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山野の花シリーズ57 ミゾソバ、ウシハコベ・・・

INDEX ミゾソバ、ウシハコベアケボノソウミズヒキジャコウソウ
ミゾソバ(溝蕎麦、タデ科)

 溝や水辺など水分の多い所を好む。白~淡い紅色の小さな花を花茎にかたまってつける。葉は、動物の顔のような独特な形で、牛の額に似ている。高さは50cmほどだが、大きなものでは1mにもなる。茎が倒れて水の中に咲くこともある。茎や葉には、ザラザラとした刺状の毛が生える。
花 期 7~10月
名前の由来

 溝に生えるソバに似た草の意味で、「溝蕎麦」と書く。実際に、飢饉の際には「救荒植物」として利用された。別名は、葉の形が牛の額に似ていることから、「牛の額」と書く。
花言葉 純情
食 用

 新芽や柔らかい葉を摘む。塩を少々入れた熱湯で茹でて、水に浸してアクを抜き、おひたし、ごまあえ、佃煮、油いためなど。
薬 草

 新選組の副長、土方歳三の生家・石田散薬が製造、販売していた薬は、ミゾソバを原料にしている。刈り取り時期は土用の丑の日限定。骨折や打ち身、捻挫、筋肉痛、また切り傷等に効用があるとされていた。
ウシハコベ
ウシハコベ(牛繁縷、ナデシコ科)

 ハコベよりずっと大きくなり、高さは20cm~60cmほど。茎も太くて葉も大きい。見分け方のポイントは、花の中心にある白い糸のような花柱で、ウシハコベは5本、ハコベは3本である。また、花茎の上部には腺毛が生えるので触ると粘ることがある。葉にはシワのような脈が目立つ。春の七草の一つで、ハコベと同じく新芽を摘み、生葉をサラダ・みそ汁の具に。
花 期 4~10月
名前の由来

 ハコベに似るが、葉や花、草姿が一回り大きいので、「牛」の名前を借用し、「牛繁縷(うしはこべ)」と書く。また、ハコベは、古名をハクベラといい、「絹糸のような糸を引き、群がり繁る草」を意味し、それがハコベ(繁縷)になったなどの説がある。
花言葉 無邪気、愛らしい
アケボノソウ
アケボノソウ(曙草、リンドウ科)

 茎の先に枝を分け、白い星形の花を咲かせる。花びらには、濃い緑色の小さな斑点と黄緑色の大きな斑点が二つ並んでいるのが特徴。花弁に蜜腺を持つ珍しい花の一つ。山野の湿地や沢沿いの樹林下などで普通に見かける。茎は無毛で高さは60cmほどだが、大きくなると1mにも伸びる。1年目はロゼット葉ですごし、翌年に花が咲く二年草。
名前の由来

 花びらに黄緑色の大きな斑点が二つ並んでいるのが大きな特徴だが、これをほのぼのと明ける夜明けの星空に例えて、「曙草」と書く。

花言葉 前向き/今日も元気で
ミズヒキ
ミズヒキ(水引、タデ科)

 山地の林縁や草やぶに生える。長く伸びたムチのような花軸に、小さな花を点々とつける。茎には全体に粗い毛が生え、高さは80cmほど。実は、よく人の衣類につく。
花 期 8~10月
名前の由来

 細い花穂を上から見ると赤く、下から見ると白く見えることから紅白の「水引」に見立てて、「水引」と書く。
花言葉 慶事、祭礼、感謝の気持ち、喜び、祝い、寿
俳 句

水引の花は動かず入日さし 山西雅子
水引草風がむすびてゆきにけり 遠藤正年
水引の雨こまやかに降りはじむ 荏原京子
ジャコウソウ
ジャコウソウ(麝香草、シソ科)

 湿り気の多い場所を好むので、山地から深山にかけての沢沿いなどの樹林下に生える。高さは1mほどになり、茎は横に曲がる。葉の付け根に筒状の淡い紅色の花をつける。

花 期 8~9月
名前の由来・・・茎や葉に麝香(じゃこう)のような良い香りがあることから、「麝香草」と書く。
参 考 文 献
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
「野草の名前 夏」(高橋勝雄、山と渓谷社)
「夏の野草」「秋の野草」(永田芳男、山と渓谷社)
「俳句歳時記」(角川学芸出版、角川ソフィア文庫)