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山野の花シリーズ44 サルメンエビネ、クマガイソウ・・・

INDEX サルメンエビネ、クマガイソウムラサキサギゴケカキドオシ
サルメンエビネ(猿面海老根、ラン科)

 ブナ林などに生え、花茎は30~50cm、上部に10~15個の花をまばらにつける。エビネに比べると、花のつき方がまばらで、一つ一つの花が大きい。ガク片と側花弁は、黄緑色、唇弁は赤褐色を帯び、垂れ下がって3裂し、中央の裂片は濃赤褐色の斑紋が目立ち、縁にヒダがたくさんあるのが特徴。
花 期 4~5月
▲サルメンエビネの若芽 
名前の由来

 花の中央にある赤茶色の唇弁(しんべん)が、猿の顔に似ているので「猿面」という。また、地下の球根が「海老」の背中ににるので「海老根」、合わせて「猿面海老根」と書く。

花言葉 謙虚、誠実
クマガイソウ
クマガイソウ(熊谷草、ラン科)

 日本特産で、日本のラン科の中では最も大きい花で、よく群生する。葉は、縦ジワの入った特徴的な扇円形で、二枚がほぼ対生する。花は、茎頂に1個横向きにつく。花被片は黄緑色で、袋状の唇弁には紅紫色の脈がある。その中心には、穴があり、ハナバチなどの入り口になっている。杉林や竹林などに群落をつくる。(写真:大石礼之輔「花の名前のいわれ」より)
花 期 5~6月 草丈20~40cm

 昔の人はこう言ったという。「横から見ると男性器、正面から見ると女性のうんぬん」・・・これは世界の標準らしい。そう言われて再度眺めれば、確かにそのとおりと拍手喝采したくなる。そのユニークな形は、まさに自然の妙と言わざるを得ない。
名前の由来

 袋状にふくらんだ唇弁を、源氏の武将・熊谷直実(なおざね)が矢除けに背負った母衣(ほろ)に見立てて、「熊谷草」と書く。

花言葉 みかけだおし、気まぐれな美人、闘志
ムラサキサギゴケ
ムラサキサギゴケ(紫鷺苔、ゴマノハグサ科)

 湿り気のある田の畔や湿った原野によく群生する。葉は根元に集り、その間から細長い、横に這う枝を出して地面に広がる。根元の葉は倒卵形で、縁に不ぞろいの荒い鋸歯がある。花冠は紅紫色の唇形で、長さ1.5~2cm。
花 期 4~6月 草丈5~10cm
名前の由来

 花が「サギ」の姿に似ているので「鷺」。地面を這うようにしてたくさんの花を咲かせる様子を苔に見立てて「鷺苔」、花の色が紫色をしていることから、「紫鷺苔」と書く。
花言葉 追憶の日々、あなたを待っています
カキドオシ
カキドオシ(垣通し、シソ科)

 花は、淡紫色の唇形花で、柄があり葉の脇に1~3個ずつつく。上唇の先は浅くへこみ、下唇はより長くて内側に淡紫色の斑点がある。花が終わる頃には、倒れて地表を這うようになる。茎をグングン伸ばし、岩をよじ登り、ほかの雑草があればのしかかり、家の垣根をすり抜けるほど。葉を軽くもむと、良い香りがする。

花 期 4~5月
名前の由来

 垣根を潜り抜け、その向こうまで茎が伸びて行くことから、「垣通し」と書く。別名は、子どもの癇(ひきつけなど)を取る薬として使用したことから、「癇取り草」と書く。
花言葉 楽しみ、享楽、快楽 
参 考 文 献
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
「ハイキングで出会うポケット図鑑」(増村征夫、新潮文庫)
「野草の名前 春」(高橋勝雄、山と渓谷社)
「身近な雑草のふしぎ」(森昭彦、ソフトバンククリエイティブ)