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山野の花シリーズ30 ワタスゲ、トキソウ・・・

INDEX ワタスゲ、トキソウサワラン
 ワタスゲは霜に弱いため、なかなか実らず豊凶の差が大きい。だから、湿原を埋め尽くすほどのワタスゲ群落になるのは数年に一度といわれている。開花期はニッコウキスゲより早いが、稀に黄色の絨毯と豊年の白い果穂が共演する幸運に恵まれれば、感動ものである。(写真:八幡平・大場谷地2014年7月18日撮影)
ワタスゲ(綿菅、カヤツリグサ科)

 花は雪解け後すぐに咲き、あまり目立たない。花後、綿毛が糸状に伸びて、球形の白い塊を茎頂に1個つける。その白い果穂の群生が風に揺れる光景は美しい。高層湿原では、夏の風物詩として親しまれている。タンポポのような種を胞子で飛ばし、生息エリアを拡大する。

 サギスゲとよく似ているが、根は横に這わず大株となり、茎につく葉はサヤ状となる。茎の先につく小穂は1個だけで、果穂が球状になる点で区別できる。
生育場所 亜高山~高山の高層湿原、ミズゴケ湿原
花 期 6~7月 草丈20~50cm
名前の由来

 白い果穂が綿のようで、葉がスゲに似ていることから、「綿菅」と書く。別名は、大名行列の毛槍を思わせる小さな果穂の意味で、スズメノケヤリ(雀の毛槍)という。
八幡平・大場谷地のワタスゲとニッコウキスゲの群落

 大場谷地は、湿原に木道が整備され、誰もが気軽に高山植物を鑑賞できる。中でも、7月中旬頃、ニッコウキスゲの黄色とワタスゲの白が縞状に彩る花園は素晴らしい。ただし、ワタスゲの豊作は数年に一度と言われている。
▲八幡平・大谷地湿原
 背後の色鮮やかなレンゲツツジと湿原を白色に染めるワタスゲの群落が素晴らしい。(2015年6月18日撮影)
栗駒山のワタスゲ

 賽の河原手前の沼地周辺、名残ヶ原の湿原一帯にワタスゲの群落が見られる。上の写真のように沼の水面に映るワタスゲ群落が美しい。
花言葉 揺らぐ思い
トキソウ
トキソウ(朱鷺草、ラン科)

 茎は直立し、葉を1枚つけ、茎の頂にトキ色の花を1個つける。花の下にある苞葉は、小さな葉のように見える。葉は被針形または長楕円形。群生せずに、点々とひっそりと咲く。トキソウと同じ時期に色の濃いサワランも咲いている場合が多い。

生育場所 日当たりの良い湿原
花 期 6~7月 草丈10~30cm
名前の由来・・・花の色がトキの羽の色に似ていることから、「朱鷺草」と書く。
花言葉 控えめ
サワラン
サワラン(沢蘭、ラン科)

 花は紅紫色で、トキソウの花の色より濃くよく目立つ。花は1個(稀に2個)つくが、余り開かず、一見ツボミのように見える。稀に白花があり、シロバナサワランという。湿原に点々と咲く。

花 期 6~7月 草丈15~30cm
名前の由来

 水辺に生えるランの意味で、「沢蘭」と書く。別名は、花の色の鮮やかさを賞賛し、「旭蘭」と書く。
花言葉 幸福が戻ってくる
参 考 文 献
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「山渓名前図鑑 野草の名前 夏」(高橋勝雄、山と渓谷社)
「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
「高山植物ポケット図鑑」(増村征夫、新潮文庫)