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山野の花シリーズ49 サギソウ、キツネノカミソリ・・・

INDEX サギソウ、キツネノカミソリゲンノショウコシロツメクサアカツメクサ
サギソウ(鷺草、ラン科)

 花は白色で、シラサギが羽を広げて優雅に舞っている姿に似ており、自然の造形美の凄さに驚かされる草花の一つである。日当たりのよい湿原を好む。自生状態では密生しない。園芸店には鉢植えが出回るが、野生状態のサギソウは、貴重な植物が咲く湿地が次々と埋め立てられ、激減していると言われている。
花 期 8~9月 草丈20~50cm
名前の由来

 花の手前側を見ると、シラサギが翼を広げて飛んでいる姿に似ていることから、「鷺草」と書く。花の手前部分は、サギソウの唇弁(しんべん)。左右の翼に見えるのが、唇弁の側裂片。中央の鷺の首に見えるのが、中裂片である。 
花言葉 淡白、気まぐれ
風が吹き鷺草の皆飛ぶが如 高浜虚子
めざめれば鷺草ひとつ咲いて待つ 澁谷 道
キツネノカミソリ
キツネノカミソリ(狐の剃刀、ヒガンバナ科)

 葉が枯れた後に花茎を伸ばし、オレンジ色のラッパ形の花を3~5個咲かせる。原野や山麓の雑木林の下などに生える。早春からスイセンに似た線形の葉をつけ、夏草が茂るころには葉が枯れる。地下に球形の鱗茎があり、全草に有毒成分を含む。
花 期 8~9月 草丈30~50cm
名前の由来

 春に出る葉は、先が丸みを帯びた線形で、日本剃刀の刃に似ている。夏もそろそろ終わる頃、葉は姿を消し、炎のような花がいきなり現れる。この花を狐火に見立て、「狐の剃刀」と書く。また、狐は、花が出る頃に葉が化けて消えることからきたとする説もある。
花言葉 妖艶
ゲンノショウコ
ゲンノショウコ(現の証拠、フウロウソウ科)

 夏から晩秋にかけて、サクラ型の花を咲かせる。一つ一つに洒落た紫色のラインがある。花の色は二つ、東日本では白花が多く、西日本には紅花が多い。両方が混じって咲いている地域もある。山野に普通に見られ、茎は地面を這って広がる。
生育場所 山野の草地や道端
花 期 7~10月 草丈30~40cm
名前の由来

 民間で利用する薬草の代表で、下痢止めや腹痛の薬として飲めば、薬効が速やかに現れることから、「現の証拠」と書く。別名は、弾けた実の形が神輿(みこし)の屋根のように見えることから、神輿草(みこしぐさ)ともいう。
薬 効・・・医者いらず、医者泣かせ

 昔から「医者いらず」「医者泣かせ」と言われるほど効果てきめんの薬草。昔から「ゲンノショウコは土用の丑の頃に採取しろ」と言われている。最も多く含まれるタンニンは、殺菌作用のほか、優秀な下痢止めになるとされている。クエン酸、コハク酸なども含まれ、効能は頭痛、腹痛、風邪、心臓病、婦人病など、万能薬とされた。本種の成分の一つ・ゲラニインは、整腸や潰瘍のガンの抑制にも効果的と言われている。ちなみに緑茶にもタンニンが含まれるが、ゲンノショウコほどの効果はない。
シロツメクサ
シロツメクサ(白詰草、マメ科)

 ヨーロッパ原産の帰化植物で、四つ葉のクローバーとして親しまれている。子供の頃、シロツメクサの花が伸びた頃を選んで髪に刺したり、花輪に編んで首飾りや腕飾りにして遊んだ。葉は幅の広い倒卵形で、中央にVの字の白い模様がある。一般に小葉は3枚だが、稀に4枚のものもあり、幸運、幸福を象徴するとして珍重されている。その確率は、1/1万ほどと推定されている。
花 期 5~9月 草丈10~15cm 
名前の由来

 花が白いから「白」。江戸時代にオランダから送られてきたガラス器が割れないように周りに詰め込まれていたので「詰草」、合わせて「白詰草」と書く。
花言葉 幸福、約束、私を思って、私のものになって、復讐 
アカツメクサ
アカツメクサ(赤詰草、マメ科)

 ムラサキツメクサともいう。ヨーロッパ原産で、明治時代に牧草として日本に入ってきた。シロツメクサより一ヶ月ほど遅れて咲きだす。デンマークでは「国花」になっている。シロツメクサとの違いは、花茎が立ち上がって枝分かれすることや、白い毛が一面に生えていること、花のすぐ下に葉がつくことである。
花 期 5~8月 
名前の由来・・・花の色が赤いから「赤詰草」と書く。別名の紫詰草も同様である。
花言葉 少女の思い出 
参 考 文 献 
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
「野草の名前 夏」(高橋勝雄、山と渓谷社)
「夏の野草」「秋の野草」(永田芳男、山と渓谷社)
「身近な雑草のふしぎ」(森昭彦、ソフトバンククリエイティブ)