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山野の花シリーズ36 イブキトラノオ、クガイソウ・・・

INDEX イブキトラノオ、クガイソウヤマルリトラノオ
イブキトラノオ(伊吹虎の尾、タデ科)

 山地の草原から高原まで垂直分布の幅が広い。一面に群生することが多く、ニッコウキスゲやタカネアオヤギソウなどに負けじと、花穂が林立するお花畑は賑やかで楽しい。お花畑の中でも丈が高く、よく目立つ。県内の山では、薬師岳や甲山、真昼岳などに自生している。

 茎の先に円柱形の花穂をつける。花穂は長さ6cmほどで、淡紅紫色~白色の小さな花を密生させる。根際から生える葉は長い楕円形ないし披針形で、つけ根の部分がくさび形をしている。
花 期 7~9月 草丈50~120cm
名前の由来

 滋賀県伊吹山に多く、花穂が虎の尾に似ていることから、「伊吹虎の尾」と書く。
▲真昼岳のイブキトラノオ

 峰越コースの一番の見所は「音動岳周辺のお花畑」で、特にイブキトラノオの群生は見事である。
▲タカネアオヤギソウとイブキトラノオのコラボ  
▲薬師平・風衝草原の花園「イブキトラノオとニッコウキスゲ」

 薬師岳山頂から薬師平方面に下ると、目の前にお花畑が広がる。花の種類、広さとも一級品のお花畑である。手前の白から淡紅色の花穂はイブキトラノオ、その奥の黄色はニッコウキスゲの大群落である。
クガイソウ
クガイソウ(九蓋草・九階草、ゴマノハグサ科)

 高原や山地の日当たりの良い草原に生える。4~8枚の葉が輪生し、段々につくのが特徴。花穂の長さは30cmほどあり、雄しべが2本飛び出した筒状の花をびっしり咲かせる。花は、下から上へと咲いていくので花期は長い。
花 期 7~8月 草丈80~150cm
名前の由来・・・輪生する葉が九段にもわたってつくことから、「九蓋草(九階草)」と書く。
食用・薬効

 春先の若芽は食用・・・熱湯でゆでてから水にさらして、おひたしで食べる。昔から根茎を乾して生薬とし、リューマチ、関節炎、利尿薬として用いられている。伊吹山ではクガイソウ、トウキ、シシウド、ヨモギ等で「伊吹浴剤」が作られているが、香りもよく、風呂に入れると保温効果もあって、冷え性や肌の美容に効果があるとされている。
花言葉 明るい家族
ヤマルリトラノオ
ヤマルリトラノオ(山瑠璃虎の尾、ゴマノハグサ科)

 クガイソウに似ているが、葉が2枚向き合って(対生)つくので区別できる。形は長い卵形で、鋸歯は大きくて少ない。花は下から咲き、爽やかな青紫色で2本の雄しべが花の外に突き出る。

花 期 7~9月 草丈50~80cm
名前の由来

 山に咲くルリ色のトラノオの意味で、「山瑠璃虎の尾」と書く。トラノオは、花穂の形が虎の尾に見立てたもの。花言葉は、「清冽」。
参 考 文 献
「秋田の山野草300選、Ⅱ」(秋田花の会)
「夏の野草」(永田芳男、山と渓谷社)
「高山植物ポケット図鑑」(増村征夫、新潮文庫)
「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)