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山野の花シリーズ41 イワブクロ、ミズギク・・・

INDEX イワブクロ、シロバナトウウチソウミズギクオヤマソバセンジュガンビ
イワブクロ(岩袋、ゴマノハグサ科)

 高山の砂礫地に生えるが、火山系の山に多い。県内の生育地は、秋田駒ヶ岳と鳥海山で、いずれも活火山である。上の写真は、鳥海山特産のチョウカイフスマとの混生。いずれも火山砂礫の先駆植物で、鳥海山は、イワブクロの南限といわれている。

 花は大きく袋状で、筒の長さは3cmほど。色も形も桐の花によく似ている。高さは15cmほどで、小群落をつくる。花の盛りが過ぎると、そのままの形でポロポロと抜け落ちる。根茎は、長く伸びて株をつくり、葉は柄がなく対生し茎を抱く。
▲火山系の岩礫地に群生したイワブクロ。黄色い花はミヤマキンバイ。
花 期 7~8月 草丈5~20cm
名前の由来

 岩場に生え、花の形が袋状であることから、「岩袋」と書く。別名は、北海道の樽前山で発見されたことから、「樽前草(タルマイソウ)」と呼ばれている。
花言葉 失った愛情
シロバナトウウチソウ
シロバナトウウチソウ(白花唐打草、バラ科)

 東北地方の高山のやや湿った場所に生える多年草。ブラシのような花穂は、白色、時に紅色を帯び、上から下へ咲いていく。葉は根生し、5~7対の奇数羽状複葉でややまばらにつく。紫色の花は、ハクサンシャジン。花期は、7~8月、草丈30~70cm。
名前の由来

 白い花のトウウチソウの意味で、「白花唐打草」と書く。トウウチは、中国産の「打紐」と花が似ているのでついたといわれている。
花言葉 感謝、変化、愛慕
ミズギク
ミズギク(水菊、キク科)

 山地の水が滲み出すような湿地に生える。花は、舌状花と筒状花からなる代表的なキク科の造りで、花びらの先は、ハサミで切り揃えたような形をしている。高さが50cmほどになるが、酸性土壌の湿地では15cmほどで咲いている株もある。場所によって群生することもあるが、パラパラに生えている場合が多い。(写真:八幡平八瀬森湿原)
花 期 6~9月 草丈25~50cm
名前の由来 水湿地に生えるキクの意味で「水菊」と書く。
花言葉 忘却、愛らしい
オヤマソバ
オヤマソバ(御山蕎麦、タデ科)

 高山の砂礫地に生える多年草。葉はやや厚く、卵状楕円形で長さ4~12cm、短い柄がある。花穂は、円錐状に集り、白色から緑白色、時に淡紅色を帯びる。
花 期 7~8月 草丈15~30cm
名前の由来

 石川県白山の御山に生え、花や3菱形の実がソバに似ていることから、「御山蕎麦」と書く。
センジュガンビ
センジュガンビ(千手岩菲、ナデシコ科)

 深山の沢沿いなどの水辺や、やや薄暗い林下などに生える。高さは1mほどになるが、茎が軟弱で他の草に寄り掛かるようにして咲いている。細長い花柄の先に白い花をつける。花弁の先は、細かく裂ける。花期は、7~8月、草丈40~100cm。
名前の由来

 花が中国産のガンピに似て、日光の千手ガ浜で発見されたことから、「千手岩菲」と書く。
参 考 文 献
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「夏の野草」(永田芳男、山と渓谷社)
「高山植物ポケット図鑑」(増村征夫、新潮文庫)
「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)