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山野の花シリーズ42 ミヤマトウキ、ヨツバヒヨドリ・・・

INDEX ミヤマトウキ、ヨツバヒヨドリノコンギク
ミヤマトウキ(深山当帰、セリ科)

 シシウドやエゾニュウを小型化したように見え、ガッシリした印象を受ける。全草に特有の香気がある。茎や葉を切ったり揉んだりすると強い香りがする。葉は地面に沿って伸び、先が尖っている。茎頂か、分枝した先端に径10cmの複散形花序をつける。花は径3mmの白色の5弁花。亜高山帯から高山帯の岩礫地や渓流沿いの岩上などに生育する。
花 期 7~9月 草丈20~50cm (写真:鳥海山・ミヤマトウキ群落から月山を望む)
名前の由来

 高山に生えるトウキの意味で、「深山当帰」と書く。トウキは漢名の「当帰」・・・重要な薬草で、これを病人に与えると健康になる。だから「当に健康に帰る」という意味から、「当帰」になったのであろう。別名、イワテトウキ、ナンブトウキともいう。
薬 草

 単独ではあまり用いないが、頭痛、めまい、生理不順など婦人病の主薬として漢方薬に配合されている。当帰芍薬(しゃくやく)散は、認知症の進行を緩める効果があるといわれている。入浴剤としても冷え性やひび、しもやけに効き目があるといわれている。
花言葉 優美
ヨツバヒヨドリ
ヨツバヒヨドリ(四葉鵯、キク科)

 山地の日当たりの良い草地に生える多年草。茎は分枝せず、葉を3~4枚輪生する。花は、キク科の花らしく筒状花が集まって咲く。筒状花の先は5つに裂け、糸のような花柱(雌しべ)が突き出す。

花 期 7~9月 草丈約100cm
名前の由来・・・ヒヨドリが鳴く頃に花が咲き、葉が4枚輪生することから、「四葉鵯」と書く。
花言葉 清楚
ノコンギク
ノコンギク

 日本の野ギクを代表するのが本種で、量も多い。生育範囲が広く、道端や道路脇、畑周辺はもちろんのこと、山道や渓流沿いにも普通に見られる。花色は、青紫、紫、稀に白もあり、花には冠毛がある。葉は長めの楕円形で、互い違いに生える。両面に毛があり、ザラザラしている。
花 期 9~10月 草丈30~90cm
名前の由来・・・野に咲き、花の色が紺色であることから、「野紺菊」と書く
花言葉 忘れられない想い、長寿と幸福、守護
草の中に野菊咲くなり一里塚 正岡子規
わが傘の影の中こき野菊かな 杉田久女
八ヶ岳ここに全し野菊折る  木村蕪城 
参 考 文 献
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「秋の野草」(永田芳男、山と渓谷社)
「高山植物ポケット図鑑」(増村征夫、新潮文庫)
「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
「山渓名前図鑑 野草の名前 夏」(高橋勝雄、山と渓谷社)
「俳句歳時記」(角川学芸出版、角川ソフィア文庫)