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山野の花シリーズ43 エゾオヤマリンドウ、ウメバチソウ・・・

INDEX エゾオヤマリンドウ、エゾリンドウウメバチソウオクトリカブトミヤマアキノキリンソウ
エゾオヤマリンドウ(蝦夷御山竜胆、リンドウ科)

 エゾリンドウの高山型。亜高山~高山の日当たりの良い草地に生える。花付きはあまり良くなく、茎の先だけにつく。山地の湿地に咲くエゾリンドウは、花付きが良く、園芸種の母種になっている。花の色は濃い青紫色で釣鐘形をしており、先が5つに裂ける。葉は細長い卵形で、向かい合って生える。
花 期 8~9月 草丈20~30cm
名前の由来

 北海道に多く、高山に生えるリンドウの意味で、「蝦夷御山竜胆」と書く。リンドウの根をかむと非常に苦く、クマの胆より苦いということから、竜の胆として、「竜胆」と書く。

 リンドウは古くから健胃薬として利用されている。秋、花の後に茎、葉も枯れる頃、根を掘り採り、地上部を切って、水洗いして十分に天日で乾燥させる。これを生薬名で「竜胆」という。食欲不振、消化不良、胃アトニー、胃酸過多症、腹痛などに薬効があるとされている。
花言葉(リンドウ)  「あなたの悲しみに寄りそう」「誠実」「正義」「悲しんでいるときのあなたが好き」。(写真:大石礼之輔「花の名前のいわれ」より)
俳句 竜胆や声かけあいてザイル張る 望月たかし
     稀といふ山日和なり濃竜胆    松本たかし
エゾリンドウ
エゾリンドウ(蝦夷竜胆、リンドウ科)

 茎は太く草丈は高く、何段にも花を咲かせる。花付きが良いから園芸種の母種になっている。山地から亜高山帯まで分布し、高さ80cmほどになる。数本がかたまって生えるが、時に群生することもある。ふっくらとした青紫色の花は長さ3~5cm。

花 期 9~10月
 名前の由来・・・北海道に多いリンドウの意味で、蝦夷竜胆と書く。
エゾリンドウ(園芸種)・・・花屋で売られているリンドウは、エゾリンドウの栽培種。  
ウメバチソウ
ウメバチソウ(梅鉢草、ユキノシタ科)

 茎先に白い5弁花を上向きに1輪つける。花弁には緑色の脈が目立つ。花粉を出さない仮雄しべが糸状に7~22裂し、その先端に水玉のようなものがついているのが特徴。山地の日当たりの良い場所に生えるが、湿地などでは群生する。茎は直立して30cmほどになり、1本の茎に葉を1枚だけつける。葉はハート形で茎を抱くようについている。
花 期 8~10月 草丈10~40cm
名前の由来

 花の形が、天満宮の紋章である「梅鉢」の紋章に似ていることから、「梅鉢草」と書く。
▲京都・北野天満宮の紋章は「星梅鉢」(右上の写真)
花言葉 いじらしさ

 ウメバチソウの仲間は北半球に約50種。日本には、ウメバチソウ、コウメバチソウ(高山型の変種)、ヒメウメバチソウ(鳥海山、飯豊山、立山、白馬岳などの湿性草原)の3種が分布する。
オクトリカブト
オクトリカブト(奥鳥兜、キンポウゲ科)

 日本三大毒草の一つで、全草に有毒物質を含む。特に根に猛毒がある。トリカブトの種類は多数あり、区別が困難だが、本県で普通に見られるのはオクトリカブトである。濃い青紫色の花を咲かせる。花びらのように見えるのはガクである。ガクの中に細長い花弁が2枚ある。たくさんの雄しべが見える。
花 期 8~9月 草丈80~180cm
名前の由来

 陸奥(みちのく)に多く、花の形が舞楽の時に奏者がかぶる鳥兜に似ていることから、「奥鳥兜」と書く。
▲トリカブトの若芽 ▲根は特に毒性が強い

 花が美しいトリカブトは、約30種自生している。日本の毒草の中では、最も毒性が強い。花や花粉、蜜まで危険と言われるほどの猛毒である。毒成分は植物の中でナンバーワン、天然ものではフグに次ぐと言われている。春先にニリンソウやシドケと間違えて採取し、中毒する例が後を絶たない。誤食すれば重篤あるいは死に至ることもあるので、最も注意すべき毒草である。
ミヤマアキノキリンソウ
ミヤマアキノキリンソウ(深山秋の麒麟草、キク科)

 野や山に生えるアキノキリンソウの高山変形したもので、総苞などに違いがある。しかし、標高が下がるにつれて中間的なものも出てくることから、区別が難しい。鮮やかな黄色い花(頭花)が茎先に散房状に集まってつく。根際から生える葉には翼のある長い柄があり、ロゼット状となる。茎につく葉は細長い楕円形で、互い違いに生える。葉の先は尖り、縁には鋭い鋸歯がある。。(写真:大石礼之輔)
生育場所 亜高山~高山の草地や礫地
花 期 8~10月 草丈30~80cm
名前の由来

 高山に生えるアキノキリンソウの意味で、「深山秋の麒麟草」と書く。アキノキリンソウは、花がベンケイソウ科のキリンソウに似ていて、秋に咲くことから「アキノキリンソウ(秋の麒麟草)」となったという説が一般的である。
花言葉 天真爛漫
参 考 文 献
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「秋の野草」(永田芳男、山と渓谷社)
「高山植物ポケット図鑑」(増村征夫、新潮文庫)
「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)