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山野の花シリーズ50 ミソハギ、オミナエシ・・・

INDEX ミソハギ、エゾミソハギオミナエシオトコエシペパーミント
ミソハギ(禊萩、ミソハギ科)

 昔は、盆花、精霊花と呼んでお盆の時の仏前には欠かせない花であった。だから、仏前に備えるため、水田脇の溝などに本種だけ刈り残しておいた。また、農家の庭先や畑などにも栽培されていた。高さが80cmほどになり、茎の上部で枝を分けほぼ垂直に伸びる。花は鮮やかな赤紫色の花を茎の下から上へと咲き上り、花期は長い。葉は細長い披針形で、いずれも十字に対生する。
花 期 7~9月

 花にはミツバチやチョウなどが好んで集まってくるため、家庭菜園をやる場合は、受粉に必要な野菜の近くに植えるといいらしい。
名前の由来

 花のついた一枝で盆の供物に水をかけて浄める風習があり、これを「禊萩(みそぎはぎ)といったことから、略されて「ミソハギ」となった。他に、湿り気のある溝に生えるので「溝萩(みぞはぎ)」が転じて「ミソハギ」になったとする説もある。
花言葉 悲哀、慈悲、愛の悲しみ
エゾミソハギ
エゾミソハギ(蝦夷禊萩、ミソハギ科)

 ミソハギは、花茎やガクが無毛だが、エゾミソハギは一面に白い毛が生えているのが特徴。また花柱の先端が太く、花も全体的にボリュームがあり、葉の基部はやや茎を抱く。原野や湿原、休耕田に生えて群生することが多い。人間の背丈を超えるようなアシ原などにも生える。上の写真は、五城目町の休耕田に群生していたエゾミソハギ。
▲花茎やガクには一面に白い毛が生えている。
▲葉の付け根は、やや茎を抱く。
花 期 7~8月  
みそ萩や 水につければ 風の吹く 小林一茶(亡き愛妻の新盆に詠む)  
名前の由来・・・北海道に多いミソハギの意味から、「蝦夷禊萩」と書く。
オミナエシ
オミナエシ(女郎花、オミナエシ科)

 茎の上部で枝分かれをして黄色い小さな花が群がって咲く。葉は対生し羽状に裂ける。秋の七草のひとつ。旧盆の頃に咲くので、昔は盆花として利用された。万葉集には12首に詠まれ、詩歌や絵画、伝統工芸など、あらゆる分野に登場する日本人好みの花である。
花 期 8~10月 草丈60~100cm
名前の由来

 黄色の粟飯を白いご飯に対して女郎飯(おんなめし)といい、これが転じてオミナエシになった。別名をアワバナ(粟花)とも言うが、これは粟を炊き込んだ粟飯に花色が似ていることから名付けられた。
花言葉 美人
ひょろひょろと猶露けしや女郎花 芭蕉
女郎花少しはなれて男郎花 星野立子
オトコエシ
オトコエシ(男郎花、オミナエシ科)

 オミナエシに比べると、茎が太く花が白くて目立たない。山地の林縁や林下、山道などの半日陰の場所に生え、高さは1mほどになる。白い花は、直径4mmほどと小さいが、よく見ると5枚の花弁がある。種子には、団扇のような翼がついていて風に乗って散らばる。花瓶に生けると、醤油の腐ったような臭いが残る。
花 期 8~10月
名前の由来

 オミナエシよりも目立たず、剛強な感じがするのでオトコエシと名付けられ、「男郎花」と書く。漢名は「敗醤」。  
花言葉 慎重、賢明
ペパーミント
ペパーミント(西洋薄荷、シソ科)

 ヨーロッパ原産で、河岸や排水路などに生える。高さは30~90cmほど。葉は狭い卵形で対生し、縁には疎らに鋸歯がある。穂状花序を出し、小さな紫色の花を咲かせる。全草にメントールが多く含まれ、紅茶やアイスクリーム、チューインガム、練り歯磨きなどの香りづけに利用される。和名では「せいようはっか(西洋薄荷)」と呼ばれている。ガーデニングでは、大切な植物の害虫駆除を期待してペパーミントを植えたりするという。
花 期 7~8月
薬 効

 ヨーロッパ、アラビアでは、葉を摘み取って乾燥させたものをハーブや薬味として使用したり、花を枝ごと水蒸気蒸留して精油を抽出して香料として利用してきた。その爽やかな甘さとメントールの清涼感のある香りは、筋肉痛緩和、興奮した精神を鎮め、頭をスッキリさせて気分をリフレッシュしてくれる。その他気管支炎や鼻づまりなどの呼吸器系の働きを改善し、消化不良や胃もたれ、吐き気、眠気や乗り物酔いにも効果があるとされている。
参 考 文 献
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
「野草の名前 夏」(高橋勝雄、山と渓谷社)
「夏の野草」「秋の野草」(永田芳男、山と渓谷社)