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山野の花シリーズ52 ボタンヅル、センニンソウ・・・

INDEX ボタンヅル、センニンソウヒルガオマルバアサガオアサガオ
ボタンヅル(牡丹蔓、キンポウゲ科)

 日当たりの良い山野に生えるツル植物。ツルを伸ばして木や草、時には電線や廃道のガードレールなどにも絡みつき、こんもりと茂る。花は上を向き、十字型の美しい花をたくさん咲かせる。最盛期には、覆い尽くした一面に真っ白な雪でも積もったようにも見える。葉は、3小葉で光沢はなく、不ぞろいの粗い鋸歯がある。
▲廃車に絡みついたボタンヅル ▲廃道の欄干に絡みついたボタンヅル
花 期 8~9月
名前の由来

 葉は、ボタンの葉に似ており、ツルを伸ばして多数の花を咲かせることから、「牡丹蔓」と書く。
花言葉 休息
センニンソウ
センニンソウ(仙人草、キンポウゲ科)

 日当たりの良い道端や林縁などに生える木質のツル植物。周りの草や木に絡みついたり、絡むものがないと地面を這ったりする。葉の脇に白い花を多数つける。十字模様に開いたものはガク片。花は、ボタンヅルに似ているが、葉の違いで見分けることができる。センニンソウの葉の縁は、なめらかでギザギザがないが、ボタンヅルは、葉の縁にノコギリの歯のようなギザギザが出るのが特徴。
花 期 8~10月
名前の由来

 一つの花から長い毛のついた実が7~8個できる。この実の全体が仙人の白髪頭に似ることから、「仙人草」と書く。
ヒルガオ
ヒルガオ(昼顔、ヒルガオ科)

 人家周辺に多く、花が美しいので古くから万葉集などの詩歌に登場している。ツルで周りの植物に絡みつき、淡いピンク色の大きなラッパ形の花を咲かせる。コヒルガオにも似ているが、花柄にギザギザのようなものはなくなめらか。花は美しいが、庭や畑に入ってくると大変。地下茎で増えるし、掘り起こしてもカケラが残れば復活する。
花 期 6~8月
名前の由来

 アサガオ(朝顔)は、早朝に咲くが、昼前にはしぼんでしまう。ヒルガオは、午前10時頃に花が開き、夕方にしぼむことから、「昼顔」と書く。
漢方「施花(せんか)」、山菜としても利用

 開花期に全草を乾燥させものを、漢方では「施花」という。疲労回復、強壮、糖尿病、利尿に用いる。ビタミン類やミネラル、ブドウ糖も豊富で、若葉は、茹でて水にさらしてから、おひたしや和え物、みそ汁に。花は、生のものを手でちぎってサラダに散らすと色彩も豊か。他に天ぷら、熱湯で茹でて、酢のものなどに利用する。
花言葉 優しい愛情、和やかさ

 昼顔の物干し竿を上りけり 正岡子規
 昼顔はしぼむ間もなきあつさ哉 正岡子規
マルバアサガオ
マルバアサガオ(丸葉朝顔、ヒルガオ科)

 熱帯アメリカ原産のつる草。江戸時代に渡来した帰化植物。観賞用に栽培されているほか、野生化している。花冠は5~8cmでアサガオより小さい。花は4紅紫色のほか、赤、青、白など株によって様々。茎には、下向きの毛がある。葉は心形。

花 期 8~9月
名前の由来 アサガオに似ていて葉が丸いことから、「丸葉朝顔」と書く。
花言葉 はかない恋
アサガオ
アサガオ(朝顔、ヒルガオ科)

 早朝に漏斗形の花を開き、昼前にしぼむ。日本への渡来は、9世紀中頃に遣唐使が中国から持ち帰ったのがはじめと言われる。渡来した当初は、種子を薬用(下痢)にするためで、花は貧弱であったという。しかし、早朝に花開くのが珍しく、一部の人に愛好され、歌にも詠まれた。万葉集には、ムクゲ、キキョウ、ヒルガオなどがあてられている。

 江戸初期に白花が出てから脚光を浴び、紅色や瑠璃色なども現れて、花色、花や葉の形も豊富になり、19世紀前半には、空前のアサガオ狂時代が起こった。明治中期以降になると、大輪のアサガオが大流行した。
花 期 7~10月
名前の由来 早朝に花が咲き、昼頃には花がしぼむ。朝に顔(花)を見せることから、「朝顔」と書く。

花言葉 はかない恋、愛情の絆、平静、あふれる喜び、冷静、短い愛、結束、明日も爽やかに
参 考 文 献
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
「野草の名前 夏」(高橋勝雄、山と渓谷社)
「夏の野草」「秋の野草」(永田芳男、山と渓谷社)
「身近な雑草のふしぎ」(森昭彦、ソフトバンククリエイティブ)
「花ごよみ花だより」(八坂書房)