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山野の花シリーズ47 カワラナデシコ、オカトラノオ・・・

INDEX カワラナデシコ、オカトラノオミツバオウレンマムシグサブタナ
カワラナデシコ(河原撫子、ナデシコ科)

 秋の七草の一つで、淡い紅紫色の美しい花を咲かせる。花弁の先端が細かく裂ける独特の形をしているので、古くから図案や模様、絵画などに取り入れられている。花弁は5個、長い爪部があり、先は深く裂け、基部にひげ状の毛がある。山野の日当たりの良い草原や河原に生える。茎は直立し、上部で枝分かれして30~100cmになる。
花 期 7~10月
名前の由来

 河原に生えるナデシコの意味で、河原撫子と書く。ナデシコは、可憐な花の様子からついたものである。
花言葉 可憐な純情

「なでしこが 花見るごとに 娘子らが 笑まひのにほひ 思ほゆるかも」 大伴 家持 万葉集
オカトラノオ
オカトラノオ(岡虎の尾、サクラソウ科)

 日当たりの良い草原に生える。人家周辺の丘陵地から山の草原まで垂直分布の幅が広い。数本がかたまって生え、高さは1mほどになる。花の先端がトラの尾のように垂れ下がる。花穂は10~20cmで、一方に偏って白色の花を多数つける。
▲5弁の花を密集させて咲かせる
花 期 6~7月
名前の由来・・・丘(岡)に生え、花穂の形がトラの尾に似ていることから、「岡虎の尾」と書く。  
花言葉 騎士道
ミツバオウレン
ミツバオウレン(三葉黄連、キンポウゲ科)

 高さ5~10cmの花茎の先に小さな白花を1個開く。花弁のように見えるのはガク片で5枚ある。花弁は花の真ん中にある黄色。高山や深山のやや湿り気のある草原に生える。小葉は柄がなく、倒卵形で鋸歯がある。質はやや厚く光沢がある。
花 期 6~8月
花言葉 栄誉
名前の由来

 葉が三枚からなるオウレンの意味で、「三葉黄連」と書く。オウレンは、根茎が黄色く太く連なるところから蓮根に見たてて「黄連」と呼ばれているが、もともとは中国原産の別種の名前である。
マムシグサ
マムシグサ(蝮草、サトイモ科)

 太い茎は、マムシのマダラ模様が不気味に浮かび、鎌首をもたげて大きな口を開き、舌先をのぞかせている。山野の暗い林内に生え、何とも不気味な印象を受ける。二枚の葉柄の間から花茎を直立させ、筒形の苞の中に穂を出す。穂の先は少し突き出て棍棒状に膨らむ。

花 期 4~6月 草丈30~80cm
 昔、秋にできる赤い実は、採取して家の戸口に下げて悪魔や伝染病除けにしていた。この草にふれると、手が腫れるとか、指をさすと指が腐るとか、引き抜くと蛇が化けて出るなどと言われ、子どもたちの怖がる植物である。
名前の由来

 茎には葉っぱの鞘が筒状に重なっているが、これを一体として偽茎という。その模様が、マムシの皮の模様に似ていることから、「蝮草」と書く。もう一つは、仏炎苞と呼ばれる花の形が、マムシが舌をだしたような形に似ているとの説もある。いずれにしても、蛇嫌いの人がマムシグサを見つけると、背筋が寒くなる。
ブタナ
ブタナ(豚菜、キク科)

 遠くから見るとタンポポのように見えるが、ヨーロッパ原産の帰化植物。日本には、昭和の初め頃に入ってきて瞬く間に広がった。牧場や空き地、原野などに生え、一面に群生している所もある。茎の先に黄色の舌状花だけからなる頭花をつける。タンポポ属は1つの花茎に1つの頭花をつけるが、ブタナは花茎が枝分かれして複数の頭花をつける。
花 期 5~10月 草丈20~50cm
名前の由来・・・フランスでブタのサラダという俗名で呼ばれていたことから、「豚菜」と書く。
参 考 文 献
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
「野草の名前 春」(高橋勝雄、山と渓谷社)
「夏の野草」「秋の野草」(永田芳男、山と渓谷社)