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山野の花シリーズ33 ミネウスユキソウ、ヤマハハコ・・・

INDEX ミネウスユキソウ、ミヤマウスユキソウヤマハハコイワオトギリイワギキョウ
 ヨーロッパアルプスを象徴し、「アルプスの星」と親しまれている名花は、「エーデルワイス」・・・ドイツ語で「高貴な白」という意味がある。この草花は、全体が白い綿毛に被われ、星章のように思える不思議な花の姿、上品さ、気高さがあるから人気がある。

 日本に自生するエーデルワイスは、低山帯に生えるウスユキソウ、そのウスユキソウの高山型であるミネウスユキソウ、東北地方の日本海側の高山に生えるミヤマウスユキソウ、中央アルプスに生えるヒメウスユキソウ、早池峰特産のハヤチネウスユキソウなど6種4変種と多い。
ミネウスユキソウ(峰薄雪草、キク科)

 低山に多いウスユキソウの高山型。花弁のように見えるのは苞葉で、緑色を帯びた白い綿毛に覆われ、長さが不揃いで、星形につく。頭花は茎の先に6~7個かたまってつき、柄がないか、あってもごく短い。花のつかない茎も、花茎もよく伸びる。

生育場所 高山のやや乾燥した礫地、草地
県内の生育地 和賀岳、薬師岳、乳頭山、秋田駒ヶ岳など
花期 7~8月 草丈10~20cm
名前の由来

 高山に生え、白色の苞葉が白く薄雪が積もったように見えることから、「峰薄雪草」と書く。
花言葉 エーデルワイス(高貴な白)、尊い記憶、大切な思い出、純潔
ミヤマウスユキソウ
ミヤマウスユキソウ(深山薄雪草、キク科)

 全体に灰白色の綿毛におおわれている。花のつかない茎は伸びず、葉がロゼット状に広がる。エーデルワイスの近縁で、人気の高い高山植物。高山に生えるウスユキソウの意味で、「深山薄雪草」と書く。(写真:大石礼之輔)

県内の生育地 秋田駒ヶ岳、笊森山、鳥海山など
花 期 6~8月 草丈5~15cm
参考:ハヤチネウスユキソウ
ハヤチネウスユキソウ

 岩手県早池峰山の蛇紋岩地だけに生える多年草。苞葉は5~15個で星形をなし、径4~6cmある。頭花は4~8個で密集する。花茎はそう生してやや太く、高さ10~20cm、まばらに線状披針形の葉は互生する。(写真:大石礼之輔「花の名前のいわれ」より)
ヤマハハコ
ヤマハハコ(山母子、キク科)

 白色に見えるのは、ガクに相当する総苞片。本当の花は、中心の黄色の塊。茎は単一で直立し、葉の裏とともに白い綿毛に包まれている。雌雄異株で、両性花の株と雌花の株があり、よく群生する。
生育場所 高山の日当たりの良い草地
花 期 8~9月 草丈50~60cm
名前の由来

 山地に自生し、ハハコグサに似ていることから、「山母子」と書く。ハハコグサは、葉や茎が優しい感じの綿毛に覆われ、その草姿が母のイメージに結びつく。また、脇株が横に広がるのを「這う子」に例えて、ハハコグサになった。
エーデルワイスの近縁種・ヤマハハコ

 「山渓カラー名鑑 日本の野草」を開くと、エーデルワイスのウスユキソウ類の隣に掲載されている。端正な星状葉がないために、ほとんど注目されないが、実は「エーデルワイス」に近い近縁種だという。全体に白い綿毛があり、茎頂に幾つもの頭状花がある点など、共通点が多い。
イワオトギリ
イワオトギリ(岩弟切、オトギリソウ科)

 オトギリソウの高山型。茎先に1~3輪の黄色い5弁花をつける。花径は2cmほどで仲間の中では小さい。長い雄しべが目立つ。葉は卵形で先は丸い。全体が無毛で、葉を透かして見ると、黒い点が見える。これが殺された弟の血液に例えられている。
生育場所 高山の日当たりの良い草地
花 期 8~9月 草丈50~60cm
名前の由来

 岩場に生えるオトギリソウの意味で、「岩弟切」と書く。オトギリソウは、平安時代の伝説・・・兄が秘密にしていた鷹の傷薬を、弟が他人にもらしたため、怒った兄が弟を斬り殺したという伝説にちなんでつけられた。
イワギキョウ
イワギキョウ(岩桔梗、キキョウ科)

 高山の砂礫地や岩壁に生え、花は茎先に1個、明るい青色でやや上向きに咲く。よく似たチシマギキョウは、花冠に毛があるので、無毛の本種と区別できる。

県内の生育地 鳥海山
花 期 7~8月 草丈5~15cm
名前の由来・・・岩場に生えるキキョウの意味で、「岩桔梗」と書く。
参 考 文 献
「すぐ役立つ山の花学」(小野木三郎、東京新聞出版局)
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)