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山野の花シリーズ62 アヤメ、カキツバタ・・・

INDEX アヤメ、カキツバタキショウブハナショウブ
アヤメ(綾目・文目、アヤメ科)

 山野に生え、花は、青紫色で直径約8cm。外花被(がいかひ)の基部に黄色地に紫色の網目模様があるのが特徴。花茎は緑色だが、根元は赤紫色を帯び、葉の間から直立して高さ30~60cmになる。アヤメは、ショウブと間違えられるが、水辺に自生しないこと、ノハナショウブの花の外側の花びらは黄色の筋があるので区別できる。
▲アヤメ、網目模様 ▲カキツバタ、白い筋  ▲ハナショウブ、黄色の筋

アヤメ、カキツバタ、ハナショウブの見分け方

 アヤメは、外側の花びらに網目模様がある。カキツバタは、外側の花びらに白色の筋がある。ハナショウブは、外側の花びらに黄色の筋がある。
花 期 6月上旬~中旬
名前の由来

 外側の大きな花びら・・・外花被の基部に「目もあやに」というほど美しい綾目(文目)模様があることから、「綾目」、「文目」と書く。
カキツバタ
カキツバタ(杜若、アヤメ科)

 花は青紫色で直径約12cm。外花被の中央から基部にかけて白色の筋があるのが特徴。葉は、剣状で中脈はない。間違えやすいノハナショウブの花は、赤紫色であること、外花被の中央から基部にかけて黄色の筋があること、葉には中脈が目立つことで区別できる。
生育地 湿地
花 期 6月上旬~中旬
名前の由来

 奈良時代から、カキツバタの汁で着物を染める草木染に利用されたことから、「書付花(カキツケバナ)」の文字が当てられていた。それが転訛し「カキツバタ(杜若)」になったというのが定説である。
キショウブ
キショウブ(黄菖蒲、アヤメ科)

 明治の中頃に渡来し、栽培されているが、非常に強健で、今では水田の溝や池畔、湿地などに繁殖し、自生しているように見える。葉の間から花茎をだし、鮮やかな黄色の花を開く。花期 5~6月。
名前の由来

 花が黄色のショウブであることから、「黄菖蒲」と書く。ショウブの名前は、平安時代の神事に使われたアヤメ(菖蒲)に由来する。
ハナショウブ
ハナショウブ(花菖蒲、アヤメ科)

 ハナショウブはノハナショウブの園芸種。6月頃に花を咲かせる。花の色は、白、桃、紫、青、黄など多数あり、5,000種類もあるといわれている。花菖蒲の栽培は、江戸中期に本格的に始まったとされ、最盛期には400近い品種が育成された。その地域にちなんで江戸系、伊勢系、肥後系に分けられる。
花 期 6月下旬~7月上旬
小泉潟公園・水心苑の向かいにある菖蒲園

 看板によると、昭和54年に開園され、6300m2の広い敷地に、260種類、約75000本のハナショウブが植えられている。ハナショウブは、アヤメ科を代表する植物で、わが国では同科のアヤメやカキツバタとともに、古くから日本的な花として鑑賞され親しまれている。
▲宮の白菊(江戸系) ▲晩万里(江戸系) ▲愛知の輝(野花)
▲小青空(江戸系) ▲綾衣(江戸系) ▲爪紅(江戸系)
▲花笠(江戸系) ▲七小町(江戸系) ▲秋の錦(肥後系)
俳 句

はなびらの 垂れて静かや 花菖蒲 高浜虚子
こんこんと水は流れて花菖蒲 臼田亜浪
参 考 文 献
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
「ハイキングで出会うポケット図鑑」(増村征夫、新潮文庫)
「野草の名前 春」(高橋勝雄、山と渓谷社)