝦夷躑躅、ツツジ科)

 エゾツツジは、秋田駒ヶ岳を代表する美しい花である。落葉小低木だが、丈が低く色鮮やかな紅紫色の花が際立って見える。だから一見草花のように見える。1個のツボミの中に花が3個ほど入っており、次々に咲いていく。花冠は直径3~4cmの鐘形で5裂し、上弁は暗紅色の斑点がある。若枝や葉に毛が密集する。
生育場所 北海道と東北地方の高山の礫地
県内の生育地 八幡平、秋田駒ヶ岳など
花 期 7~8月 高さ5~30cm
厳しい環境に適応する戦略

 風当たりの強い場所を好み、草地では大柄な株が群落をつくり、岩の上では低く這うようにして育つ。こうした厳しい環境に適応するため、全体的に草のように低くなったといわれている。黄色の花は、ミヤマダイコンソウ。
名前の由来・・・北海道で発見されたツツジの意味で、「蝦夷躑躅」と書く。
▲チングルマの実とエゾツツジ ▲ネバリノギランとエゾツツジ
▲ツボミ状態
花言葉 愛の喜び、情熱
▲秋田駒ヶ岳に見られる群落は、量、質ともに素晴らしい。
 エゾツツジは、秋田駒ヶ岳を南限とする貴重な種である。丈は、5~30cmで、日本産ツツジの中でも最も小さな種だが、その小ぶりな丈とは対照的に花は大型で美しい。夏山でよく目立つ。
ウラジロヨウラク(ガクウラジロヨウラク)
ウラジロヨウラク(裏白瓔珞、ツツジ科)

 山地に生え、高さ1mほどになる落葉低木。葉は枝先にやや輪生状に互生する。花は、枝先に淡紫色で先の方が濃く、5~10個咲く。「秋田の山野草300選」では、よく似ているガクウラジロヨウラクと区別せず、「ウラジロヨウラク」として掲載されている。
 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」のように厳密に区別するとすれば・・・その違いは、左上写真のようにガク片がほとんど目立たないウラジロヨウラクに対して、右上写真のようにガク片が長さ7~9mm長いのがガクウラジロヨウラクである。秋田の山では、ほとんどがガクウラジロヨウラクであろう。
生育場所 山地~高山の林内や草地
花 期 6~7月 高さ30~1m
名前の由来

 葉の裏側が白く、花の形がヨウラク(仏像の首や胸にかける珠玉の飾り)に似ていることから、「裏白瓔珞」と書く。
花言葉 清らかな祈り
マルバシモツケ
マルバシモツケ(丸葉下野、バラ科)

 落葉低木でよく分岐する。枝先に複数の散房花序を出し、花径7mmほどの小さな白い花のかたまりを密につける。葉は丸く、幅の広い卵形で、互い違いに生える。(写真:大石礼之輔)
▲花後、丸く集まった花の姿のままなので、茶色~赤茶色の花が咲いているように見える。
生育場所 亜高山~高山の岩礫地、草地、火山灰地
花 期 7~8月 草丈20~120cm
名前の由来・・・葉が丸く、栃木県下野で発見されたことから、「丸葉下野」と書く。 
花言葉 爽やかな朝
参 考 文 献
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
 「写真集 秋田駒ヶ岳花紀行」(山田隆雄、無明舎出版)